「SDGs」が生まれる100年以上前から根付くクボタの社会貢献の精神

公開: 更新: テレ東プラス

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環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

9月25日にはその第3弾が放送され、株式会社クボタが取り上げられた。

「SDGs」以前から根付く、クボタの社会貢献の精神

「SDGs」という言葉が生まれる以前から、日本では社会貢献を第一としスタートした企業が多かった。クボタもその代表的な企業だ。

クボタの創業者である久保田権四郎氏は、パナソニックの創業者で、経営の神様と称された松下幸之助氏が「お師匠さん」と敬意を表した人物。
その久保田権四郎氏は「自分の魂を打ち込んだ品物を作り出すこと、又其の品物には正しき意味に於ける商品価値を具現せしむること」との言葉を遺している。

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全智全霊を込めて良い商品を作り出さねばならないし、技術的に優れているだけでなく、その商品が社会にとって役立つものでなければならないという意味の言葉だ。

実際にクボタは社会課題に応えることで、事業を成してきた企業だ。

権四郎氏は鋳物職人として起業・独立した後、明治20年代にはコレラの流行により急務だった水道整備に対し、国産水道用鉄管の量産を成功させ貢献した。その後、戦後の深刻な食糧不足への対応では耕運機を開発。高度経済成長を支える社会インフラ整備にも貢献してき た。

クボタの社会貢献の精神が産んだ空気清浄機

そして今、クボタの社会貢献の精神が新たに産んだのが大型の業務用加湿空気清浄機『クボタ ピュアウォッシャー』だ。ジャパンラグビートップリーグ所属の「クボタスピアーズ」では、選手が室内練習する場所の衛生状態を保つため『ピュアウォッシャー』が活躍している。

一台で最大適性面積は200平方メートル、テニスコート1面分をカバーできるこの空気清浄機の効果について、クボタスピアーズの谷口和洋選手は「選手が集まるストレッチする空間やミーティングを行う場所にあることで、安心の材料になり、日々安心してスポーツをさせてもらっています」と話す。

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『ピュアウォッシャー』は"水で空気を洗う"という発想で作られた製品だ。空気清浄機に取り込まれたウイルスや菌をフィルターでキャッチ。次にミスト上に噴射された水で洗浄 し、非常に細かい粉塵やガス状になった物質を取り除く。浮遊ウイルス・菌を99%抑制し、2.7リットル/時間の加湿も行える。部屋の気になる臭いやハウスダスト、花粉も除去する。

「全体の構成の中で、重要なのがエアワッシャーという装置になります。ステンレスの箱の中では、半導体用の工場のクリーンルームの空調機を作っていた弊社の空調部門の技術が改良・応用され使われています」(クボタ精密機器技術部 相澤拓機器開発グループ長)

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また内部で起こる電気分解で除菌できる機能水「微酸性電解水」を機内で生成することも特徴の一つだ。

「微酸性電解水」は強い除菌力と高い安全性を両立した除菌水で、『ピュアウォッシャー』から直接取り出し、テーブルの除菌、排水箇所の雑菌対策、子どもたちが遊ぶおもちゃの除菌などに使用することができる。

相澤機器開発グループ長は「家庭用の空気清浄機はすでに普及していました。それが公共の場所や大空間に徐々に広がるという読みはあったが、今回一気に認知度が高まった。10年か20年一気に先に進んだような印象です」と新型コロナウイルスの拡大を受け、注目度の高まりを語る。

社会に貢献することがクボタのスピリッツ

病院やオフィス、スポーツジムで空気の衛生状態をいかに保つかは、事業の持続性に関わる死活問題となっている。

『ピュアウォッシャー』を導入したウェルネスフロンティア・経営管理本部の宮森康ゼネラルマネージャーは「(空気の衛生)対策は天井の中にあり見えないためお客様に言葉では説明できるんですが、ビジュアル的に説明できない。ですが『ピュアウォッシャー』があることでビジュアル的に説明できる点はかなり大きい」と話す。

培った技術を社会にどう役立てるか。新型コロナウイルスの影響が続いていた7月末、千葉県船橋市に工場を構えるクボタは、市に『ピュアウォッシャー』を寄贈。市役所の食堂に設置した。

船橋市の松戸徹市長は「新型コロナがこれから新たな技術を生み出すきっかけにもなっていく。異業種の企業などに『こういったこともチャレンジできるのでは』という技術的なアドバイスを市の商工会議所とも連携をしてやれればいいなと思っている」と期待する。
SDGsが世界的にフォーカスされる今、クボタは社会課題についてどう考えているのか。

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番組の取材に答えたクボタの北尾裕一社長は「資源問題が地球全体の問題になってきて、地球に住めなくなるというような状況になって騒がれ始めている。でも、それは元々社会の問題だった。それを地道に解決していくというのが少し足りなかった結果、大きな問題になっていると思う」と現状について自身の認識を明かした。

その上で「社会の課題を解決することによって売り上げと利益を得ている。根本的に社会課題を解決し、社会に貢献することが我々クボタのスピリッツ。そこを踏み外しては企業は生き残れない。効率一辺倒で、利益利益ということだけでいっても破綻してしまうというのは我々も肝に銘じて事業を展開している。特に今の立場になってそれを感じています」と社会課題の解決、社会貢献あってのクボタであると強く語った。

これからの企業は継続的に利益を上げながら、社会に対してより良い影響を与えなければならない。それはSDGsの精神にも共通しており、クボタはまさにそれを体現している企業といえる。

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