大切なのはリカバーする力! あえて言わない、あえて教えない...男子御三家「武蔵」流”自分で考える人間の育て方”

公開: 更新: テレ東プラス

歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週日曜よる9時放送)。MCに登坂淳一角谷暁子(テレビ東京アナウンサー)、解説におおたとしまさを迎え、「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

今回の名門校は、開成・麻布と並び男子御三家と称される名門「武蔵高等学校中学校」。武蔵の53期生で東京大学史料編纂所教授・本郷和人先生をゲストに迎え、その魅力を探っていく。

meimonko_20201121_01.jpg
1922年、東武鉄道や南海鉄道の経営に携わった根津嘉一郎氏により、7年制の旧制高等学校として創立した「武蔵」。1948年の学制改革により現在の高等学校が発足し、翌年には中学校が発足。1968年には、入試出願の際、出身校の生徒調査書を不要にし、個性的な生徒が集まるように。内閣総理大臣を務めた宮澤喜一さん、東京大学総長の五神真さん、早稲田大学総長の田中愛治さん、俳優の宮川一朗太さん、東京事変のベーシストで音楽プロデューサーの亀田誠治さんなど、多彩な人材を輩出している。

meimonko_20201121_02.jpg
敷地は東京ドームの約1.5倍という広さ。校内には、樹齢200年と推定される大ケヤキがあり、小川まで流れている。高さ16mの吹き抜けに吊るされているのは、地球の自転を証明したフーコーの実験を体感することができる「フーコーの振り子」。屋上には天文台があり、豊かな自然環境と充実した設備が揃っている。

meimonko_20201121_03.jpg
生徒の自主性を重んじ、伸び伸びと学習できる自由な校風。服装も自由で、生徒が好きなことを追求することができる。「失敗した時にどう立ち直って前を向いて歩くか、生徒たちがどれだけ小さな失敗を乗り越える体験を出来るか...。大人たちも、失敗を許容する雰囲気を出していくことが大事」と杉山剛士校長。失敗を許す武蔵流の教育論を語る。

meimonko_20201121_04.jpg
学校で飼育する動物といえばウサギやニワトリが一般的だが、「武蔵」で飼育しているのは、なんとヤギ。1年を通して自由に研究する「総合講座」の一環で、ヤギの生態を観察している。実はヤギは気骨のある生き物で、羊のように従順なだけではなく、時に飼い主に歯向かうほど自己主張する強い信念を持つ。ヤギの研究には「羊になるな、ヤギになれ」そんな意味合いも込められている。

meimonko_20201121_05.jpg
武蔵が人間形成のモットーとして創立時から掲げているのは「建学の三理想」。「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」「自ら調べ 自ら考える力ある人物」という理想にのっとり、グローバルな人材育成を実践。中1から英語で科学を学ぶ「REDプログラム」、中学生から第2外国語を必修科目にするなど、早い時期から海外に目を向ける教育を行っている。

meimonko_20201121_06.jpg
「教科書どおりに教えない」のも武蔵流。漢文を担当する阿部光麿先生は「学校から、授業に対する指示や依頼は一切受けたことがない。唯一あるとすれば、講師になった際、当時の校長先生から"一年間授業をして、漢文が好きだという生徒が1人でもいたら良い"と仰っていただいた。それだけだと思います」と語る。

武蔵流の教え方について、杉山校長は「生徒の好奇心を刺激して、自ら学ぶように仕掛けます。"あえて言わない・あえて教えない"ことも大事。中学1年生が自らルートを設定し登山する課外授業では、先頭を歩くのは生徒。先生は一番後ろについて、生徒が道に迷っても何も言わない。一緒に付き合って一緒に失敗して、リカバーする力を身につける」と語る。

個性豊かな武蔵の卒業生たちは、日本のあらゆる分野で大活躍。スタジオゲストの東京大学史料編纂所教授・本郷和人先生をはじめ、「はやぶさ」のプロジェクトリーダー・JAXAの國中均理事長、三菱重工で原子力発電の炉心安全技術を設計する福田龍さん、「リクシルグループ」瀬戸欣也社長兼CEO、東大法学部から外務省に進み、弁護士として独立した吉野正己さん、睡眠制御の解明に取り組み、日本で最もノーベル賞に近いと言われている柳沢正史さんなど、1978年度に卒業した53期生には錚々たる顔ぶれが揃う。

meimonko_20201121_07.jpg
柳沢さんは「私は研究者になりましたが、その根っこの部分は武蔵での体験にある。卒業レポートの成績優秀者に贈られる賞がありますが、私は自分でパソコンを組み立て、"コンピューターは今後、人の役に立つのか"をテーマにレポートを書き、賞を受けました。それが私にとっては大きく、研究者になるという方向がハッキリした」と振り返る。42年の時を経てもなお、武蔵OB・53期生たちは「自調自考」の教えを実践し、各界の先頭を走り続けている。

最後に杉山校長は「目先の進学実績よりも、10年後、20年後に伸びていく人を育てる。もちろん生徒の進路希望の実現にもしっかり向き合いますが、実績の数をただ追いかけるというのは本末転倒。何事も失敗を避ける時代ですが、いろんなことに配慮しながらあえてリスクを取ることも大事だし、そういう大人になるためには、私たちが後姿を見せること」と語った。

番組では他にも、53期生を深堀り、武蔵伝統の文化祭「記念祭」、卒業生が在校生に贈った答辞など、盛りだくさんの内容を紹介する。

現在この放送は、「ネットもテレ東」で、期間限定配信中です!

明日よる9時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「目指せ!名門校、子供のやる気の引き出し方」に迫る。

「一体どうすればやる気スイッチを子供に入れられるのか?」人気の算数教室を経営する宮本哲也先生とともに考えていく。「宮本算数教室」といえば、小学1年生から3年生には算数パズル、小学4年生から6年生までは算数しか教えない教室で有名。一体なぜ、宮本先生は教えないのか? そこに子供のやる気を引き出すヒントが隠されていた。

さらに、授業時間は小学4年生から2時間半、休みなしのぶっ通し。子供たちは飽きずに集中する姿を見せている。休憩時間を入れない理由はなぜなのか? 宮本先生は、「解けるか解けないかは、どうでもいい。学習は自分らしく生きるためのもの。考えること、学ぶことを続ければ勉強はできるようになる」と語る。

明日よる9時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)をどうぞお楽しみに!

PICK UP