日本人の約8割が歯周病! 正しい歯みがきの仕方、時間、回数は?

公開: 更新: テレ東プラス

コロナ禍により歯医者から足が遠のいたり、外出や人と会う機会が減り、お口のケアを怠っていませんか? 気づかぬうちに、虫歯や歯周病が重症化しているかもしれません。

毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、歯学博士・歯科医師の森下真紀さんに「正しい歯みがきの仕方」についてうかがいました。

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お口ケアの重要性

虫歯、口臭、歯周病など、気になるお口のトラブル。特に歯周病は世界で最も多い病気としてギネスブックにも認定されており、日本人の約8割が歯周病だといわれています。歯周病は、糖尿病、認知症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、肺炎、肥満などの原因にもなる万病の元。健康のためにも、毎日のお口ケアを見直すことから始めましょう!

nanairo_20201115_02.jpg画像素材:PIXTA

正しい歯みがき

歯みがきの目的は、「歯」自体を磨くことではありません。歯周病などの原因となる「細菌の塊=歯垢(プラーク)」を除去することです。歯垢は粘着性があり、うがいでは簡単には落とせません。それゆえ、歯ブラシを使って機械的にしっかりと取り除く必要があるのです。
また厄介なことに、歯垢は残ったまま数日間でも放置されると、歯石へと変化します。 歯石に変化してしまうと、もはや手遅れです。自分自身では除去できず、歯科医院に行って取ってもらう他ありません。ですから、歯石になる前に歯垢を除去することがとても重要です。

【歯ブラシの選び方】
ハブラシの選択で重要なのが、毛のかたさとヘッドの大きさです。
毛のかたさについては、健康な人であれば、「ふつう」、歯周病で歯茎が弱っている人は「やわらかめ」を選びます。ヘッドの大きさに関しては、小さいヘッドがお勧めです。細かいところへもブラシが届きやすく磨きやすいでしょう。
歯ブラシは約1ヵ月を目安に交換してください。

【歯みがき粉】
さまざまな種類がありますが、歯周病対策なのか、虫歯予防対策なのか、といったように、個人の目的にあった歯みがき粉を選ぶことが重要です。
特に、虫歯予防を目的とするのであれば、高濃度の「フッ素」が配合された歯磨き粉が効果的です。フッ素の効果が最もよく得られる時期は、乳歯の生え始めから永久歯への交換が終了した後の数年間、つまり15歳くらいまでです。20代以降はフッ素の効果は殆ど得られません。しかし、50代、60代になって歯茎が下がってくると、歯肉に隠れていた歯根が露出してきます。その部分は、構造的に弱いため虫歯になりやすいと言えます。その部分の虫歯予防においては、再びフッ素が効果を発揮します。

nanairo_20201115_03.jpg画像素材:PIXTA

《正しい歯みがきの仕方》
1.歯ブラシの持ち方
ペンを持つように親指・人差し指・中指で軽く握る"ペングリップ"で磨きましょう。力の調節がしやすく、優しく丁寧に磨くことができます。
グーで握る"パームブリップ"で磨くと、力が入りやすく、歯の表面や歯茎が傷つくのでNG。ただし、力が弱いお子さんや高齢者の方はパームグリップでも構いません。

2.磨く場所
歯垢が溜まりやすい部位が、歯と歯茎の間や、歯と歯の間。これらの部位を念入りに磨くことがポイントです。
歯と歯茎の間を磨く場合には、歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の間に斜め45度の角度で向け、歯茎をマッサージするように少しずつ磨きましょう。
歯と歯の間を磨く場合には、フロスや歯間ブラシを用いて行います。

3.すすぎ
少量の水を口に含み、軽く1回すすぎます。
虫歯予防に効果的なフッ素を含んだ歯磨き粉は、フッ素が口の中に滞留してこそ、その効果が発揮されるため、すすぎの量は「少量」がポイント。

+デンタルフロス、歯間ブラシ
歯垢は、歯ブラシのみの歯みがきでは60%程度しか除去できないと言われています。そこで、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯みがきを追加すると、どうでしょう。なんと90%近くの歯垢が除去できると言われています。

デンタルフロスは、歯の間に糸を入れ、歯の側面に合わせるのがポイント。歯の側面に合わせたら上下に動かして歯垢を取り除いていきます。1つの歯と歯の間が終わったら、糸についた歯垢を軽く水ですすぎます。
また、歯茎が下がっている人は、歯間ブラシも使用するといいでしょう。

食後8時間ほどで歯垢ができ、その後48~72時間で歯石に変わるといわれています。1日2回朝夕の歯みがき、特に夜は時間を十分にとって、デンタルフロスや歯間ブラシを使用した丁寧な歯みがきを行うようにしましょう。

口は、体内に物を取り入れる入口。口の中の環境が悪いと、体に様々な悪影響を及ぼします。正しい歯みがきをマスターして、健やかな毎日を送りましょう。

※この記事は森下真紀歯科医師の見解に基づいて作成したものです。

取材協力:歯科医師・歯学博士/森下真紀さん。株式会社日本歯科総合研究所代表取締役社長。東京医科歯科大学歯学部歯学科首席卒業。在学時、英国キングスカレッジ歯学部へ留学。その後東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医を経て、東京医科歯科大学大学院にて博士号取得。日本学術振興会特別研究員(DC2)。「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、多数のメディアに出演、2020年には「世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか」(ダイヤモンド社)を刊行し、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。

森下真紀さんも出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜午前9時26分からのOAも要チェックです!

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