スタバも注目!人気復活 “木造建築”の新技術:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。12月1日(火)の放送では、衰退傾向にあった"木造建築の復活劇"を取り上げる。「火に弱い」「揺れに弱い」などのイメージを覆す驚きの新技術に迫る。

"森林大国ニッポン"を救うか? 新技術に挑む企業が続々

ここ数年、駅や小学校、商業施設など、街中で際立つ木造建築が増えている。大手コーヒーチェーン「スターバックス」でも、内装や家具に温もりを感じる木材を多用するなど、人気を集めている。2010年には公共建造物の木造化を促進する法律が施行されるなど、時流に乗った感もある木造建築だが、その背景には、日本が抱える森林の危機的な状況があった。

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戦後、激減した森林資源を補うため積極的に植えられた人工林は、国土の森林の約4割を占めるが、鉄筋コンクリートの普及や安価な輸入木材に押され、国産材の価格は急落。かつて隆盛を誇った林業は、衰退の憂き目に晒されている。残された森は間伐されなければ荒廃する一方で、土砂崩れなどの災害を引き起こす危険性もはらむ。間伐した木の有効活用は、"森林大国ニッポン"の喫緊の課題となっている。

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いま、間伐材を活用する「木造建築」の新技術が注目を集めている。岡山県真庭市にある「銘建工業」で作られているのは、4年前から実用化されている「直交集成板=CLT」と呼ばれる建材。木の板を何層にも重ね耐久性を増した建材で、コンクリートと比べて重さは4分の1だが、優れた耐震性を持つ。しかし、「銘建工業」が生産したCLTは、すでに全国100を超える建物に利用されているものの工場の稼働率は3分の1程度に留まり、苦戦していた。

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「銘建工業」と軌を一にするのは岡山県の住宅メーカー「ライフデザイン・カバヤ」。お菓子メーカー「カバヤ食品」のグループ企業で、実用化される前からCLTの持つ可能性に着目。新築の着工件数が減少する中、社運をかけたプロジェクトとして研究を進めてきた。CLTによる住宅市場の開拓を目指すが、タッグを組んだ両社に立ちはだかったのはコストの問題。木造なら50万円、コンクリートでも70万円が相場の中、CLTの坪単価は、ここ数年でコストダウンを図ったものの80万円。一般に広めるには大きな壁となっていた。

「あと3センチ」コストカットへの挑戦

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「ライフデザイン・カバヤ」CLT事業の責任者・平岩昌一さんは、コストダウンの難題へ技術面からの突破を試みる。標準のCLTの厚さは15センチだが、これを12センチにすることでコストを抑える狙い。このアイデアがうまくいけば、坪単価60万円も見えてくる。わずか3センチをめぐり、ギリギリの調整が続いた。

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厚さ12センチの実現は試験センターでの結果に委ねられる。CLTの壁の上から50トンの荷重をかけた状態で、壁を800度で焼き、強度と耐火性をテスト。60分耐えられれば商品化への道が拓ける。

命運を握る試験には「ライフデザイン・カバヤ」窪田健太郎社長の姿も。「地方の一企業が大手と戦うには、限界まで攻めてチャレンジ精神を持って取り組むのが大事」。並々ならぬ意気込みで試験を見つめる。

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45分以降が山場と睨んでいた平岩さんだが、50分が過ぎると壁に異変が。「56分経過...」ゴールが見えてきたその時、荷重に耐え切れず壁に危険なたわみが出たため、試験はあえなく中止に。

無念の表情を見せる平岩さんだったが、「やらななんもわからん」と前を向く。数日後の対策会議では、「塗料を塗る」「木の種類を替える」などいくつものアイデアが。手応えを感じた平岩さんは、次の策へ。

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10月、「ライフデザイン・カバヤ」はCLTの説明会を開催。フランチャイズでCLTを扱う企業を増やし、流通量を増やすことでコストダウンにつなげる狙いだ。平岩さんはこの2年で13社の加盟に成功。今回も問い合わせが30社ほどあり、大きめの会場を用意したが、開始10分前になっても会場は閑散としていた。いったい何があったのか?

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さらに番組では、国立競技場をはじめ様々な木造建築を手掛ける建築家・隈研吾さんにインタビュー。木造建築の未来を聞く。大変貌を遂げる建築の新技術に迫った「ガイアの夜明け」は、今晩10時から放送。どうぞお見逃しなく!

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