東京駅に誕生･･･”巨大エキナカ”の全貌に独占密着！いま＜駅＞に人が集まるワケ：ガイアの夜明け

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」（毎週火曜夜10時）。8月18日（火）の放送では、新型コロナウイルスの影響を受けた鉄道業界の新たな取り組みを取材。非・鉄道事業に舵を切る鉄道会社の戦略を追う。

東京駅でしか食べられない回転寿司の秘密

"ニッポンの玄関口"東京駅。例年ならばふるさとや行楽地に向かう人でごった返すお盆の時期も、今年は激しい混雑がないまま。新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、これまでの景色が一変した。ところが、駅構内の一角では、閑散としたホームとは対照的に多くの人でにぎわう場所があった。

8月3日にオープンした「グランスタ東京」は、153店舗が軒を連ねる巨大なエキナカ商業施設。老舗ホテルから地方の名店まで多種多彩な店が揃う。今、駅の集客力や立地の良さが注目され、出店を希望する企業や店が後を絶たない。鉄道会社も今後、少子化で運輸収益が減ると見られる中、エキナカなどの非・鉄道事業に注力。中でも東京駅の新エキナカはJR東日本グループにとって、今後を占う重要な試金石となっている。

目玉となるのが回転寿司店を出店する「羽田市場」。羽田空港を拠点にし、全国の鮮魚を空輸でいち早く東京に届ける仕組みを構築、魚流通の常識を変えた会社だ。今回、プロジェクトを任されたＪＲ東日本のグループ会社「鉄道会館」の新井裕之さんが出店を熱望。二人三脚で仕掛けるのは、どこにもなかった回転寿司店だ。それは、朝どれ魚を生きたまま新幹線で東京駅の店に運ぶという一大プロジェクトだった。

まず狙ったのは青森の魚。早朝に獲れた魚を新青森駅に運び、８時台の新幹線で東京へ。３時間半かけて東京駅に輸送し、店舗に運べば、ランチ営業には朝どれ魚を味わうことができる。だが今回の売りは、あくまで活魚。東京まで生きた状態で運ぶ必要があった。「活魚車」のような専用の装置がない新幹線での輸送は前代未聞。果たして、活魚の新幹線輸送は成功するのか。そして、東京駅でしかできない、さらなる仕掛けも用意されていた。

駅と駅の間も活用！　高架下を稼ぐ空間に...

人が集まり、物が売れる空間としてますます進化する「駅」。駅と駅の間をつなぐ高架下の活用にも注目が集まっている。 JR中央線・東小金井駅から立川方面に向かう高架下には賃貸住宅が誕生。幅約350ｍという超横長の敷地に109室が並ぶ。心配される騒音もほとんどなく、駅からの道が分かりやすくて便利と好評だ。

東小金井駅を挟んで逆側の高架下に誕生したのは、広さ２、３坪のスペースが30ほど連なる「コウカシタ・ヒガコインキュベーション」。店舗や教室としての利用に加え、１日からでも借りられるシェアオフィスも登場。地元の人が誰でも気軽にビジネスを始められる場所になっている。

主婦の坂入麻紀さんが利用するのは、「シェアキッチン」。プロ仕様の厨房機器が備わり、月３万円で30時間まで利用することができ、店頭販売できるスペースもある。これまで趣味でケーキを作っていた坂入さんは、夢だった自分の店をオープンできた。このシェアキッチンは現在16人が利用し、日や時間によって様々な店が出るため、地元のお客さんたちにも人気だ。

私鉄でも新たな試みが行われている。関東１都４県をカバーする「東武鉄道」が、「浅草駅」と「とうきょうスカイツリー駅」間の人の往来を増やすために目を付けたのも、高架下。倉庫や駐車場として使われていただけの鉄道高架下を６年がかりで整備。全長約450ｍの中に14店舗が集まる商業施設「東京ミズマチ」をオープンさせた。

電車に乗るのではなく、２つの駅の間を歩いてもらおうという戦略が功を奏し、大きな人の流れを生んでいる。

「東京ミズマチ」の開発を任されたのが「東武鉄道」の平山里美さん。順調かと思いきや、オープンから１ヵ月経っても現場にはヘルメットを被った平山さんの姿があった。６月に開業したものの、新型コロナウイルスの影響で、オープンできたのは14店舗のうち半数の７店舗。目玉となるはずだったボルダリング施設の工事は3カ月も遅れが出ていた。異例の事態が続く中、平山さんは人を呼ぶために、ある仕掛けを思いつく。