恐ろしや! “Appleの呪縛”と”無印スパイラル”「ニトリはセンスがある男子が挑戦するべき」原作者・かっぴーが語る”男子の愛すべきこだわり”:おしゃ家ソムリエおしゃ子!

公開: 更新: テレ東プラス

テレビ東京が、新たなドラマ枠「水ドラ25」を新設! 記念すべき第1弾は、"おしゃ家ソムリエ"ことイエーガー・おしゃ子(主演:矢作穂香)が、毎回男性の家を訪れてはダメ出しを繰り返すコメディ「おしゃ家ソムリエおしゃ子!」(7月15日(水)深夜1時28分スタート!)を放送する。

oshako_20200714_01.jpg▲おしゃ子を演じる主演の矢作穂香

そこで「テレ東プラス」は、2016年に「おしゃ家ソムリエおしゃ子!」を発表した著者のかっぴーさんを直撃。作品についてはもちろん、かっぴーさんご自身の家に対する価値観や、ついついディスりたくなる家など(笑)、たっぷりとお話を伺いました。

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作中に登場する家は、友達や知り合いの家がモデルになっています

──撮影現場を実際にご覧になられていかがでしたか?

「僕の絵が一番下手だったころの作品なので(笑)、"ああ、こんなに本格的に撮影してくれてるんだ!"という感動でいっぱいになりました。おしゃ子を演じる矢作さんの顔芸が激しかった(笑)。表情豊かな感じが"おしゃ子"っぽくてピッタリだと思いました。放送が本当に楽しみです」

──「おしゃ子」は4年くらい前に描かれた作品。時を超えての映像化ですね。

「内容もすっかり忘れていましたが、今回久々に読んでみたらめちゃくちゃ面白かったんですよ!」

──Twitterのつぶやきで「ギャラが1話5000円だった」という衝撃の事実も!

「最初に掲載されたのはウェブ媒体で、当時は担当の編集さんもおらず一人でやっていたので、"そっかー5000円なのか"と。今思うとペロペロに舐められてましたね(笑)」

──そもそも、おしゃ子が生まれたきっかけは?

「作中に登場する家は、友達や知り合いの家がモデルになっています。最初は怒られないか心配だったんですけど、みんな"これ俺ん家じゃん!"って感じでわりと大丈夫でした。ちなみに第1話に登場する"ベンチャー社長の家"は、友達から"ベンチャーの社長やってるすげぇ先輩がいるから会わせてやるよ! お前も挨拶して顔売っとけよ"みたいな感じで誘われて行ったお宅なんです」

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──がっつり実話なんですね!(笑)

「めちゃくちゃ好立地の高層マンションでした。でも部屋に入ったら超狭くて...(※ぜひ第1話で確認を!)。思わず"超狭いじゃん"って言いそうになりました(笑)。持ち主の社長さんは"事業がうまくいってマンション買っちゃったんだよね~"ってドヤ顔だったんですけど、僕は心の中で"事業が上手くいってもこのくらいの広さなんだ~"と。作品に登場するDJブースもしっかりあったんですよ、狭い部屋に(笑)」

──わかります。人のお家に行くと、何気に心でツッこんでしまうことってありますよね。

「僕は昔からわりとツッこみがちですね。真面目な場所で笑っちゃいそうになるタイプで、仕事でピリピリした状況の中でふと沈黙が訪れたりすると、勝手に心の中でツッこんだり妄想したりしてつい笑っちゃいそうになる(笑)。だからサラリーマンに向いてなかったんですよね」

男のこだわりってダサいんですけど、小さくてかわいくないですか?(笑)

──原作を読ませていただいて、「こういう部屋に住んでる男性いるいる!」と、ものすごく共感しました。

「僕自身がおしゃ子なのではなく、むしろおしゃ子にいろいろと指摘される側の立場なんですよね。だからおしゃ子は、"こういうものを置いておいたらツッこまれそうだな~"という目線を擬人化した感じに近いかな。"こんな場所にゴミ箱を置いたらおしゃ子に怒られるな~"とかつい考えちゃう......生きづらい(笑)」

──かっぴーさんご自身は、お部屋にこだわりはない感じですか?

「結婚をして子どもが生まれると、もうそれどころではないんですよね。でも、結婚前は引っ越す"家の形"にこだわっていました。東京でそこそこのお給料で生活するとなると、どうしても、よくある長方形の部屋になってしまいますよね。家のベースが同じだとおしゃれするにも限界があるので、引っ越す時は、まず家の形にこだわっていました。以前住んでいた家はコンクリートの打ちっぱなしで、部屋の中に鉄骨の階段があって、お風呂もシースルーのガラス張りで......(笑)」

──まさにトレンディドラマの世界!(笑) 打ちっぱなしの部屋って「夏は暑くて冬は寒い」と聞きますが...。

「そう! 最悪なんですよ。当時はトレンディ気味な物件を探しては住んでいたんですけど、ぶっちゃけ住みづらくて、それもおしゃ子にツッこまれるところですよね(笑)」

──個人差はあるとは思いますが、部屋に対してめちゃくちゃこだわりが強い男性っていますよね。「えっ? なんでそんなところにこだわるの!?」みたいな...。

「男のこだわりってダサいんですけど、小さくてかわいくないですか?(笑) そういう部分を"俯瞰で観察したい"という想いもあって、おしゃ子という女性主人公が誕生したのかもしれません。読者から"女の人が描いているのかと思った"と言われることは多いですね」

──確かに! 私も初めは女性の作者さんだと思っていました。

「何かに対してツッコミを入れる時は全体を広く見渡せる女性目線のほうが面白くなる。僕の作品の主人公は女性が多いんですけど、もしかしたらそういった理由もあるかもしれません」

──おしゃ子にディスられている部分にご自身の要素も含まれていますか?

