「逃げ出したくなる...」日給100円で働く14歳のフィリピン人...寿命が縮まる炭焼き汚染村飯

公開: 更新: テレ東プラス

食うこと、すなわち生きること。食の現場にすべてが凝縮されている...。テレビ東京では12月29日(火)深夜1時35分より、"ヤバい奴らのヤバい飯を通してヤバい世界のリアルを見る"をテーマにした異色のグルメ番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」を放送。

リベリアの元人食い少年兵や殺し合いを繰り返すアメリカの極悪ギャング、ケニアのゴミ山で肺を病みながら暮らす青年など、これまでメディアがあまり立ち入らないような世界中のディープなエリアに潜入し、そこで暮らす人々の"飯"を徹底取材してきた本番組。お笑い芸人・有吉弘行や漫画家・真鍋昌平など多くの著名人が"番組ファン"を公言するなど、業界内外からも熱狂的支持を集めている。

そこで今回「テレ東プラス」では、2020年4月1日に放送された前作の中から「フィリピン寿命縮まるゴミ炭焼き村の少年飯」を振り返る。

首都マニラ・ご飯代を稼ぐ子どもたちの収入源、「パグパグ」

フィリピンの首都マニラ。高度経済成長により高層ビルが立ち並び、平均月収は4万4000円。まず案内人に連れていかれたのは、「ハッピーランド」と呼ばれるスラム街。海に投棄されたゴミの上にできた街で、もともとはゴミや死体を捨てる場所。タガログ語で「捨てる」を意味する「ハピラン」をモジり、イメージを変えるために「ハッピーランド」と名付けられた。東京ドーム約9個分の面積に、2万8600人が暮らしている。

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異臭漂うスラムの中で売られていたのは、「揚げパグパグ」(1皿20円)。

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ファストフード店から出た残飯のフライドチキンを揚げ直したもので、残飯を拾ってくるのはハッピーランド生まれのカートくん(10歳)。

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夜に残飯を仕入れに行くとのことで、密着することに。夜6時。バイクのような乗り物に乗り、オーナーの運転で仕入れ先のファストフード店へ繰り出す。聞けば、もともとは「船のマシン」だったそうだ。乗り物ではしゃぐ姿は、普通の子どもそのもの。

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目当ての店に着くと、大量のゴミを仕分け。高値で売れるプラスチックなどはバイクオーナーの取り分で、安価な残飯などが子どもたちの取り分となる。自分たちで作ったという歌を口ずさみながら楽しそうに作業に取り掛かる子どもたち。

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ゴミを仕分けながらも、残飯をつまみ食いするカートくん。子どもたちは、仮眠を取りながら朝までこの作業を続ける。

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今日の成果物を売るため、再びハッピーランドへ。しかしカートくんは集めた残飯を途中で食べてしまったため、この日の売り上げはナシという結果に。

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ハッピーランドの定番朝食「ソーセージとごはん」(20円)。早朝屋台でカートくんが何も買えずに拗ねていると、友達が「一緒に食べようよ」と誘ってくれた。

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「友達がいっぱいいて、喧嘩してもすぐ仲直り。すっとここにいたい。幸せはここにある」と、笑顔で語る子どもたちがいた。

マニラ郊外・住めば寿命が縮む村

マニラ郊外のウリンガン地区。ここにはゴミから炭を作る村があり、「住むと寿命が縮まる」といわれている。

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村の入り口で少女が売っていた「ハンバーガー」(10円)。安く売るために肉を薄くして焼いているという。「村の煙は体に悪いよ。廃材で炭を作ってるから」と忠告してくれる少女。

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村の中では廃材が焼かれ、塗料なども燃えるため、化学物質を含む有害な煙が村に充満。作業をする人の中には子どもや女性も多く、作った炭は1袋20円で売られる。

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炭焼き歴1年のジェロムくん(14歳)。学校には通っておらず、両親は離婚。配達員の父親と暮らしているが、父親は酒浸りで服も買ってもらえないという。

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廃材を調達するのは、バイクで20分ほどの繁華街。「ベニヤだけはダメなんだ。炭にならなくて、燃え尽きて灰になっちゃう」とジェロムくん。集めた廃材は肩に担いで焼き場へ運び込み、綺麗に組み上げて火を点ける。気温35℃という過酷な環境で、「木を組み上げるのが楽しい」とジェロムくん。釘や木のトゲだらけの廃材の山にも身軽に登り、黙々と働く。

