ラードもパン粉もすべて手作り! 「かつ丼」の名店が”企業秘密のタレの配合”を大公開:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

今回は「ニッポンにご招待したら人生が変わっちゃった!感謝のビデオレターが届いちゃいましたSP!」をお届けします。

「ニッポンのとんかつ」がスペインで大流行!

まずご紹介するのは、スペイン南部のリゾート地・カディスに住むピラールさん・アントニオさんご夫婦。

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料理好きなお二人に出会ったのは今から3年前。自宅には、世界各国の料理本が500冊も並んでいます。中でも二人が愛してやまないのがニッポンの「とんかつ」。

6年前、本でニッポンのとんかつを知り、初めて作ったというピラールさん。アントニオさんも「初めてとんかつを食べた時はあまりに美味しくて、『何だこれは!?』と思うほど衝撃的でした。肉の揚げ物は世界中にありますが、ニッポンの揚げ物は衣が独特。何より旨味たっぷりのソースをかけて味わう文化はニッポンだけです!」とものすごい熱量で伝えます。

とんかつが誕生したのは、約120年前。今も営業を続ける洋食店「煉瓦亭」(東京・銀座)の創業者・木田元次郎が、1899年に炒め焼き料理だったポークカツレツを、パン粉をつけて油で揚げる料理にアレンジして売り出したのが始まりといわれています。昭和の始め頃には、現在のようなお箸で食べるスタイルの「とんかつ」が登場し、一気に全国に広がりました。

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二人のとんかつ作りを拝見。スペイン料理によく使うというにんにくの粉で味付けし、衣をつけた骨付きのロース肉を揚げていきます。骨付き肉を使う理由を「骨から旨味が出て美味しくなるから」と教えてくれました。とんかつソースは、ケチャップ、醤油、ウスターソースに、甘味とコクをだすための黒砂糖、カディス地方の名産・シェリー酒を加え、冷蔵庫で3日間寝かせたもの。

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さらに、卵でとじたかつ丼など、様々な料理にアレンジできるのもとんかつの魅力だと語ります。「ニッポン独自のパン粉の他にも揚げ方など、とんかつを美味しくする技をぜひ知りたいですね!」とアントニオさん。そんなとんかつ愛あふれる二人をニッポンにご招待!

まずやってきたのは、東京・神田小川町にある、とんかつ好きなら誰もが知る名店「ポンチ軒」。

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「ミシュランガイド東京」のビブグルマンに6年連続で選出。全国から食通たちが足を運び、連日行列ができる「ポンチ軒」ですが、この日は休日を返上し、お店を開けてくださいました。「このような名店で、最初のとんかつをいただけるとは光栄です」と話すアントニオさん。そしてこちらが、「ポンチ軒」の『特選ロース豚かつ定食』。

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中は、うっすらピンク色が残る絶妙な揚げ加減! 初めていただくニッポンのとんかつのお味は?

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「信じられない美味しさです。ウ〜ン♡ やわらかいです」とピラールさん。アントニオさんも「最高です。オイチー オイチー」とチャーミングな日本語を。「美味しい肉汁たっぷりで、周りの衣はサクサクです」「揚げ物なのに全く油の重みを感じません」と初めてのニッポンのとんかつに大満足の二人。お店の皆さんに感謝を伝え、「ポンチ軒」を後にします。

実はピラールさん、ニッポンに着いた際、「美味しいかつ丼も食べてみたいです。卵のとじ方やタレについても学びたいです」と話していました。今から約100年前に誕生した「かつ丼」。一説には、早稲田高等学院の学生がカツレツをご飯にのせたのが始まりとも言われています。二人は東京・四谷にある知る人ぞ知るかつ丼の名店「鈴新」へ。長年地元で愛されながら、遠方から足を運ぶリピーターも多い老舗のとんかつ店で、多くのお客さんがカツ丼を注文するそう。現在は、2代目のご主人と奥さん、3代目となる息子の隆介さんで切り盛りしています。

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二人は卵でとじる王道の「煮かつ丼」と、ご主人が15年前に生み出したお店の名物で一番人気の「かけかつ丼」を注文。早速、作るところを見学させていただくことに。

お肉は、脂が甘い茨城県産ロース肉。

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ご主人が見せてくださったのは、卵と水とメリケン粉(小麦粉)を混ぜた"ときたま"。ロース肉に小麦粉をまぶし、ときたまにくぐらせます。こうすることで肉と衣がはがれにくくなるそう。パン粉は毎朝お店で手作りしたものを1日置き、水分量を最適にしたこだわりの生パン粉。

