「この立ち位置を目指すほうがムズい!」 祝・プライム進出! アルコ&ピース的”勇者”とは?:勇者ああああ

公開: 更新: テレ東プラス

芸人たちが、熱いプレゼンや体を張った企画などでゲームの魅力を伝えていく「勇者ああああ~ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組~」。金曜深夜帯でひっそりと4年間続いてきた番組が、この10月から土曜のプライムタイムに昇格!

そこでMCを務めるアルコ&ピース平子祐希さん、酒井健太さんを直撃! 番組への思いや、アルコ&ピースが思う芸人としての"勇者"像や、目指すところについてのトークも!

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ほかのテレビには出ていないおじさんがいっぱい出てるよ

──金曜深夜で4年やってきた「勇者ああああ」が、この度、土曜日の夜10時30分からのプライムタイムに昇格することになりました。

酒井「ちょっと信じられなかったですね。見ているという評判もあんまり聞かなかったので、そんなことありえないだろうって。最初はドッキリかと思いました」

平子「"(番組が)終わるフラグが立ったな"と思いました」

──時間が早まることについてはいかがですか?

平子「早まったからといって綾瀬はるかさんが番宣に来るわけでもないでしょうし。前の番組が『美の巨人たち』(毎週土曜夜10時放送)なので、そこからどういう層を引っ張れるのか、ですね。少しアカデミックな部分があってもいいのかな。やっぱり、1回数字を見ないとですね。今までみたいに『(視聴率)0.2%取った』って制作陣と一緒にゲラゲラ笑い合えるということはもうないと思うので......まぁ0.4ないし0.5%はいきたいですね」

酒井「もう枠移動後の収録は始まってますけど、やっていることは前と全然変わってないですからね。むしろ深夜3時の番組みたいな収録でした(笑)」

──毎回、この番組ならではの個性的なゲストの方々が出られていますが、これまでにおふたりが印象的だった方というと?

酒井「僕はハチミツ二郎さん、ハリウッドザコシショウさん。一緒にプライムに上がっていけたらいいなと思っています」

平子「ビッグスモールンとモダンタイムスかな。ビッグスモールンの歴史と、モダンタイムスのネタはプライムでもう1回勝負をかけたいです」

──勝算があると。

平子「そうですね。ビッグスモールンの歴史を追った回が0.2%だったのはあの時間帯だったからだと思うんですよ。プライムでやればまた変わるんじゃないかなと思います」

──なるほど(笑)。時間が上がったことで初めて見るという視聴者も増えると思いますが、そういう方々に番組の見どころをアピールするなら?

平子「ほかのテレビには出ていないおじさんがいっぱい出てるよ、ってとこですかね」

酒井「かつて、今の第7世代のようにワーキャーされていたおじさんたちがね(笑)」

平子「いろんなおじさんがいるので、皆さんぜひお気に入りを見つけてください」

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──そんな"ほかでは見ないおじさん"たちを、おふたりがうまくさばいていらっしゃるのもこの番組の魅力だと思います。この番組でのMCのコツなどはあるのですか?

平子「いや、僕らも地下(芸人)なので。地下と地下が遊んでいるだけです(笑)」

酒井「おんなじ温度のマグマの中で遊んでいるだけなので」

平子「うん。僕らもそこでしか活動してきていないので、一緒にやっていて違和感がないんですよね」

──ハチミツ二郎さんがこの番組の企画をきっかけにIT企業に就職されたり、マヂカルラブリー野田クリスタルさんがゲームネタでR-1グランプリで優勝したりと、この番組からチャンスを掴んだ方も多くいらっしゃいますが、おふたりは何かこの番組で新たに掴んだものはありますか?

酒井「周りだけどんどん仕事が増えて、俺ら置いてけぼりですよ(笑)」

平子「僕らだけ変わらないんですよね。そういう人たちが抜け出して行くのを見送っているだけです。(ペンギンズの)ノブオなんかはゲームの仕事を幅広くやるようになって、家賃がいいところに引っ越したりしていますけど、こっちは据え置きでずっと同じところに住んでいますから」

酒井「変わったことといえば、波動拳の精度が上がったことぐらいです(笑)」

自分たちより番組ゲストのほうこそが"勇者"

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──地上波のテレビ、ラジオ、AbemaTVなど、さまざまなメディアで活躍をされているおふたりですが、おふたりですが、自分たちの立ち位置をどのように捉えていらっしゃいますか? 今、勢いのある第7世代を脅威に感じたりすることはありますか?

平子「いや、もう第7世代には追い越されていますよね。なんというか、僕らが歩いているところって、誰もいないところなんです。今は、このままで一生行けたらいいなと思ってますね。ヘンに上がってどこかで落ちるよりは、低空飛行でも横ばいで飛べていけていたら御の字かなって」

酒井「適度に働いて適度に休んでっていう感じですね。外に出てキャーって言われることもないし、おねえちゃんともそんなに遊べないわけではないので、ほんとにちょうどいいと思います」

──賞レースももうそんなに......という感じですか?

