<不妊と電磁波の気になる関係>精子の状態は”あの食べ物”で改善される

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、症状や病態に応じた専門的な治療法から生活の中での身近な健康法まで、皆さんが感じているさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちがやさしく答える、知的エンターテイメントバラエティです。

今回のWEBオリジナル企画「主治医の小部屋」では、同番組のレギュラー・姫野友美医師に、男性の不妊症に関するお悩みに答えていただきました。職業や環境的なことが原因になることもあるのか、対処法などはあるのかお聞きしましょう。

ウナギや緑黄色野菜は精子の形成に効果あり

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Q:30代男性です。職種と不妊症には関係があるのでしょうか。たとえば、ノートパソコンを膝の上に乗せて作業すると電磁波の影響を受けるという話を聞いたことがあるのですが、本当でしょうか。現在、不妊治療でタイミング法を実践していますが、なかなか結果に結びつきません。医師からは僕の精子の量が不足しているのが一因だと言われています。

── 先生、不妊に悩む男性が増えているようですね。

「男性不妊にもいろいろと原因があるのですが、脳をとても使う仕事が精子の形成に関係するといわれています。精神的な労働によるストレスは生殖機能に影響しやすいんですね。また、男性ホルモンは筋トレをすると増えるので、座りっぱなしで脳だけを使って作業する人は筋肉を使わないぶん、男性ホルモンが出にくくなってしまうのです。

もうひとつ、食べるものも大きく関係しています。男性不妊の患者さんにはタンパク質が足りていない方が多くいます。たとえば、IT関連の仕事などでは忙しい仕事の合間を縫って食事を簡単に済ませてしまう傾向がありますよね。脳も使うし、会社に泊まり込んだりすればうまく睡眠もとれませんし、疲れもとれない、業務中はずっとパソコンを見ているという状況は良くありません。

基本的に精子の素はタンパク質ですから、タンパク質はしっかり摂取すること。あとはビタミンA、ビタミンD、DHA、亜鉛も重要です。DHAは魚の油に、ビタミンDも魚介類に多く含まれているので、魚をしっかりと食べたほうがいいでしょう。ビタミンAは緑黄色野菜やウナギなどに含まれています。これらを積極的にとることで精子の形成は良くなっていきます」

── まだ30代ということもありますが、あきらめずに生活を改善していけば増えることもあると考えていいですか。

「精子の数や運動は改善するので、十分に可能性はあると思います。ちなみに当院では卵子栄養療法をする際に男性も一緒に診るのですが、一緒に栄養療法を行った結果、精子の数が増えて実際に妊娠した患者さんがいます。男性更年期の方も男性ホルモン値を改善できるのですから、年齢的なことであきらめる必要はないですよ。

男性不妊も今は多くなり、不妊原因の半数弱は女性に、4分の1は男性に、残りは両方に原因があるか原因不明とされています。意外と不妊治療の中で男性不妊は見逃されていることが多いのですが、きちんと治療すれば良くなりますからあきらめないこと。女性は卵子に栄養を与えることが大事なように、精子にも同じように栄養を与え、細胞分裂が活発になればいいわけです。男性不妊こそきっちり食事を見直すことを考えたほうがいいですね。

また、メタボリックシンドロームの人は不妊になりやすいので注意が必要です。糖代謝が悪くなると、ED(勃起不全)や不妊症になりやすくなります。ですから糖質は過剰に摂らないほうがいいですね」

ブルーライトがホルモンに悪影響を与えている可能性も

doctor_20201028_02.jpg画像素材:PIXTA

── 生活習慣の影響を受けやすいことはわかりましたが、電磁波についてもやはり注意したほうがいいのでしょうか。

「電磁波については、今のところ因果関係が明確に示されているわけではないんですよね。問題は電磁波というより、パソコンを見ていることによる精神的ストレスでしょう。おそらく紙ベースでの仕事に比べ、パソコン作業は目や脳もより疲れると思います。それだけ消耗が大きければ当然自律神経も乱れやすくなるので、昔はテクノストレスという言葉もあったくらいです。自律神経失調症を起こしやすくなることが心配ですね」

── やってはいけないこと、自己防衛の仕方などはありますか。

「おすすめしたいのは、脳を使いすぎたら身体を使うようにすることです。脳に溜まった血液を全身に流して、血流のバランスをとるといいでしょう。長くパソコン作業などをして脳がヒートアップしてくると、脳の温度が上がりすぎて機能が落ちてきます。少し身体を動かして脳の血流が全身に行き渡れば、脳がクールダウンして頭がすっきりしてくるので、ストレスも解消できます。

脳を別のことに使うのもいいですね。パソコンを操作しているときは文字を追うので左脳を使っています。そこで音楽を聴いたり、映画を観たり、スポーツを観戦したりすることで、右脳を使うのです。

すると左脳に集まっていた血液が右脳に行き、左脳が休まります。左右の脳も血流のバランスをとると疲れがとれるので、身体を使うだけでなく右脳を使うようにするというのも効果的です。そう考えると、テレワークでパソコンばかり見ているのは健康にあまり良くないといえますね」

── 仕事以外の時間も含めて、10時間以上パソコン操作をしているという人も多そうですね。

「テレワークによってパソコン作業が増え、頭を休めようとまたパソコンで別の画像や映像を観る人も多いと思いますが、それでは目も脳も休まるヒマがありません。物を見るということは、思っている以上にエネルギーを消費しています。目からの情報を遮断するだけで、頭はすごく休まりますので、合間にリラックスできる時間をつくることを心がけてください。

また、じつはブルーライトこそホルモンに影響を与えている可能性があるといわれています。直接男性ホルモンにどのくらい関係するかというデータはこれから徐々に明らかになると思いますが、少なくともブルーライトを浴びるとメラトニンの分泌が低下するので、男性ホルモンの分泌に必要な睡眠の質は落ちます。おそらくブルーライトはこのほかにもいろいろな悪さをしているのではないかと思いますので注意が必要です。

運動と睡眠と食事、あとは適度に休むこと。それらをきっちりやれば相談者の悩みも改善していくと思いますよ」

── 姫野先生、ありがとうございました!

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。著書に「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)など。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った姫野先生も出演する主治医が見つかる診療所SPは【芸能人免疫力不健康ランキング・秋の健康食材】(10月29日木曜夜7時58分)

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