日本人の口臭は世界的にも悪評が高い! スメハラを防ぐお口のケア

公開: 更新: テレ東プラス

「スメハラ」って、ご存知ですか? スメルハラスメント=臭いで周囲を不快にさせること。日本人の口臭は世界的にも悪評が高い!? お口のケアを怠ることを原因とした口臭などで知らぬ間に周囲を不快にさせている可能性もあります。

毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、歯学博士・歯科医師の森下真紀さんに「スメハラ対策の口腔ケア」についてうかがいました。

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日本人の口臭がひどいのはなぜ?

――欧米に比べ日本は口腔ケアに対する意識が低く、「日本人の口臭は世界的に悪評が高い」そうですが、なぜでしょうか?

「私たちは欧米人より体臭がキツくない反面、自分が発する臭いについての意識が希薄。ハグを日常的に行う習慣がないという文化の違いも大きいですね。また、日本では女性が口を大きく開けて笑うことを良しとしないという慣習も、日本人が口元に注目しない、つまりはケアを重要視しないということに繋がっているのかもしれません

コロナ禍によりマスクを付けることで、初めて自身の口臭に気づくケースも多くなっています。マスクの息苦しさもあり、鼻ではなく口呼吸になってしまうと、口の中が乾燥し口臭が目立ちやすくなります。

また、女性の場合、生理が近くなると口臭がひどくなるといったケースも見受けられます。中でも50~60代の女性は、ホルモンバランスの変化により唾液の量が減少するため、特に注意が必要です」

nanairo_20201122_02.jpg画像素材:PIXTA

口臭予防は「舌みがき」

――基本的な口臭対策として効果のあるものは?

「口臭の原因となる二大要素は『歯周病』と『舌苔(ぜったい)』。舌苔は、舌の表面についた白い苔状のもので細菌のたまり場です。舌が白くなっていたら、毎朝『舌みがき』をしてください」

――「舌みがき」はどのようにすればいいですか?

「口の中が最も汚れているのは起床時です。朝起きたら鏡で舌の色をチェック。白く汚れている場合は、舌みがき専用のブラシで優しくお掃除をしましょう。舌磨きのポイントは、ブラシを舌の奥から手前に、必ず"一方向に"動かすということ。前後に動かすと取れた汚れが喉の奥の方へと入っていってしまいます。
舌みがきの回数は1日1回で十分です。舌が白っぽくなっていなければ、舌みがきを行う必要はありません。

また、市販のマウスウォッシュは一時的に臭いを抑えることはできますが、効果が維持できるのは15分程度。口臭予防には、歯周病対策としての毎日の丁寧な歯みがきと、舌みがきによる舌苔の除去、この2つが重要です」

――その他、口臭予防に効果があるものは?

「唾液の分泌を促すために、ガムを噛むことです。歯科医が推奨しているのはキシリトールガム。『100%キシリトールガム』は、口臭予防はもちろん虫歯予防にも効果があります。
ただし、よくある市販のものは、『キシリトール配合』と謳ってはいるものの、キシリトールの配合率が低く、代わりに砂糖が含まれていることが多いのでご注意を。反って虫歯のリスクを上げることになります。

グローバル化に向け"歯並び"と"歯の白さ"が重要

nanairo_20201122_03.jpg画像素材:PIXTA

――歯並びが口臭に与える影響もありますか?

「歯並びが悪いと、歯みがきがしづらく歯垢が溜まりやすいことから、結果的に口臭がひどい人の割合が高くなりがちです。また、八重歯や出っ歯などの場合では口が閉じにくく、気づかないうちに口呼吸となってしまっていることも。口呼吸をしていると、口の中が乾燥してしまい口臭がきつくなってしまうのです」

――日本人と比較して欧米の方が歯に対する意識が高いのはなぜでしょう?

「歯がキレイなことで社会的地位が高いと認識されているので、歯を大切にケアすることが重要視されています。しかし残念ながら日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。今後、ますます社会のグローバル化は進んでいくので、日本人の歯に対する意識も変えていくべきだと思います」

――グローバル化に向けて日本人が歯について考えるべきことは?

「"歯並び"と"歯の白さ"です。歯並びが良くなると、自信を持って笑えるようになり、性格も明るくなられるようです。歯列矯正については、日本は遅れをとっているものの徐々に浸透しています。最近では50~60代の方で始められる方もいらっしゃいます。

歯のホワイトニングについては、施術の効果がすぐに出やすい人とそうでない人との差はあるものの、回数を重ねていくことで白くなっていきます。ホワイトニングをした後は、時間がたつとまた少しずつ元の色に戻っていきますので、半年を目安に定期的にホワイトニングを行っていただくことをお勧めします」

――歯列矯正は大人になってからだと時間がかかるので、子供の頃の成長時に行うのがいいとよく聞きます。ベストタイミングはいつですか?

「 歯列矯正には、乳歯から永久歯への移行期に行う"一期治療"と、全ての歯が永久歯になってから行う"二期治療"があります。
一期治療はまさにそのタイミングで起こっている子供の顎の成長発育を利用する治療であり、メリットも数多くあります。しかし、治療できる期間が限られていますので、まずは永久歯が出てくる6~7歳頃のタイミングで、一度歯科医院にてお子さんの歯の状態を診てもらい、一期治療が必要か否かの判断を仰ぐのがいいでしょう。
二期治療はワイヤーやマウスピースなどを使用して『歯』の位置を動かす治療で、歯茎が健康であれば治療に年齢制限はありません。しかし、若い人ほど歯の動きは良いので、お子さんの歯並びが気になる場合には、なるべく早めの段階でスタートすることをお勧めしています」

――子どもの頃からこまめな口腔ケアが必要ですね。

「地方自治体によってはお子さんのフッ素塗布を補助する制度もあります。まずは、3ヵ月に1度を目安に、定期的に歯科医院に通いましょう。 歯科医院は"虫歯になってから"ではなく"虫歯や歯周病にならないようにケアする場所"と認識を変えることが大事ですね」

※この記事は森下真紀歯科医師の見解に基づいて作成したものです。

取材協力:歯科医師・歯学博士/森下真紀さん。株式会社日本歯科総合研究所代表取締役社長。東京医科歯科大学歯学部歯学科首席卒業。在学時、英国キングスカレッジ歯学部へ留学。その後東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医を経て、東京医科歯科大学大学院にて博士号取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)。「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、多数のメディアに出演、2020年には「世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか」(ダイヤモンド社)を刊行し、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。

(取材・文/水野春奈)

森下真紀さんも出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜午前9時26分からのOAも要チェックです!

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