台風や豪雨による水害対策は情報が命! 今すぐ確認・準備しておくことは?

公開: 更新: テレ東プラス

台風シーズン、真っ只中! 近年、日本は毎年のように台風や集中豪雨による水害被害に見舞われています。事前に備えるべきことは? どの段階で避難所に向かう? ペットはどうすればいい?

毎回さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、防災アドバイザー:岡部梨恵子さんに、「水害対策」についてお話をうかがいました。

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情報が命! 今すぐ確認しておくことは?

水害対策においては、「情報が命!」と岡部さん。いつ発生するかわからない震災など異なり、天気予報などによりある程度予測できる水害は、事前に情報を入手し、早めに準備、行動することで、被害を最小限に抑えることができるのです。

《今すぐチェック》
災害が起きてからでは遅い! まずは、いざという時に備えて、今すぐ下記をチェックしておきましょう。

nanairo_20201011_02.jpg画像素材:PIXTA

【チェック1】ハザードマップ
「家の周辺がどんな場所なのかを知ることが大事。ハザードマップで、大雨が降った時の水位や液状化の危険度、土砂崩れの可能性などを確認しましょう。ハザードマップの見方が分からない場合は、そのままにしないで、役所の窓口(防災課や危機管理課など)にお問い合わせください
」(岡部梨恵子さん、以下同)

【チェック2】避難所の場所・備蓄・トイレなどの設備
「避難所の場所を調べておきましょう。"地震の場合"と"水害"の場合"では避難する避難先が違う場合もありますので、"災害の種類"ごとに避難所を確認しておきましょう。避難所の多くは小学校や中学校などが指定されていますが、コロナ渦中で、公民館や行政施設などが避難所として追加されているところもありますので事前に確認を。

避難所には飲料水や毛布などが備蓄されてて、防災訓練の際に備蓄庫見学会で確認できるところもありますが、アレルギーのある方などは特に、自分の住む自治体の備蓄食など確認しておきましょう。

非常時に使用することになるトイレには種類があります。マンホールトイレや仮設トイレなどですが、洋式か和式かも含めてどんなトイレが用意されているか確認しておきましょう。

大規模災害の場合、救援物資がすべて平等に届くわけではありません。避難所の規模や交通の便のいい幹線道路沿いの避難所には集中して届く場合もあり"避難所格差"はあると言われています」

「指定避難所」と「自主避難所」の違いは?
「地域の体育館や学校の体育館を使用する『指定避難所』は、行政から、一定期間宿泊、滞在する食料や毛布などの支給を受けることができます。しかし『自主避難所』は、避難指示など行っていない時期に"自主"的に避難されて来られるので、原則支援はなく、必要なものは全部自分で用意して持って行くことになります」

昨年の台風19号襲来の際、岡部さんの地元では台風の動きを見ながら自主避難所を開設。時間が経つにつれて人数が増えてきたため指定避難所も開くことになったのだそう。地域や状況によって避難所開設が異なるので、その都度確認しましょう。

ペットがいる場合、どうすればいい?
「災害発生から72時間は人命が最優先ですが、今はペット同伴の避難所も開設されるようになってきています。しかし集団生活で迷惑にならないよう、最低限"ゲージに入り無駄吠えをしない"ようにしつけをしておきましょう。どこでも"お座り"ができると犬自身、気持ちが落ち着くそうです。また避難所に届くペットフードの種類は限られていますし、届く量が不十分だったりしますので、ペットの水と食料は飼い主が必ず用意しておきましょう」

水害に見舞われた際、避難所に入れない犬のため、熱中症対策として市役所の中を開放したというケースもあったそう。(2019年7月岡山県総社市)

台風予報が出たら確認しておくことは?

被害が出てからの避難では、もう遅い! 台風や豪雨などの予報が出たら、最新の情報をチェックしながら早めの避難を。

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【1】避難所の開場日時を確認
「避難所がいつ開設されるか場所と時間を確認しましょう。各家庭へ連絡はないので、役所に問い合わせるかネットなどで調べて情報を入手してください。基本的に避難所は先着順。高齢者や体が不自由な方がいらっしゃるご家庭は、壁沿いなど落ち着ける場所を確保するために早めに避難することをオススメします」

【2】天候が崩れる前に避難所へ移動
「暴風雨の中での移動は危険。天候が崩れる前に余裕を持って明るいうちに行動しましょう。避難の際はNGですが事前の移動なら車も使えますから、厚手のマットや毛布、防寒や目隠しなどにも使えるダンボールも持って行けます。また、避難の際は、通電による災害を防ぐため自宅のブレーカーを落とすことを忘れないでください」

全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を約13万件収録し、現在地周辺の避難所を検索して、道順をルート案内する災害時用ナビゲーションアプリなども活用すると便利。

車で避難はNG!
「車は水位30cmぐらいで動かなくなりドアも開かなくなるので、車での避難はやめましょう。車が被害に遭わないよう避難させるなら、天候が崩れる前に安全な場所に移動を。立体駐車場の上の階がオススメです」

避難所に持っていくものは?

避難所へ持ちこむ荷物は、震災の際は小さくが鉄則ですが、事前に避難ができる水害の場合は、避難所生活が少しでも快適になるよう準備を。

・就寝具
「避難所の床は冷たく硬い場合が多いので、薄いマットでは眠れず疲労が増します。空気で膨らませる厚手のマットや、事前に車で運び入れるなら布団、毛布など、睡眠がとれるような準備を」

・ファスナー付きビニール袋
「持ち物が濡れないよう、荷物はファスナー付きビニール袋に入れてバッグの中に。そのバッグを大きなゴミ袋に入れて口を縛っておけば防水効果はバツグンです」

・ウエットシート
「コロナ対策も含め、お風呂に入れない避難生活ではウェットタイプの除菌シートが役立ちます。大人用の体拭きなど大判で厚手のものを用意しておきましょう」

・ラップ
「ラップは防災グッズの必需品! 下着の上から体に巻けば防寒に、足に巻いてスリッパ代わりに、何かを触るときは指に巻いて直接触れなくてもいいように......と、いろいろ使えます。耐久性なども考え、安いものではなく強度がしっかりしたものを選びましょう」

避難所に行けば絶対入れるというものではない! コロナ禍中、避難所に収容される人数は大幅に減り、住民の20%ほどしか収容できないという自治体もあります。「避難所ありき」で考えるのでなく、自宅に留まる在宅避難をはじめ、親戚や知人宅、ホテルなどの避難先も用意しておきましょう。

取材協力:岡部梨恵子さん。防災アドバイザー。被災地の取材も行い、本当に必要なものや使ってオススメできるものを徹底調査。災害時の調理など独自のメソッドを確立し、全国で防災セミナーを開催。
オフィシャルHP

岡部梨恵子さんも出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜朝9時26分からのOAも要チェックです!

(取材・文/月山武桜)

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