7社が熱いピッチバトルを展開! 優勝は、製造業必見の新星ベンチャー!

公開: 更新: テレ東プラス

未来のビジネスを発信するビジネスカンファレンス『Reversible World 2020』が9月15日に開催され、セッションの一つとしてピッチイベント「Startup Emotional Pitch Battle~求む!21世紀の課題に挑む/未来を創る起業家たち!~」が開催された。

70社以上の応募があった中から厳選された『株式会社トルビズオン』『homeal株式会社』『株式会社アペルザ』『株式会社おてつたび』『株式会社IB』『株式会社NIMARU TECHNOLOGY』『株式会社ヘラルボニー』の7社がそれぞれが描く未来像について発表した。

日本のドローン事業普及の壁となっている法律の問題を解決するマッチングプラットホームを提供する『トルビズオン』、既存のコミュニケーションツールにはない現実により近づいたオンライン空間を提供するツール「Ovice」を展開する『NIMARU TECHNOLOGY』など、それぞれの企業が限られた時間の中で独創的なアイディアをプレゼンした。

知的障害のあるアーティストの作品の経済的価値の向上、さらに障害者への偏見が払拭される社会的インパクト創出を目指すアーティストエージェンシー『ヘラルボニー』は松田崇弥社長、松田文登副社長の双子によるプレゼンでも注目を浴びた。

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そんな中、優勝したのは『株式会社アペルザ』石原誠社長の発表だった。

石原社長は日本の基幹産業である製造業を陰で支える製造設備産業に注目。日本にある工場の数は約18.5万事業所、国内の設備投資額は約24兆円と大きな市場があり、同社では製造業の工場が必要とする製造設備機器の取引を支援するインターネットサービスを提供している。

アペルザが製造設備産業にこだわる理由の一つに、日本の将来への心配がある。

日本の人口が減り続けており、このままいけば内需が萎み、外需に頼らなくてはいけない。しかし日本の貿易収支は2019年で1兆6438億円の赤字。輸出は自動車産業に頼っているが、2019年の四輪車両出荷台数は482万台。CASE革命の真っ只中にある。この先も盤石かは不透明だ。

そこで同社が自動車産業に次ぐ輸出品目と目をつけたのが半導体製造装置や工作機械の製造設備機器だ。製造設備機器は中小企業が90%以上を占め、海外売り上げ比率も低くまだまだ伸びしろがある。

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アペルザの発想の原点はキーエンス時代に見たアリババだった。

「当時アリババで売られているもののほとんどが中国製。中国のメーカーにとってはアリババに載せれば世界中から注文が取れる。世界中の顧客と取引ができる。そういう海外進出のプラットフォーム、世界進出の発射台の役割を担っている」

そして日本の製造設備産業にも新たなプラットフォームが必要と考え、アペルザを立ち上げた。

現在同社では製造設備産業で外貨を稼ぐためにインターネット上で売り手と買い手が直接やり取りができる工場向けプラットフォームを構築。マーケットプレイスの提供だけでなくリアルな営業を支援するクラウドサービスも搭載されている。

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「創業して4年半になりますが、今では買い手は35万人が毎月利用。8000社の企業がプラットフォームを使っています」(石原社長)

また東京五輪の延期により東京ビッグサイト等が利用できず、製造業にとって大事な展示会ができない状況を受け、JTBと協業し展示会のオンライン開催を支援している。

今後はプラットフォームを通して日本の中小企業の海外展開を後押しするとともに、アペルザとしても海外展開を進める。「インターネットの世界ではGAFA、中国の会社に太刀打ちできないが、この領域では勝ち切りたいと思っています」と石原社長は強く話した。

審査員である『FiNC Technologies』創業者で『WEIN挑戦者FUND』代表パートナーの溝口勇児氏は「市場も大きいですし、日本の製造業がもうひと花咲かせるきっかけとなる会社だと思います」と評価。今回のイベントで唯一「出資を検討したい」との札を挙げた。

『Reversible World 2020』の全ての動画は、テレビ東京ビジネスオンデマンドで無料配信中!

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優勝した石原社長は「われわれは登壇した中で一番地味な領域を掘っていると思っていたので、こういう形でみなさまに興味をもっていただきびっくりしています。製造業は日本の宝だと思ってますので、われわれだけでなく日本の製造業をなんとか次の世代につないでいけるように、一緒にいろんな話ができればなと思っています」と少し驚きながらも喜びを語った。

なおスポンサー賞として「富士通アクセラレーター賞」が『NIMARU TECHNOLOGY』CEOのジョン・セーヒョン氏、「FUNDINNO賞」が『ヘラルボニー』松田崇弥社長、松田文登副社長に送られた。

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