山口に住む老夫婦。直腸がんで余命半年...妻に捧げる夫の愛と”アシタバ”に込めた切ない想い:家、ついて行ってイイですか?(明け方)

公開: 更新: テレ東プラス

9月14日(月)に放送した「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜)では、移動販売車に買い物に来たお客さんに買い物代をお支払いする代わりに「家を見せてもらう」企画を実施。そこで、山口・防府市に暮らす有井孝さんのお家について行くことになります。

移動販売車でお惣菜を購入していた孝さん、取材を申し込むと二つ返事で引き受けてくださいました。奥様と2人で暮らすお家は、移動販売車が出ていた場所から20秒ほどのところに位置する立派な一軒家。

homeii_20200915_02.jpg
築80年のお宅は5LDK+離れ。3人のお子さんをこの家で育てました。

homeii_20200915_03.jpg
高校卒業後は自衛隊に入隊。学校に通って放射線技師となった孝さんは、この仕事に45年の年月を捧げました。孝さんの書斎には、その功績を称えられ、県知事から贈られた表彰状が飾られています。放射線技師時代は深夜の呼び出しなどもあり、「家のことはまったくやってこなかった」と孝さん。

homeii_20200915_04.jpg
「今、僕が主夫で使っております」と言う台所はキレイに整理されています。妻の愛子さんが体調を崩されてから、家事は孝さんの担当に。「台所は妻の絶対的な領域。男子厨房に入らず。一切入っちゃいけないと言われてたから、手伝いもしなかった」。

homeii_20200915_05.jpg
自家製のピクルスも漬けています。80歳にして初めて厨房に入ったとは思えない美味しさ! 試食させていただいたスタッフもビックリです。きゅうりは自宅裏の畑で孝さんが栽培。

homeii_20200915_06.jpg
「ちょこっと使うにはちょうどいい広さ」と言う畑には、きゅうり、なす、大葉、アシタバなどの野菜が実っています。畑でできた梅で、奥様のために梅酒も漬けています。

homeii_20200915_07.jpg
愛子さんの寝室には「瑞宝双光章」の表彰状が飾られています。「天皇陛下がくれちゃった」と、ちょっと誇らしげ。お見合い結婚で出会った2人は、結婚56年目。「選り好みするような時代じゃなかった」と、照れる孝さん。

homeii_20200915_08.jpg
新婚当時暮らしていた離れの部屋には、奥様の愛読書がいっぱい。「家内が元気だった頃は、たくさん本を読んでいた」と話す孝さんですが、愛子さんは去年3月、直腸がんと診断されたそう。「余命半年って言われた時はさすがにショックでしたね。でも、もう1年と半年。生きようとする意欲がすごいなと思って」。

homeii_20200915_09.jpg
「結婚した当初から仕事が忙しくて、亭主関白でしたね。でも、私がこの病気になってからまるで違うんですよ」と愛子さん。「主人はずっと(私の)世話をしていかなきゃならんからね。『私は死んだ方がいいよ』って言ったんですけど、主人が『いや、生きなきゃ』って...。励ましてくれて美味しいもの食べさせてくれてね」。床の間には、孝さんが愛子さんのために生けた花が飾られています。

愛子さんは「こんな立派な男だったということが、この病気してから初めてわかりました。本当にビックリしましたよ。これだけの親切があるんだと思って...。私としては、今一番の喜びです」と涙を抑えながら話してくれました。

homeii_20200915_10.jpg
家事をやるようになった孝さんは、「なんと雑用の多いことかと。あちこちに目配りをしなくちゃいけないことに驚いた。でも、こういう段取りでいけばいいなというのを習得してからは楽しみが出てきたような気がします」と感想を。今はレシピも研究しています。

有井さんご夫妻にとって、3人のお子さんの存在は大きな支えで、愛子さんの病気が発覚した時も助けられたそう。愛子さんはひ孫の写真を見ながら目を細めます。

かつては2人でよくスーパーに出掛けていたそうで、孝さんは「遊園地や温泉とか高望みはしない。一緒に買い物に行きたい」と話します。

最後に、庭に植えたアシタバを孝さんが毎日チェックしている理由が明かされます。「アシタバは葉っぱをとると明日には次の葉が出る...こういう具合に、どんどん家内の足腰が元気になってくれりゃいいな」。

孝さん、愛子さんがいつまでも夫婦仲良く暮らしていけますように...スタッフ一同願っています。

この放送は、「ネットもテレ東」で期間限定配信中です!

PICK UP