「自虐ネタ、多々あります。作者の自虐だと思って観ていただいたほうがいいかも(笑)。今回のドラマを観て、改めて"痛タタタタタタ......"と。ベンチャー社長の部屋にダーツがあったんですけど、僕もダーツを置こうとしたことがあります(笑)」

oshako_20200714_04.jpg▲現場では、キャストスタッフ全員がフェイスシールドを着用。それでも笑顔のかっぴーさん!

恐ろしや! 「林檎の呪縛」と「無印スパイラル」

──私の中で「あるある!」となったのは、「無印良品の部屋」ですね。シンプルで機能性もあって良いのですが、どこかツッこみたくなる。

「男性は"無印スパイラル"もよくやりますよね。無印と同様にAppleでもやってしまう。iPodを買ったらMacBook、その流れでiPhoneと、いつのまにかApple製品から抜けられなくなる」

──俗に言う「林檎の呪縛」ですね(笑)。気づいたら生活の大半を林檎が占めている。

「無印もそれとよく似ていて、引っ越しで最初に必要なものを揃える時、つい無印良品の新生活セットを購入しちゃうんですよ。そこからスタートすると、無印から抜け出せなくなります(笑)。もちろん、Appleも無印も使いやすくておしゃれ、性能も素晴らしいんですけどね。そもそも日本はインテリアやファッションの平均点が高いと思っていて、無印やユニクロがスタンダードになっているので、"クソダサい"みたいな状況になりにくいんですよ。だからこそ、気を抜くと平均に吸い込まれていくのかなと」

──最近ではIKEAやニトリもスタンダードですよね。

「ここらへんは選択肢が多いから、男性は怖いんじゃないかな? センスを問われますから。IKEAやニトリでおしゃれな部屋を作れる男は本物ですよね。並大抵の男がここら辺に手を出したらヤバいことになる。だって絶対にフェイクの草とか置いちゃいそう。で、おしゃ子に"この草ナニ?"って言われちゃいそう(笑)」

──原作を読んでいると、男性と女性の価値観は、令和時代もやっぱり平行線のままなのかな? という気がします。

「そうですね~。僕も最近、ものすごいおしゃれな虎のカーペットを捨てました。有名なインスタグラマーさんが、自分の部屋に同じカーペットを敷いていて、それを奥さんに"ほら!ほら!この人も!"と言いながら積極的に見せたんですけど、"要らなくない?"ってバッサリ...(笑)。なので、虎のカーペットは60日くらいしか我が家にいなかったんですよ。でも、男女の価値観が違うからこそ、いろいろと面白いのかもしれませんね」

──最後に、かっぴーさんの今後の創作活動についてお聞かせください。

「コメディのノリは大好きなので、今後の作品にも活かしていきたいですね。ただ、ギャグ漫画は一番難しい分野なので、たまに描くくらいでいいかな(笑)。人を笑わせるというのは、人間の感情を動かす中で一番難しいと思っています。泣かせるよりも難しい...。『おしゃ子』を描いたことを財産にして、今後も楽しいノリの漫画を描きたいと思っています」

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ありがとうございました。かっぴーさんの分身(?)ともいえるおしゃ子が、イキッた男のイキった家を爽快に斬る、水ドラ25『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』は、7月15日(水)深夜1時28分からスタートします。どうぞお楽しみに!

(取材・文/水野春奈)

かっぴー プロフィール
漫画家。株式会社「なつやすみ」代表取締役社長。武蔵野美術大学卒業後、大手広告代理店に入社。その後、WEB制作会社のプランナーに転職後、趣味で描いた漫画『フェイスブックポリス』をWEBサイトに公開し大きな反響を呼ぶ。2016年に漫画家として独立。主な作品に『左ききのエレン』(集英社)、『バスマン』(扶桑社)、『SNSポリスのSNS入門』(ダイヤモンド社)などがある。

【第1話 あらすじ】
矢作穂香主演で人気WEB漫画を初ドラマ化! "おしゃ家ソムリエ"のおしゃ子が男たちのダメ部屋をブッタ斬る新感覚ラブコメディ! 訪れたのは下心丸出しの自称モテ部屋!?

イエーガー・おしゃ子(矢作穂香)には、交際前だからこそ、相手の家に行かなくてはならない理由がある。なぜなら彼女は、おしゃれな家に住んでいる男としか付き合えない女"おしゃ家ソムリエ"なのだ!

若手ベンチャー社長・基陸ルゥ斗(金子大地)から家へと誘われたおしゃ子は、築浅タワーマンションに胸を躍らせていた。しかし一歩部屋に入るとそこは「無駄に大きなソファ」「DJブース」「ダーツボード」が所狭しと並ぶ"下心丸出し"の自称モテ部屋で...。

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