毎日家飲みで二日酔い&吐き気...悪酔いに効く<最強の食べ物>:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(木曜夜7時58分から放送)は、医師や病院の選び方のコツや、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちが答える、知的エンターテイメントバラエティ。

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、オンライン飲み会などで酒量が増えてしまったという男性からの相談です。同番組のレギュラー・秋津壽男医師に、家飲みでの注意点などについて教えていただきました!

飲む時間帯とおつまみの量を決めておこう

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Q:30代男性です。新型コロナウイルス感染症による自粛生活で、家でのオンライン飲み会やひとり飲みの機会が増えました。つい飲みすぎてしまう傾向があり、寝落ちしたり、二日酔いになったりしがちです。家飲みで気をつけたいこと、秋津先生おすすめの「二日酔いになりづらいおつまみ」などを教えていただきたいです!

── 家飲みで油断して飲みすぎてしまうという声は多いようです。

「飲み方にはいろいろとパターンがあって、1人だと量をあまり飲めない(飲まない)人、反対に1人だと歯止めが利かないという人もいますよね。ワイワイ盛り上がるのが楽しくて飲む人は前者、お酒が好き、飲むこと自体が好きという人は後者です。自分がどちらのタイプなのかをまずはチェックしてみることです。

ワイワイ飲むのが好きな人は、家で飲む場合もZoom飲み会などでメンバーを集めて雰囲気を楽しんでいるのでしょう。リモートとはいえ、誰かとつながりがあるのですから『そろそろ終わりにしようか』と言ってくれる人もいるし、そう飲みすぎることはないかと思います。

問題は、相談者のようにお酒が好きで1人で飲むのも好きなタイプの人。お店なら閉店時刻があったり、終電やお金の心配をしたりで、どこかでストップがかかるのですが、家の場合は無制限で何も気にしなくていいぶん、やめどきがわからなくなるんですね」

── 今はテレワークで終日家にいる人も多いと思いますが、飲みすぎを防ぐ良い方法はありますか。

「1つはいつもの決まった時間帯で飲むこと。テレワークだから休みだからと陽の高いうちから飲み始めたり、夜中まで飲んだりするのではなく、たとえばいつもどおり仕事が終わる夜の7時までは我慢して、終電の時刻には切り上げる、など。自粛に伴う家飲みは一時的なものですから、半年後、1年後に元の生活に戻ったときにすぐ社会復帰できるようにしておかないといけません。

普段から飲みすぎる傾向がある人は別ですが、多くの人はいつものパターンで飲めばいつもくらいの酔いで収まるはずです。

もう1つは飲む前にルールづくりをすることです。日本酒だったら一升瓶からそのままつぐのではなく、徳利に2合分を別の容器に移し入れる、ワインもその日に飲む量を決めて、瓶やボトルを片付けてからスタートするようにします。冷静で賢い選択ができるうちに自分のキャパシティに合った量をあらかじめ決めておくのです。

またビールの場合は、できるだけ瓶ビールを自分で注ぎながら飲むのがオススメです。このとき、グラスは値段が高めで小さめのものを用意します。花火を見ながら紙コップで飲むビールもいいですが、高級店で量もさほど入らないような上品なグラスで飲むと、なぜか飲んだ量以上に満足感がありますよね。酔った満足感にシチュエーションによる満足感が加わり、よりお酒を飲んだという満足感が高まるわけです。

じつはこの "注ぐ" という手の動きも重要で、お酒は飲むシチュエーションに手間をかければかけるほど少量で満足します。胃で飲んでいるというより注ぐ手の動きでもう十分飲んだという感覚になるのです。ですから、ちょっとした工夫で飲む量はコントロールできるのだと覚えておいてほしいですね」

── 自粛太りという言葉もありますが、やはりおつまみの量も増えてしまいがちです。

「冷蔵庫を開ければどんどん手軽なおつまみが出てくるという状況は避けたいですね。おつまみもお酒と一緒に最初に量を決めて、面倒でもお皿に盛り直しましょう。たとえば、塩辛などもそのままだと1ビン近く食べてしまいそうになりますよね。1人前だけ取り分けて定食セットを作り、あらかじめ冷蔵庫に"今日の晩酌用スペース"をつくって寄せておきます。乾き物やコンビニのおつまみセット、缶詰なども同様です。取り分けて用意したものがなくなったときが "今日は看板ですよ" という合図です。

誰でもある程度飲み進めていくと、自制する意識が薄れてきます。もっとおつまみはないか、頂き物のお酒がどこかにあるはず、と探してしまいたくなるのも無理はありません。だから理性のある、まだ酔っていない段階で普段の飲み方ができる状況を用意しておくことが、自粛太りや飲みすぎの防止につながります」

