輝く赤身肉、1000円で食べられるステーキも! “知られざるブランド牛”が生み出す牛肉の新たな価値:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。9月29日(火)の放送では、新型コロナウイルスの影響で異変が起きている牛肉事情を紹介。人気ステーキチェーンの東京初進出にも密着し、日本の畜産の未来を探る。

黒毛和牛だけじゃない"新ブランド牛"が続々

新型コロナの影響は食肉業界にまで広がっている。中でも、国内の牛肉を取り巻く状況が一変。人気が高い黒毛和牛は霜降り具合などで5段階にクラス分けされ、A5は最上級品とされてきた。ところが新型コロナの影響で、高級飲食店やインバウンドの需要が激減。市場価格が大幅に下落し、スーパーで安売りされる光景も。消費者が喜ぶ一方で、黒毛和牛の生産者は「餌代が出るか出ないかの状況...」と、崖っぷちの状況に追い込まれていた。

gaia_20200929_3.jpgそんな黒毛和牛への一極集中を打破するため、新たな動きが起きている。東京・赤坂でイタリアンの店「ヴァッカロッサ」を営む渡邊雅之シェフが看板メニューにしているのは、高知県産「土佐あかうし」。じっくり焼いた肉にナイフを入れると...輝くような赤身。

gaia_20200929_thum.jpg「おいしい...赤身が食べたいときはこの肉が一番」「喉越しがいいし胃の中でもたれないで溶けちゃう」この肉を目当てに、リピーターが後を絶たない。

「あかうし」は、年間に出荷される和牛のうち0.1パーセントにも満たない希少牛。明治時代から高知県内に根付いてきたが、サシが入りやすく高値で売れる黒毛和牛の台頭でその数は半減。生産者の竹崎稔さんは、「1000頭のうちの1.5頭なんで。好みのある人は割とそういったものにお金をかけてくれる」と語る。A5の黒毛和牛が余り、値段が下がった今だからこそチャンスとのこと。

高知県も新たな取り組みで「あかうし」を後押しする。しっとりとした赤身が特徴の「あかうし」を評価するため、サシの入り具合に左右される従来の格付けに加え、赤身の赤を意味する「R(ルージュ)」という格付けをスタートさせた。これにより、ロースの大きさや細かいサシの入り具合、無駄な脂肪が少なく赤身が際立っているかなどで判断され、従来の評価でA2やA3の肉でも、条件を満たしたものには高い評価がつくようになる。新たな基準は、赤身肉そして和牛の新たな価値に一石を投じることができるのだろうか。

gaia_20200929_2.jpg畜産物の流通を手がける山本謙治さんもまた、黒毛和牛だけでなく新たな牛の魅力を広めたいと考える一人。多くの農家から相談を受ける山本さんが注目しているのが、北海道・釧路で始まった「オーガニックビーフ」。「オーガニックビーフ」とは、エサの85パーセント以上を無農薬の牧草と有機飼料にして育てた牛。肥育に手間はかかるが、程よいサシが入った肉本来の旨味を味わうことができる。

gaia_20200929_4.jpg日本ではまだ認知度が低い「オーガニックビーフ」だが、ヨーロッパではすでに認知され、スーパーにも多く並ぶ。食の安全に対する意識の高まりを追い風にし、食肉業界の新たな潮流となるのだろうか。

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コロナに屈しない!人気ステーキチェーンが東京進出

gaia_20200929_9.jpg熟成肉や赤身肉のブームが相まって、急成長を続けるステーキ業界。競争が過熱する中、最も勢いにのる新興チェーンが、九州・沖縄を中心に52店舗を展開する「やっぱりステーキ」だ。看板メニューの溶岩石プレートで焼く赤身肉の厚切りステーキ(180g)は、食べ放題のライスやサラダ、スープがついて税込1000円と格安。替え玉ならぬ替え肉サービスも人気。

gaia_20200929_7.jpgステーキをもっと大衆的なものにしたいと「やっぱりステーキ」を立ち上げた義元大蔵社長が、安さと美味しさを兼ね備えた肉を求めてたどり着いたのが、アメリカ産のミスジ肉。

gaia_20200929_6.jpg筋を取り除くのに手間がかかり、他店では使用するのを敬遠するが、丁寧に処理をすることで極上のステーキに変身。義元さんは「業界でうちほど処理しているところはない。1000円という最安値でこれだけ手をかけているのは奇跡」と自信を見せる。

gaia_20200929_5.jpg今年2月、満を持して東京進出を狙う義元社長に密着した。1号店の出店候補に選んだのは、比較的家賃が安い吉祥寺。成功すれば23区内へと広げる計画だ。立地や家賃、設備を考慮し、物件を絞る中、ついに条件に合う物件と出合う。しかし、この時すでに新型コロナの暗い影が忍び寄っていた。

4月に緊急事態宣言が発令されると街は一変し、オープンは延期。さらに6月に入ると、アメリカ国内の生産が止まったことで肉の値段が高騰。仕入れ価格が5割以上も値上がりしてしまい、「売れば売るほど赤字」の状態に陥ってしまう。

gaia_20200929_10.jpg看板メニュー「ミスジのステーキ」をどう維持していくのか...。東京進出1号店のオープンが近づく中、義元さんが下した決断とは?

gaia_20200929_8.jpgコロナに屈せず、ニッポンの畜産を担う人々の挑戦を追った「ガイアの夜明け」は今晩10時から放送。どうぞお見逃しなく!

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