平子「もういいですねぇ。第7、下手したら第8世代とかがもう出てきそうですし。僕らが今の第7世代ぐらいのとき、インスタントジョンソンとかTKOさんとか、"おじさんいつまでやってんだよ"っていう目線で見てましたから。僕らもそういう目線で見られる側になってしまったので、もういいかなと思っています」

──今のこういう立ち位置というのは、芸人を始められる前に目指したところですか?

酒井「昔はダウンタウンさんみたいになりたいと思っていましたけど、やっていくうちに無理なんだなと思うようになりましたね」

平子「でも、いい感じじゃないですか?」

酒井「逆にこの立ち位置を目指すほうがムズいと思うんですよ。"目指せるようなら目指してみろ"と、若い世代の人たちには言いたいです(笑)」

──確かに、本当に独自の道を行かれていますよね。そんなおふたりですが、このたび開設されたYoutubeチャンネル「アルピーチャンネル」は「幅広い年代の人たちに見てもらえるものを」というテーマでやっていくそうで......。これは「勇者」やラジオとはまた違ったスタンスのように感じられます。

平子「ラジオのリスナーは男中心なので、YouTubeは女性も取り込む意識でやってみようかと思っています。まぁ僕らもともとそっちでやっていたので」

酒井「そうなんです。今の人は知らないかもしれないですけど、僕ら昔はワーキャー(言われる)でやってたので。改めてそういう層に焦点を当ててみようという(笑)」

──原点に戻ると(笑)。今始められたというのは何か理由があるんですか?

平子「『なんでやらないんですか?』とはよく言われていたんですよね。こっちとしては"別に"という感じだったんですけど、"別に"ならやってもいいかっていうことで始めることにしました。チャンネル登録者数が少なかったらやめればいいですしね」

──目標の登録者数はどれぐらいですか?

平子「8千億人ですね」

──地球の人口より多いですね(笑)。では番組タイトルにかけまして、ご自身たちのことを"勇者"だなと思われますか?

平子「いやぁ、勇者ではないですね(笑)」

──芸人としての"勇者"ってどういう人だと思いますか?

酒井「"主人公"というイメージがありますね。僕らはそんな器じゃない気がします。むしろ、ノブオとか二郎さんとか、いろんな仕事をもらってくる人の方が勇者かなと思います」

──自分たちが勇者というより、番組に来られる方々のほうが勇者だと。

酒井「って言ったら、何かあったとき責任を負いかぶせられるかなって(笑)」

──おふたりが芸人としてこれから目指すのはどんなところでしょう?

平子「現状プラス、地方(局)で1番組欲しいですね。名古屋で1本ぐらいあるといいかな」

酒井「低空飛行のままで全然いいです。あんまり欲出さないでいきたいです」

──"勇者"を目指すという感じではないですか?

平子・酒井「(即座に)ムリムリムリ(笑)!」

番組に対しても、芸人としての現状に対しても、淡々と、あるがままを受け容れている様子のおふたり。プライム昇格にあたっても、スタッフに出した要望は「学ランの生地を通気性のいいものに変えてほしい」ということだけだったそうで......。過度に意気込んだりしないそのフラットさが、番組長続きの秘訣なのかも。

MCアルコ&ピースを筆頭に、ハリウッドザコシショウ、ハチミツ二郎、ペンギンズ、ラブレターズ、マヂカルラブリー、GAGなど"ほかのテレビではあまり見かけないおじさん"たちが、自由に羽根を伸ばして楽しんでいる番組「勇者ああああ」。10月3日(土)からは毎週土曜夜10時30分から放送。派手ではないけどクセになる、深夜時代そのままの空気感を土曜夜もぜひお楽しみください!

(取材・文/高瀬純)

【プロフィール】
アルコ&ピース(あるこあんどぴーす)
平子祐希(ひらこ・ゆうき)1978年12月4日生まれ。福島県出身。A型。
酒井健太(さかい・けんた)1983年10月29日生まれ。神奈川県出身。B型。
2006年、それぞれ別コンビを解散した平子と酒井がアルコ&ピースを結成。「THE MANZAI 2012」準優勝、「キングオブコント 2013」ファイナリスト選出と、漫才、コントともに定評がある。「勇者ああああ」(テレビ東京)、「GENERATIONS高校TV」(平子/AbemaTV)、「OH!舞 DA PUMP!!」(酒井/dTV)にレギュラー出演。ラジオは、コンビでの「アルコ&ピースD.C.GARAGE」(TBS-R)、「沈黙の金曜日」(FM-FUJI)、酒井は「まだ帰りたくない大人たちへ チョコレートナナナナイト!」(SBS-R)の3本のレギュラーを持ち"ラジオ芸人"としても人気。

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