外国人初!? 約140年前の古民家に住むYOUがどハマリしている”死ぬまで”居たい町の伝統芸能:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを、空港や全国の市町村で勝手に出迎えてアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回のテーマは「絶滅寸前!日本の宝を守れ!スーパーヒーローYOU参上SP」。古き良き日本の文化を守ろうとするYOUに密着する95分、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

you_20201102_01.jpg
空港を飛び出し、日本全国の市町村で面白そうなYOUを捜索する「出張YOU」!

今回の出張先は、約7割が山地の福岡県八女(やめ)市。江戸初期には城下町として栄え、当時の町家や蔵や水路など、今でも江戸の風情が多く残る町だ。さらに日本有数のブランド茶「高級玉露」の名産地でもあり、コクと旨みのある八女茶は全国的に有名。

この人口約 62,000人の地で暮らすYOUは約540 人。いったいどんなYOUが見つかるか?

you_20201102_02.jpg
山に囲まれた集落で畑作業中のお父さんに声をかけると、集落の寄り合いに毎回顔を出すYOU「だいたい良い人のルパートさん」が近所にいるという有力情報が! さっそくお礼を言って向かうと、年季の入った古民家が見えてきたが...、本当にここにYOUが?

you_20201102_03.jpg
玄関で声をかけると、イギリス出身のルパートさん(53)が現れたので、八女市に住む理由を直撃すると、「僕は日本の古いものが大好きでね。この町はたくさんある」と答えてくれた。この家も2年前に購入した約140年前の古民家で、大工さんに習いながら少しずつリフォーム中だとか。
そんな古いものに囲まれた生活を取材したいとお願いすると、日本人の奥さん(朝木さん)と相談し、翌日にはOKの連絡をもらうことができたので密着決定!

you_20201102_04.jpg
再びルパートさんの家を訪れ、奥さんにもご挨拶してから家の中を案内してもらった。この古民家は購入したものだそうで、「88万円で買ったんだ」と教えてくれた。しかも家と隣接して建つ蔵なども含めた価格というから、圧倒的な安さだ。

you_20201102_05.jpg
では、ルパートさんの古い暮らしを追っていこう。

11時に「これからお昼ご飯を作るよ」というルパートさんは、台所ではなく、まず木の道具の組み立てにかかった。これは納屋にあった道具で、なんと約100年前の千歯扱き(せんばこき)! 去年収穫した稲を用意して「これが今日の昼食」というが、まさか料理がここからのスタートとは...。

まずは道具の突起に稲を挟み、昔ながらの脱穀にかかる。やり方はYouTubeを観て知ったというから、調べ方は今どきだ。

you_20201102_06.jpg
2カップ分くらいの脱穀を終えると、風を起こして藁(わら)を取り除く大きめの機械の前へ。これもおよそ80年前のものだそうだが、ネットでポチって2,000円だったというから買い方も近代的。ちなみにこちらは唐箕(とうみ)という、風力でもみ殻などのゴミを取り除く農具で、当時のハイテクマシーンだ。

you_20201102_07.jpg
除き終えると、次は玄米にする作業へと続く。蔵で見つけた棒で叩けば、外側の殻を取って玄米にできるが、今回は時短のためにすり鉢を使うらしい。時短とはいえ15分もゴリゴリすってもみ殻を取り、やっと玄米になるのだ。

ここまでくれば、最後に現代の精米機にかけて、10分ほどで白米に。「めっちゃ美味しいよ、このお米は!」とYOUの太鼓判がついた米は、研いで土鍋に入れ、薪ストーブで15分炊く。

you_20201102_08.jpg
30分後、ようやく手間暇かけた昼食が完成!

自家製みそで作ったオクラ入りみそ汁や、庭で採れた山椒の葉の和え物などをおかずにして、好きな場所でのんびり食べるのが日課。YOUは「作るのに2時間かかって、食べるのは5分だよ」と苦笑するが、夫婦で一緒に美味しさを噛みしめ、幸せそうだ。

you_20201102_09.jpg
ところで、そもそもなぜ八女市へ?

それは、大学を卒業後に広告代理店を経てプロの写真家になったルパートさんが、アメリカの大手新聞社と契約してアジア各国を飛び回る日々の中、撮影で訪れた八女市の古い町並みに一目惚れしたから、なんだって。

そんなルパートさんが今、超どハマりするものがあるというので案内してもらうことに。

you_20201102_10.jpg
ハマっているのは、大きな人形!

しかも人形劇を観るだけではなく、ルパートさんも人形の操作を始めた。これは「人形浄瑠璃」という、語りと三味線の演奏に合わせ、人形を操る古典芸能。3人で一体の人形を操り、細やかな感情を表現するのが醍醐味の浄瑠璃は、明治5年に八女市にも伝わり、町民たちで継承してきた。しかし近年は後継者不足のため存続の危機にあり、ルパートさんは伝統芸能を守りたくて昨年加入したという。

今まで伝統行事の写真は撮っても、参加したことがなかったルパートさんは「なんせ古いものには興味があるから! 町の人たちとも交流できるし、外国人では初めてと聞いたからやりがいがあると思って」と、八女市で外国人初の人形遣いになり、意欲満々だ。

you_20201102_11.jpg
「黒木町 旭座人形芝居保存会」会長の石崎九十九さんは、「地元のみなさんがビックリしたけど、(ルパートさんは)真剣に練習している。将来的に長く続けてくれれば」と、加入に好意的だ。こうして町の方々に歓迎してもらい、約1カ月の猛練習のすえ、2019年11月の舞台で堂々デビューしたルパートさん。デビュー作につき出番は15秒...という短さだったが、感無量だ。

YOUの暮らしをひととおり見せてもらえたところで密着は終了。「子どもや孫にもこの美しい町の暮らしや伝統を伝えていきたい」と願うルパートさん、これからも美しい町で昔の田舎生活を楽しんでね!

PICK UP