2020年、新型コロナウイルスによる猛威はドラマ制作にも深刻な影響を与え、4月の緊急事態宣言以降は撮影休止や放送の延期および放送回数の短縮など各局が幾多の困難に直面してきたが、こんなにもハードでタイトなドラマの現場がほかにあっただろうか?

木ドラ25「あなた犯人じゃありません」(テレビ東京系・毎週毎週木曜深夜1時放送/BSテレ東では毎週火曜深夜0時放送)は、青春バラエティ番組「青春高校3年C組」(毎週月曜深夜0時12分放送)に出演中の日比野芽奈インタビュー記事はこちら)が主演、3Cメンバーも本人役で登場する1話完結型学園ミステリードラマ。

anahan_20200120_01.jpg第3話より

白紙の状態から放送までわずか2ヵ月という異例のスケジュール、加えて数々の災難(詳しくはこちら!)に見舞われた本作。「『青春高校』がやってるからって学芸会みたいなドラマにはしたくない」とドラマとしてのクオリティにもこだわった佐久間宣行プロデューサーは、構成とトリックを考えながら同時進行で脚本を完成させるという方法に出た。

この難題を請け負い脚本を担当したのが、土屋亮一西条みつとし根本宗子、冨坂友、福田卓也の5名。彼らはこの困難、災難にどう対処したのか? ミステリードラマ全8話を5人で執筆する難しさとは? 佐久間P、そして脚本家を代表して土屋さん、冨坂さんの鼎談で裏話を聞いた。

脚本担当の5人について

anahan_20200120_02.jpg佐久間宣行プロデューサー

――構成と脚本を同時に進めていくため佐久間さんが信頼する新進気鋭の戯曲家・劇作家・放送作家を5人集めたとのことですが、まずは佐久間さんと土屋さん、冨坂さんとの出会いはいつごろだったのでしょう?

佐久間「僕はドラマの人間じゃないので、仕事とは関係なく、普通に客としてみなさんが主宰する劇団のお芝居を観ていたんですよ。面白いと聞けば観に行って、面白ければ続けて観て」

――土屋さんは劇団「シベリア少女鉄道」、冨坂さんは劇団「アガリスクエンターテイメント」、西条さんは劇団「TAIYO MAGIC FILM」、根本さんは劇団「月刊『根本宗子』」、福田さんは放送作家として「青春高校3年C組」などのバラエティ番組を手がけられています。

佐久間「土屋くん、冨坂くんをはじめ、西条さん、根本さんの劇団は面白いからずっと観ていました。福田のみバラエティの作家ですが、アメリカンコメディが死ぬほど大好きで。以前、菅田将暉くんと『菅田将暉TV』(NHK)というアメドラのパロディをやっていたのが面白かったのと、『青春高校』でやったコントがよかったので書いてもらいました」

土屋「佐久間さんと最初にご一緒したのは『-タイマン即興コントバトル-アドリブキング』(2008年)ですよね。その時はもう『シベリア少女鉄道』をご覧になってたんですよね?」

佐久間「もちろん! 『シベリア』は第3回公演(2001年)から20年近く観てる。でも僕は観終わったらサッと帰っちゃうから、『アドリブキング』でお仕事するまでお会いしたことはなくて。芸人さんが即興でコントをやって笑った方が負けという番組で、放送作家だけで作っても面白くないから土屋くんにお声がけしてコントの設定出しをしていただきました」

anahan_20200120_03.JPG土屋亮一さん

――その後も土屋さんとは、佐久間さんプロデュースの「ウレロ☆未確認少女」(2011年)など「ウレロ☆」シリーズや「SICKS ~みんながみんな、何かの病気~」(2015年)でお仕事されていますね。

佐久間「冨坂さんとは『ゴッドタン』の企画で劇団ごとご一緒して。本格的にやるのは今回が初めてですね」

冨坂「何年か前から公演を観に来ていただいていたことは知っていましたが、『ゴッドタン』まではお話したことがなかったです」

佐久間「僕は楽屋挨拶とか行かないから(笑)。こんなに仕事してる今も、土屋くんに挨拶せずに帰っちゃうし(笑)」

――土屋さん、冨坂さんは、ご面識は?

