92歳の匠が作る実験用ガラス器具がアートに! 破天荒な天才デザイナーYOUの正体は!?:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や全国の市町村で勝手に出迎えてアポなしインタビュー!そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは「YOUが日本で初めて○○したら今年の流行語をちらほら見つけちゃったSP!」。ドキドキ初体験に密着する95分、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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成田空港で声をかけたのは、フランス・パリから仕事で来たというラムダン(45)さん。化粧品などを扱う、総合美容ブランド「ビュリー」の新店舗をデザインするのが仕事だ。すでに日本に5店舗もあるそうで、場所は大阪府・京都府・東京都(3店舗)。

来日したのは、デザインを実現するために欠かせないガラス職人・Mr.桐山との打ち合わせのためだという。Mr.は実験用ガラス器具を作る職人さんで、世界一の技術があるとか。

それにしても実験用ガラス器具でお店をデザイン、ってどういうこと?...と悩んでいたら、「奇抜なデザインで説明が難しい、一緒に来てくれたらわかる」と誘われたので、密着決定!

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(取材日20年2月10日)

後日、代官山(東京都)で再会すると、まずはすでにオープンしているラムダンさんがデザインしたお店に向かった。しかし街を歩きながら空を見上げたラムダンさんは、真っ青な冬空に感激しすぎて、いきなり道路に寝転び大の字に(笑)!

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やって来たのは、総合美容専門店「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」日本1号店。店内に入ると、左右非対称の斬新なデザインにまず驚かされる。左側は現代日本建築の特徴・コンクリートむき出しの状態をイメージした軽やかな空間、右側は伝統的なパリの特注家具を配したノスタルジックな空間になっている。

そして、異なるデザインを真ん中でつなぐ境界線は金のライン。これは日本の「金継ぎ」からアイデアを得たそうで、その国の良い物はどんどん取り入れるのがラムダンさんのスタイルだ。
そして何よりいちばん重要なのは、「お客さんがドキドキワクワク胸踊るデザイン」と語る。

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陳列された商品(自然由来の香水からハンドクリームまで多数)もラムダンさんが開発に加わっていて、パッケージデザインも手掛けているとか。しかも、じつはこの会社の社長だったのだ。デザイナー兼やり手の社長だなんて、スゲ~!

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ちなみに「ビュリー」とは、2014年にパリに1号店をオープンするや瞬く間に美容界で話題になり、わずか6年で世界8カ国31店舗に急成長を遂げたブランド。

店舗デザインの奇抜さは先の紹介のとおりで、京都店は19世紀のパリ(店内)+数寄屋造り風(店構え)、ロンドン(イギリス)店は白い壁をベースにクラシカルな木製家具を強調した店...などと、どこの店内も驚きの空間だ。そんなラムダンさんが惚れ込むMr.桐山とは、いったいどんな方なのだろうか?

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次にYOUと車で向かった先は、下町の荒川区にある桐山製作所。ここに実験用ガラス器具を作って72年、ラムダンさんが最高にリスペクトするガラス職人がいる。

社に入って「先生! 元気?」と声をかけたのが、齢92歳ながら現役バリバリのMr.桐山こと、初代社長の桐山弥太郎さんだ。

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さっそくレジェンドの仕事を見せていただくと...。

それは、1000℃以上に熱したガラスに直接息を吹き込んで、精密に膨らませるという神業!! ラムダンさんは「超熱いのに口でくわえた! こんなの普通、病院行きだ」と大興奮だ。

ちなみに桐山製作所とは1948年に設立された実験ガラス器具のトップランナー。圧倒的な精密さで職人が仕上げたガラスは、あらゆる分野の研究シーンで支持を受けている。

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挨拶を終えると、ラムダンさんはまたMr.と仕事ができる喜びを伝え、高齢による引退について心配するが、Mr.は「全然考えてない」と即答してくれたのでホッとひと安心。

そして本題の打ち合わせでは、新店舗にあるおよそ5メートルの壁面を飾るためのデザインのイメージをじっくり伝え、製作はMr.と職人たちの優秀な腕に託された。

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続いて、打ち合わせ終わりで向かったのは、青山(東京都)・骨董通りの新店舗予定地。ここでは馴染みの大工さんと打ち合わせ。奥行きがある細長い空間の壁には、桐山製作所の実験ガラスが飾られるとあって、打ち合わせにも熱が入る。いったいどんな店が完成するのか!?

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そして、時は打ち合わせから7カ月後。8月28日には、待望の青山骨董通り店がオープンした。しかしコロナ禍でラムダンさんは日本に来られず、新店舗からフランスにリモートロケで直撃することに。

これまでラムダンさんは画像だけで工事の状況を確認してきたが、動画で見るのは初めてだそうで、「クレイジーな店だ!」と初見に大興奮。そして青山骨董通り店の目玉ともいえる、あのガラス管の壁はどうなっているのか?

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「Mr.桐山ががんばってくれた、天才だ」とラムダンさんが歓喜したとおり、ガラス管が複雑に絡み合う芸術がそこにあった。これぞMr.桐山の精密さ!

商品のボディオイルなども、お客さんが壁の実験器具で実際に試すことができるという楽しい仕掛けも忘れない。

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「日本へ行って早く見たい! でもまだ100%完成じゃない。お客さんの"ワォ!"って驚きが加わって完成だ。美しいものは世界を幸せにする力を持っている」と熱く語るラムダンさん。さらに「現在、神戸(兵庫県)と二子玉川(東京都)の新店舗の計画が進んでいるよ」という新情報も♪

ラムダンさん、これからも日本の良い物をどんどん取り入れてね~!

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