新型コロナ「第3波」は来るのか? ウイルスから人を守るスーツ、国内初コロナ専門の医療施設とは?:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。9月8日(火)の放送では、出口が見えないコロナ禍に、技術を駆使して立ち向かう現場の姿を追う。

新型コロナ患者専門病棟で遠隔ロボが活躍

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いまだ新型コロナウイルスの収束が見えない中、第3波への備えが進んでいる。9月1日、墨田区役所(東京)では、区の職員がPCR検査外来用のテントの建て方を学んでいた。今後いつ大勢の区民の検査が必要になるかわからないためだ。さらに、感染拡大を防ぐため、自宅療養者が外に出ないよう1週間分の生活必要品の無料配達も取り組み始めた。

神奈川・鎌倉市では、4月に、新型コロナ中等症患者向け医療施設の建設が始まった。8つあるプレハブ病棟のベッド数は180床。神奈川県主導のもと、民間のグラウンド跡地に急ピッチで造られ、約1ヵ月後には最初の患者を受け入れた。8月には、患者数が過去最多の127人まで急増したという。

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施設内では、ANAのグループ会社が開発した遠隔操作ロボ「newme(ニューミー)」が走る。ロボットが分身となり、離れた場所でも、医療スタッフ同士や患者と顔を向き合わせてコミュニケーションが可能。患者との接触を減らし、感染リスクを抑える狙いだ。

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COVID-19病棟チームの常勤医師・會田悦久さんは、「まだまだ新型コロナウイルスの感染者の増加の波は収まらないと思う。終わりの見えない戦いが始まったばかり」と話す。

これまでにない防護服「歩く空気清浄機」

大型テントで世界シェア首位を誇る「太陽工業」(大阪市・淀川区)は、第2波到来を見越して動いていた。荒木秀文社長が「歩く空気清浄機」と呼ぶ同社開発の医療用スーツは、スーツ内の気圧を高めてウイルスが侵入しにくくなる構造。

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これまで問題だったスーツ内の温度上昇は、ウイルスをキャッチするフィルター付きのファンで空気を中に送り込むことにより解消。テントなどで使われる丈夫な生地を使い、縫い目がないため水に濡れても生地に染み込まず、洗濯も可能。

このスーツは4月末から開発をスタートし、わずか1ヵ月で7号機まで試作。第1波の際、PCR検査場などで活躍した自社の「陰圧テント」(気圧を下げウイルスを外に出さない)とは逆の発想。内部の気圧を高くすることで、外からウイルスが侵入しにくくする「陽圧」構造を採用している。

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6月中旬。荒木社長らは最新の医療用スーツを病院に持ち込み、使い心地を確かめてもらうことに。医療従事者から「涼しい」「蒸れない」と評価する声が上がる一方で、「着脱が大変」との指摘も。医師の要望は、ウイルスがついた表面を触らずに素早く脱げること。改良作業は難航・・・。果たして、納得のいくスーツは完成するのか。さらに荒木社長は、医療とは別分野でスーツの新たな使い道を考えつく。

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「第3波」による医療崩壊 足音はすぐそばまで

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「新型コロナ重症患者救う『最後の砦』」と言われる、体外式膜型人工肺「ECMO(エクモ)」。VR(仮想現実)技術とリモートシステムを使い、このエクモを学ぶ取り組みも始まっている。

東京・世田谷区で開かれた「日本臨床救急医学会総会」の医療学会セミナーには、約30人がオンラインで参加。「筑波記念病院」(茨城・つくば市)でも、新型コロナ治療の陣頭指揮をとる救急科の阿部智一医師をはじめ、数人の医師、看護師らがVRゴーグルをかぶった。仮想現実の手術室では、それぞれの立場でエクモの使い方を学ぶ。

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エクモは全国に約1400台あるが、人手不足のため、一度に動かせるのは最大約300台といわれている。新型コロナの感染再拡大に備え、エクモをコロナ患者向けにも扱える人材を増やすのがセミナーの狙いだ。

エクモは体内から酸素が少なくなった血液を取りだして十分な酸素を加えて再び体に戻す生命維持装置。筑波記念病院では主に心臓の外科手術で使われており、コロナではまだ使われたことがないという。救急科の阿部医師は「できる限り多くのスタッフに手技や管理の仕方を学んでもらって、みんなで交代しながらやらないと(新型コロナと)長く戦っていけない」と話す。

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スタジオでは、国際医療福祉大学医学部の松本哲哉主任教授を招き、案内人の松下奈緒がコロナ禍の現状や今後の対策を聞く。第1波より感染者が増えているにも関わらず、死亡率が6%から4.7%と減少した第2波について、松本教授は「70代以上に絞って比較するとどちらも25%くらいの死亡率。高齢者にとってはまだまだ注意が必要」と解説。

「もしかしたら...ではなく、(第3波は)来ると思う。12月〜来年2月までは、寒くなり空気も乾燥するので、呼吸器系のウイルスが広がりやすい。恐れているのが、患者が一斉に病院に押しかけて外来がパンクすること。今のままでは『第3波』ですぐに医療崩壊してしまう」と伝えた。

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再び迫る医療崩壊の危機を阻止するため、奔走する医療現場。その様子を、今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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