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点火前にちょっとひと休み。雇い主に手渡された「まかないマヨネーズパン」を頬ばり、「美味しい」とニッコリ。「組んだ廃材が、クリスマスツリーみたいでしょ? 飾り付けしたいね」と子どもらしい一面を見せた。

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しかし、半分ほど食べたところで休憩タイムが終了。時間は厳しく決まっていて、残りは後で食べるという。トタンを巻きつけ、砂を被せたら点火準備完了。火を入れてからおよそ4日かかって炭が焼き上がる。作業が終わる頃には、全身が炭で真っ黒に。日給は100円だ。

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村の子どもたちの間では蜘蛛を闘わせる遊びが流行っているが、ジェロムくんは仲間に入れてもらえない。その理由は、シャワーを浴びていないから。着替えが足りないので、週1回しかシャワーを浴びられないのだという。

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父親と弟2人の4人暮らしで、住居の床には穴が。いつも塩か醤油をかけたご飯を食べているが、この日は父親の給料日のため仕事帰りにおかずを買ってきてくれるはずだという。自分が作った炭で米を炊き、弟たちと父親の帰りを待つ。

この日、夜遅く帰宅した父親が買ってきたのは、「酢モツ串」(10円)。

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両親が離婚する前は裕福で、「昔は服もあったし、肌も白かった。仕事をしなくて良かったし、ファストフードも食べられた」とジェロムくん。

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黙々と食事をする父子。父親いわく、子どもたちは母親に連れられ別の男性の元へ行ったが、その男性に虐待・監禁を受けた(らしい)。そこから逃げ出し、酒浸りになっていた父親と路上で暮らし、現在の住居へと辿り着いたという。

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翌日、雇い主が着替えのTシャツと散髪代をジェロムくんに与えてくれた。「ずっと頭が痒かったんだ」と6日ぶりのシャワーを浴び、50円のキッズカットへ。

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「本当はとてもつらい。疲れて逃げ出したくなる時もある」と本音を吐露したジェロムくん。「でも僕にとって、炭焼き場が遊び場みたいなものだから。ここでお金を貯めて、絶対学校に戻るんだ」と固い決意を語った。

そして、いよいよ明日! 12月29日(火)深夜0時12分放送! 異色のグルメ番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は...。

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アメリカ「人種対立飯」――対立するのは白人至上主義秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)と、黒人のみで構成されるブラックパンサー党の後継組織・ニューブラックパンサー党(新黒豹党)。しばしば暴力をもって互いの尊厳を踏みにじり合い何世代も越えてきた。彼らはなぜ、そこまで憎しみ合わなければならないのか。それぞれの飯に同席した時、彼らの口から漏れ出る言葉には不思議な共通点があった...。

番組概要
【番組名】「ハイパーハードボイルドグルメリポート

【放送日時】2020年12月29日(水)深夜1時35分~2時20分
【放送局】テレビ東京
【出演】小籔千豊
【プロデューサー】上出遼平(テレビ東京)
【公式Twitter】ハッシュタグ「#ハイパー」

動画配信情報
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◆Paravi
ハイパーハードボイルドグルメリポート(#1~#6)
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ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート(#1~#2、#1副音声版、スピンオフ)

◆以下動画配信サイトでも配信中! ※過去作の一部のみ配信
Netflix
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◎12/29放送の最新作「ハイパーハードボイルドグルメリポート」を放送直後より配信!
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◆これまでの作品◆
「ハイパーハードボイルドグルメリポート」
#1・・・アフリカ元少女兵に密着/台湾マフィア組長は何を食う?
#2・・・全米一危険な街で殺し合う極悪ギャング双方のアジトに潜入!
#3・・・麻薬密売アパート&極寒シベリア山奥のカルト教団村に潜入!
#4・・・中東から西ヨーロッパを目指す命をかけた不法国境越え
#5・・・アメリカ出所飯/ネパール火葬一家の飯
#6・・・フィリピン寿命縮まるゴミ炭焼き村の少年飯

「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」
#1・・・ゴミ山暮らしの若者飯/人食い山の炭鉱飯/密漁キャビア飯
#2・・・ギリシャ難民漂着飯/激動の香港デモ飯

【書籍情報】
KingGnu井口理田原総一朗も絶賛!書籍版「ハイパーハードボイルドグルメリポート」発売中!

書籍化の構想から4年...当番組のプロデューサー・上出遼平が完全執筆した書籍版「ハイパーハードボイルドグルメリポート」が朝日新聞出版より発売中。危険地帯取材の裏側や、番組本編に収まりきらなかったエピソードを多数収録!

【グッズ情報】
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