冨坂「もちろんお名前は存じ上げてはいましたが、今回初めてお会いしました」

土屋「僕も存じ上げてはいましたが、演劇界に友達がいないんで......(笑)」

冨坂「僕も知り合いは誰もいませんでした」

佐久間「僕の印象ですが、劇作家って、お芝居が大好きでいろんな舞台を観る人と、自分で作ることにしか興味のない人のどちらかで。土屋くんは特に見ないもんね?」

土屋「そうですね(笑)。マンガとバラエティ番組ばっかり観ています」

佐久間「オススメのお芝居を、僕が土屋くんに教えてますからね(笑)」

オファーはTwitterのDMで!?

anahan_20200120_04.jpg冨坂友さん

――そういう佐久間さんの情報収集と眼力、人脈もあって5人の戯曲家・劇作家・放送作家が集結。土屋さんはドラマの始まりと終わりとなる第1話と、第7、8話を、冨坂さんは第2話と、後半の展開が動く第6話を担当されていますが、みなさん大変だったんじゃないですか?

土屋「そうですね。ドラマの縦軸になる話を考えなきゃいけなかったので。しかも、緊急事態宣言で撮影が休止になって数ヵ月後に再開した時には、舞台となる学校が撮影NGになって。1話分を撮り直すことになって、場所が変わったことで書き直さなきゃいけない部分もたくさん出てきて大変でした」

冨坂「僕はわりと独立したエピソードだったので、前後の回とのつながりとかそんなに気にせずできましたが、土屋さんは大変だったと思います」

――土屋さん、冨坂さんを起用された理由は?

佐久間「ミステリー仕立ての話なので、ロジックで組み立てなきゃいけない。その点、土屋くん、冨坂くんは強そうだと思って」

――「シベリア少女鉄道」、「アガリスクエンターテイメント」とも伏線とロジック、コメディ要素が人気の劇団ですよね。

佐久間「お2人には、ほかの脚本家さんよりも多めの話数を書いてもらいました」

冨坂「僕は、最初は第2話だけ書く予定だったんですよ。打ち合わせでテレ東に行った時、ちょうど佐久間さんと土屋さんがドラマの全体像を話し合っていて。『6話が空いてるぞ......ここにいた!』みたいな感じで目線を向けられて、唐突にもう1話書くことに(笑)」

佐久間「その場にいたのが運の尽きだよね(笑)。その時、第6、7、8話のストーリーを組み立てていて、6話からなだらかに謎が動き出していくんですよ。その話をもう1回するの面倒くさいなと思って、『冨坂くん今の後半の流れ聞いていたよね? じゃあお願い』って(笑)」

anahan_20200120_05.jpg第2話より

――実作業としては、クイズ作家・構成作家の矢野了平さんと演劇と体験型ミステリーを融合した舞台なども手掛けている俳優・ミステリー作家の鈴木秀明さんが考えた謎ありきで脚本を書くという、前代未聞のやり方で行われて。

佐久間「そうですね。僕を含めた3人で考えた謎、トリックを各話に落とし込んで、脚本家さんに『上手くこの謎を使えませんか?』と、そこからストーリーを作ってもらうという(笑)。土屋くんだけは経緯が違って、1月末にドラマ化が決まった時に喫茶店に呼び出して手書きのざっくりとしたプロットを渡して、『こういう感じのドラマがやりたいんだけど、やれる?』と。以前『ウレロ☆』をやって、何とな~くスケジュール感がわかってたから、3話分お願いしたんですよ」

土屋「おおまかな流れをお聞きして『面白いですね』と言ったのを覚えてます。それでお引き受けして。とは言え、4月オンエアなのに作業に取り掛かるのは2月ですからね。引き受けた後で、ものすごいスケジュールだなと(笑)」

冨坂「僕も佐久間さんから2月にTwitterのDMにメッセージが入って。でも、『こういうスケジュールになります』と聞いて、一瞬、焦りました」

佐久間「冨坂くんに書いてほしいんだけど連絡先知らないからDM送ってキャスティングしたんですよね。大学のサークルか!(笑)」

この続きは来週公開!

次回1月21日(木)深夜1時から放送の木ドラ25「あなた犯人じゃありません」第2話は?

anahan_20200120_06.jpg
第2話
学校で起こった殺人事件を担当する刑事・五島ケイジ(山崎樹範)とそのバディとなった3年C組のクラス委員長・日比野芽奈(本人)。
2人の前に、陸上部の兼行凜(本人)が現れ、「実は...私が犯人なんです!」と告白される。陸上部の中で期待されていたことがプレッシャーとなり、出来心で万引きをするようになった兼行。その姿を泉先生(北乃きい)に見られたことが原因で殺したと自白する彼女。
しかし、兼行が犯人だということに疑問を持つ日比野は...

(取材・文/橋本達典)

テレ東プラス

江口のりこが主演を務めるドラマ25『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京系、毎週金曜24:52~)の第11話が、6月11日に放送。恵が自身のソロ活の原点でもあるソロバーベキューに再チャレンジした(以下、ネタバレが含まれます)。

ページトップへ
Twitter Facebook