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注文が入ってから揚げるのも「鈴新」のこだわりです。揚げ油に使うラードも自家製で、土曜日の朝、1週間分をまとめて作るそう。「このラードが作れなくなった時が店をたたむときだ」という先代の言葉を胸に、昔ながらの作り方を続けています。手作りのラードで揚げると、独特のコクと香ばしさが増すとのこと。

そんな中、ピラールさんが「とても興味深いです」と注目したのがどんぶり用の鍋。30年使い続けているアルミの打ち出し鍋に、玉ねぎ、出汁を効かせたタレを注ぎます。ベストな状態になるタイミングを見計らって、カットした揚げたてのとんかつを投入。ポイントは、揚げたてのとんかつの食感を活かすため、煮こみすぎないこと。一度ふたをし、蒸らすこと20秒。すかさず溶き卵を加えます。三つ葉をのせ、さらにふたをして旨味を閉じ込めること15秒。肉汁がしみたタレとともにご飯の上にのせたら「煮かつ丼」の完成です。

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「かけかつ丼」はとんかつを煮こまずご飯の上にのせ、濃いめの出汁で煮込んだ卵とじをかけて完成。

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「煮かつ丼」のふたをはずして深く香りを吸い込んだピラールさんは「う〜ん いい香り!」とうっとり。初めていただくニッポンのかつ丼のお味は?

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「すごく美味しい! 出汁の深い味がします。とんかつ、玉ねぎ、ご飯...どれも完璧で全てが一体となっています」と感激。「かけかつ丼」を食べたアントニオさんは「煮かつ丼も美味しかったですが、豚肉の旨味がより感じられます」と感想を伝えます。「日本の独特のかつ丼の旨味をキャッチできるというのは、すごい繊細な舌を持っているな」とご主人もビックリ。ここで特別に、かつ丼の作り方を教えていただくことに!

まずは"店の命"ともいえる秘伝のタレ。ご主人は「昆布とかつお節、みりんと醤油です。配合がここに書いてありますが...これは企業秘密だね」といいつつ、「出汁が2500ccだとすると...醤油がそれの1/5、みりんと砂糖が1/10です」と結局秘密の配合を明かしてしまいました。「この情報は宝物です」とメモを取るピラールさん。

そして、厨房を任されている隆介さんが、卵のとじ方、ご飯にのせるコツまで丁寧に教えてくださいました。ピラールさんが作ったかつ丼がこちら!

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別れの時。ピラールさんがご主人に「かつ丼を作った体験は一生忘れられない思い出になりました。グラシアス」と、お礼の地元のワインを手渡しすると、ご主人から、お店で使っているかつ丼用の鍋をプレゼントしていただきました!

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「そんな大切なものを! 一番欲しかったものなんです!」と大喜びのピラールさん。

あれから3年。アントニオさん、ピラールさんから届いたビデオレターを「鈴新」へ届けます。

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「秘密の情報のメモ帳といただいた鍋でかつ丼を作っています。この鍋は本当に素晴らしいです! 実は地元のみんなの食生活が少し変化したんです。後であるところに連れて行きますね。ビックリすると思うわ~」とピラールさん。

この日は友人を招き、「かつ丼パーティー」。「鈴新」で教えていただいたレシピで出汁を作ります。

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技が必要な卵とじは...「かき混ぜ過ぎないこと。白身と黄身がそれぞれ見えるくらい」と教えていただいたことを忠実に守り作っていきます。「卵の使い方がすごく上手!」と、隆介さんに褒めていただきました。

かつ丼初体験の友人たちも「とてもジューシーで美味しい。(スペインに)似たような料理はないね〜」「美味しい! 最高だ!」と大好評。「鈴木先生は素晴らしい料理人です。色々と教えていただいたので美味しくなったのだと思います」とピラールさん。

そして、かつ丼の美味さをもっと知って欲しいと、アントニオさんはスペインの朝の情報番組「エルミラドール」に出演! 「鈴新」の皆さんは、「太陽が昇る国・ニッポンの首都の映像です。そこに偉大な料理人を発見したのです」と紹介されていました。アントニオさんは番組で、「ニッポンのとんかつやかつ丼はすごく美味しい。カディスの皆さんにもどんどん食べて好きになってもらいたいです!」と熱く語っていました。

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ご主人も「かつ丼を世界に広めていただいて、僕らも光栄」と嬉しそう。さらに二人はとんかつを広めるため、地元の肉屋さんに直接交渉! 「TONKATU」としてお店のメニューに加えられていました。

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肉屋さんに売れ行きを尋ねると、「すごく売れる。甘さ、食感、ジューシーさに、みんな驚くよ!」とのこと。今やカディスの街でとんかつを知らない人はいないそう!

アントニオさん、ピラールさん夫婦をニッポンにご招待したら、とんかつのPRに力を尽くし、とんかつがスペインに定着し始めていました!

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