閉店ラッシュが続く中、飲食未経験で店を出したイケメン店主「コロナになんか負けるか!」:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

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現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。1月12日(火)の放送では、コロナ禍でも好調な飲食チェーン「やきとり大吉」を特集。セオリーの裏をいく独特のシステムや店主の取り組みを紹介する。

たった13人で「鳥貴族」超える640店を管理

新型コロナウイルスの影響で居酒屋の倒産が過去最多になる中、焼き鳥チェーン「やきとり大吉」が好調だ。運営する「ダイキチシステム」(大阪市中央区)はわずか13人。少人数で北海道から沖縄までの640店をフォローし、その数は大手居酒屋チェーン「鳥貴族」を上回る。

他店との違いは立地が駅前や繁華街から離れていること。基本は10坪で月家賃10万〜15万円と、小規模運営なのも特徴だ。同社の牟田稔社長は、「駅前に行きたいですよ。お客さんも多いしね。でも繁華街に入ってしまうと、賃料が高いし目立たない。それなら住宅街でこっそりひっそりと...これが勝てる秘訣」と話す。

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2020年12月中旬、最寄り駅から歩いて約15分の「やきとり大吉 鶴ヶ丘店」(埼玉・ふじみ野市)には午後4時の開店前から人が並び、6時を回ると店内は満員に。

開店以来24年間連続黒字で、リーマン・ショック時も客足は絶えなかったという。地元の人びとに愛され、「小学生のときから来ている」という女性の姿も。常連客が口を揃えて褒めるのが、店主の人柄だ。

店長の先山和人さんはかつて信用金庫に勤務していたが、27歳の時にバブルが崩壊。同チェーンの存在を知ったのもその頃。「いろんな大吉を見た。どの店もお客さんが入って賑わっていた。これなら自分もやれる。間違いなく成功するという自信があった」と振り返る。

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仕込みは朝8時半から始まる。地元の精肉店から毎日届く鶏肉を、丁寧に串に打っていく。その数は毎日約300本。大手チェーンの多くが外部で食材を調理するセントラルキッチンを導入する中、仕込みを各店に任せているのも大吉の特徴だ。先山さんは「自分で作ったものをうちの店を選んだお客様が食べて、喜んで帰ってもらえる」と話す。番組では、先山さんの仕込みから夜の営業まで密着。そこには地元常連客との温かい触れ合いがあった。

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からくりは地元酒販店との連携

2020年12月中旬。新型コロナの感染再拡大で警戒が強まる中、大吉の都内の店舗を回るスーツ姿の男性がいた。池袋にある老舗の酒販店「折原」(東京・豊島区)の営業部マネジャー・清水大介さん。店主から現場の状況を聞き、メモを取る。

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清水さんは、聞き取り調査した各店の状況を表にまとめて大吉本部に報告。さらに、大吉に見合った物件や店舗経営を志す人も紹介しているが、これらは全て無償で行っているという。

大吉本部では、こうした酒販店からの情報をもとに全国の店の状況を把握している。これが、少人数でも巨大チェーンを管理することができるからくり。大吉の近藤隆(※生の上に一)営業推進本部長は、「会社が大きくなったのは酒販店の力があったから。店も良くなるとお客も来てくれる。酒屋さんの商売もうまく回っていく。店と酒販店と本部、それぞれが良くなるよう一緒に取り組んでいく」と話す。

飲食未経験の若者、コロナ禍で店を出す

全国にいる大吉店主の経歴は、パン工場勤務、お笑い芸人、陸上自衛隊員まで、実にさまざま。640店のうち約半数の店主が飲食業未経験者だという。今回、コロナという逆風が吹く中、飲食業の経験が全くない若者が福岡市に大吉をオープンさせた。

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客から「イケメン店主」と呼ばれる角南(すなみ)風斗さん。地縁も血縁もない福岡で、2020年7月に野間大池店を開店した。「自分で飲食店をやりたい気持ちがあった。自分が決めたことに突き進もうと。『コロナになんか負けるか!』という気持ちが強かった」と角南さん。夫の赴任先であるマレーシアから駆けつけた母・恵里佳さんと二人三脚で、常連客獲得に向け、丁寧な接客を心がけている。

開店当初の8月にはもの珍しさもあり、約150万円を売り上げた。しかし、コロナ「第3波」の拡大につれ、売り上げは減少。11月は約80万円まで落ち込んだ。店を維持するのがやっとで、自分の給料など望めない。

12月中旬のある日は、深夜12時までの営業にもかかわらず、午後10時を過ぎると客の姿はなくなった。1日の売り上げは約2万5000円。大吉の売り上げ目標の半分ほどで、客が全く来ない日もあったという。

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角南さんは大学卒業後、東京の大手飲料メーカーに就職するも2年で退社。高校時代に近所の大吉で見た「一国一城の主になろう」というポスターを見た時から、いつか大吉をやりたいと考えていたからだ。

通常、店を持つには1千万円単位の資金が必要だが、加盟金150万円で店舗を借り受ける制度を使って開業。研修期間は一般的なチェーンより長い3ヵ月。3店舗を1ヵ月ずつ回って研修する。角南さんは、未経験にもかかわらず3人の師匠から鍛えられ、短期間で腕を上げた。「立ち方から教えられた」という。

しかし「第3波」は容赦なく福岡にもやってきた。「心配ですね。答えがあればいいが、飲食店は難しい」──。先輩の激励、本部からの指導を経て、角南さんが考えた作戦とは......。

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