「会社を辞めたい」通勤が憂鬱で動悸...それでも重大な決断はNG! <コロナうつ>解消法

公開: 更新: テレ東プラス

テレ東の長寿番組「主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、今話題の健康法から、いざというときの医師・病院選びのコツまで、医療に関するさまざまな情報をお届けする知的エンターテイメントバラエティ。

さて、今回のWEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたのは、緊急事態宣言解除後に起きた体調不良に関するお悩みです。同番組のレギュラー・姫野友美医師に、どう向き合っていけばよいか教えていただきました。

日内リズムの乱れがコロナうつの一因

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Q:東京在住の40代女性です。在宅勤務(在宅ワーク)に切り替わって3カ月超。緊急事態宣言の解除とともに出社することになり、それ以来、通勤が憂うつです。朝、起きると動悸がすることも......。会社に着いてもやる気が出ないまま1日をどうにかやり過ごしている状態で、会社を辞めようかと考えてしまうこともあります。これが "コロナうつ" なのだとしたら、どうすれば治るのでしょうか?

── 先生、最近「コロナうつ」という言葉をよく聞きますが、新型コロナウイルスは心の健康にどう影響しているのですか。

「うつになる原因として考えられるのは、1つはやはりウイルス感染への恐怖です。どこでどういうふうにして感染するかわからない怖さ、目に見えない心理的な不安が心身の不調につながっているのだと思います。

加えて、自粛生活を強いられたことで、それ自体がストレスになっている可能性もあります。今まで外で普通に買い物をしたり遊んでいたりしていたのがまったくできなくなり、家の中に閉じ込められているような状態になってしまった......それによって楽しみが失われてしまったんですね。
また、人によっては収入が減ったり、経営が困難になったりするなど、経済的な不安を持つ人もいます。そういったものを含めて、うつになりやすい状況、いわゆる "コロナうつ" になるんですね」

── この相談者の場合は、通常の勤務形態に戻ったことにとても苦痛を感じているようです。

「家にいれば安心だったのに、通勤すること(=人と接触すること)で、どこで感染するかわからない不安感があるのでしょう。

じつは通勤がつらくなる理由にはもう1つ、在宅ワークによって日内リズムに乱れが生じた可能性があります。

コロナ以前は朝起きて、外に出て、夕方になると帰ってきて......というリズムができていたのに、急に勤務形態が切り替わったことでこのリズムが崩れたんですね。会社によっては在宅ワークでもきっちり時間や仕事量を管理しているところもありますが、仕事が激減して暇になったり、逆に大幅に増えてしまった人もいるわけです。

そうした状況で家にいて、仕方がないからパソコンを長時間使ったり、DVDを観たり、通勤時間がないぶん、よけいに寝て遅くに起きたりすれば、日内リズムはすぐに崩れます。これがうつになりやすい原因の1つにもなります」

炭水化物中心の食生活に注意

doctor_20200826_02.jpg画像素材:PIXTA

── その状態を解消するにはどうしたらよいのでしょうか。

「まずは体の中のリズムを整えることですね。それには睡眠を十分にとることが重要なのですが、運動も積極的に取り入れたほうがいいでしょう。通勤は結構な運動量なので、そのぶん、きちんと体を動かすこと。どうしても在宅ワークは座りっぱなしになりやすいため、運動することで体が少し疲れ、眠りにつきやすくもなります。

また、日光を浴びないと、ストレスや不安を調整し精神を安定させる働きをするセロトニンが分泌されず、うつ病の改善に効果があるビタミンDも生成できなくなります。運動がてら外に出て日に当たるということは、うつを予防するうえでも大切なのです。

食事も、在宅ワーク中は毎日3食つくるのが面倒で、どうしても炭水化物に偏りがちになります。カップラーメンやコンビニのパスタで簡単に済ませたという人も多いでしょう。一方で、巣ごもり中の手作りブームもあり、小麦粉やホットケーキミックスなどは品薄になるくらい消費されたようです。

こうした炭水化物中心の食生活に傾いてしまうのも、うつの原因になっていることがあります。セロトニンやドーパミンなどの脳内ホルモン(神経伝達物質)の原料となるタンパク質が足りず、それらが作れない状態になるからです。

食事は肉や魚、卵、野菜といったものを中心にして、食べ物からしっかりとタンパク質をとることが大切です。ビタミンやミネラルの不足が気になるときは、必要に応じてサプリメントで補うことを考えてもいいかと思います。」

── 通勤があまりにつらい場合には無理をしないで上司に相談したほうがいいのでしょうか。

「それは必要だと思います。気力がない、動悸がするという場合には、少し休んで体のリズムを整えることが大事ですよ。そして、うつのときに重要な決断をしないというのは鉄則ですから、いきなり会社を辞めるような判断はしないこと。

このような状況下ですから、まずは休養をとって心身のバランスを整え直す。そのためには現状を上司に伝えておくほうがいいでしょう。」

── 姫野先生、ありがとうございました!

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。著書に「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)など。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った姫野先生も出演する主治医が見つかる診療所SP【芸能人血液不健康ランキング&感染症予防】(8月27日木曜夜7時58分)。

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今回は芸能人血液不健康ランキングをお届け! 新型コロナウイルスに弱い恐れがある血液を持つ芸能人が判明? ○○の数値が高くなると新型コロナウイルスに感染した際、重症化しやすい! 果たしてその血液を持つ芸能人とは!? ほかにも、免疫力を高めるスーパー食材が登場、栄養を逃さない得する調理法を紹介。さらに、デブ味覚を痩せ味覚に体質改善することで自然に痩せる、 ダイエットの専門家おすすめの魔法の粉の正体... など盛りだくさんの内容で送る。

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