おつまみを選ぶときは野菜、豆類、チーズを意識して

doctor_202001014_02.jpg画像素材:PIXTA

── おつまみを選ぶうえで気をつけたいことはありますか。また酔いづらいおつまみなどもあったりするのでしょうか。

「おつまみを作るのは結構大変なので、出来合いのものや保存食も多くなると思います。ですが、やはり栄養バランスを考えて、できれば野菜は多めにとるようにしたいですね。これは野菜が特におつまみに適しているという意味ではなく、飲みすぎや自粛太りを気にする人の多くは、野菜が不足しているからです。おつまみの人気メニューである焼き鳥や唐揚げなどもそうですが、どうしても糖と脂が主体の茶色っぽい食品を選びがちです。野菜を食べすぎて具合が悪くなるという人はまずいませんから、野菜を増やす工夫をしてみましょう。

オススメなのはスティックサラダ。調理の必要がなく、野菜をざく切りにする程度で十分です。よく串かつ店で出てくるようなちぎった生キャベツに、キュウリやトマトなどを添えてもいいでしょう。コンビニを利用するなら、できるだけ野菜の入ったお惣菜を選ぶようにしてください。

また、アルコールの分解を促進したいということであれば、ビタミンB群が必要です。ビタミンBが多い食材といえばやはり豚肉、それからニンニク、ニラ、玉ねぎなどの香りの強い野菜です。これらを手っ取り早くとりたいなら餃子がピッタリですね。

大豆などの豆類もアルコール代謝に効果的なので、冷奴、納豆、枝豆などのおつまみを用意するのもいいでしょう。豆類はそのまま食べられるものが多いので、おつまみとして取り入れやすいと思います。同様にもう一品というときに足しやすいチーズなどの乳製品も、ビタミン類が豊富なのでオススメです。

さらに近年の研究で、トマトにはアルコールの代謝を促進して二日酔いになりにくくする効果があることがわかっています。簡単にカットしてそのままでも、味が寂しいようであればマヨネーズをかけて食べるのもいいでしょう。それも面倒な場合はトマトジュースでも構いません。トマトチューハイも結構おいしいですよ。」

── よく、乾いた喉にビールがうまい、空腹のときのほうがお酒はうまいなどといいますが、水分や空腹を我慢してから飲むと酔い方に違いは出るのでしょうか。

「アルコールは胃から吸収されるので、空腹だと早く吸収して悪酔いしやすくなります。理想をいえば、スープやお茶を1杯飲んでからお酒を飲み始めたほうが体には絶対いいですね。昔はウオッカなどを飲む場合はチーズやバターをかじってからがよいといわれていましたが、いくらチーズやバターで胃をコーティングしてもショットで飲めば全部溶けてしまい効果はありません。

アルコールというのは酵母がつくるのですが、アルコール度数17%くらいがほぼ限界で、それ以上になると酵母自体が死んでしまいます。これが生き物としての許容範囲で、それより濃いアルコールは細胞にダメージを与えます。

実際アルコールは毒性が強く、蒸溜してアルコール度数70%以上になるとコロナウイルスも死滅します。40〜50%のウイスキーでもストレートで飲むのは胃腸にあまり良くないのです。だいたい飲みやすくて味覚で美味しさがわかるのは12〜15%くらい。スピリッツ(蒸溜酒)もロックや水割りにしてその範囲に薄めて飲むようにするといいでしょう。

ビールについては、たしかに喉を刺激するという意味ではおいしいですよね。でも、そのためにわざわざランニングしたり、サウナで汗を絞り出したりしてから飲むというのは体には良くありません。ビールを飲む前に脱水症状を起こして、最悪、脳梗塞を起こす可能性もありますので、必要以上に脱水状態に追い込んだりするのはやめましょう」

── 秋津先生、ありがとうございました。

【秋津壽男医師 プロフィール】

1954年和歌山県生まれ
1977年大阪大学工学部発酵工学科卒業 1986年和歌山県立医科大学卒業
1998年秋津医院を開業
日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医
日本医師会公認スポーツドクター 日本体育協会公認スポーツドクター
日本禁煙学会認定禁煙専門医
著書に「本当に怖いのは、第三の脂肪」(幻冬舎)、「薬を使わずに『生活習慣病』とサヨナラする法: 医師が教える『自己治癒力を高める』コツ」(三笠書房)、「こわい病気大全」(ダイアモンド社)など。

※この記事は秋津壽男医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った秋津先生も出演する主治医が見つかる診療所SPは【血管若返り&がん予防食材・腸ドック・発酵食品】(10月15日木曜夜7時58分)

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