目元のクマを消すには〇〇〇が効果的! 部分ケアより血行不良の改善を:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から放送)は、医師や病院の選び方のコツや、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちが答える、知的エンターテイメントバラエティです。

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられた健康相談は、なかなか消えてくれないしつこい「目の下のクマ」についてです。同番組に出演中で内科・漢方内科がご専門の石原新菜医師にお答えいただきました。

目の下のクマが消えません。どうしたらなくせますか?

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Q:50代女性です。最近、目の下の焦げ茶色っぽいクマが目立つようになってきました。アイマスクで温めたり冷やしたり、美容液などを継続して使用したり、「桂枝茯苓丸」という漢方薬を飲んだり、いろいろ試してみましたが一向に改善する気配がありません。メイクで隠そうとしてもうまくカバーできず、よく周囲の人に心配されます。おすすめの対処法や美容法があったら教えていただきたいです!

── 先生、同じような悩みを持つ女性は多いと思いますが、クマは漢方薬で改善できたりするのですか。

「目の下のクマは漢方では『瘀血(おけつ)』といって、そこだけにトラブルが生じているように見えますが、実は血液の循環が悪い状態が全身で起こっています。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は血流を良くして瘀血をとる薬なので、シミなどではなく、血流が滞って起きているクマであれば改善が見込めます。同じく血行不良で起こるむくみにも効果のある薬です。

瘀血は細かい毛細血管に血液が渋滞しているような状態(うっ血といいます)で、目の下などの薄い皮膚では渋滞によって拡張した血管が透けて見えます。黒ずんだクマの正体はこの滞った毛細血管なんですね。顔が赤く見える、手のひらが赤いなども同じうっ血によるもので、下肢静脈瘤やイボ痔、子宮筋腫などの病気はうっ血が原因で起こります。

また、ぶつけた記憶がないのにいつの間にかできているアザもそう。女性に多いのですが、これも毛細血管が拡張しているからなんですね。ちょっと当たっただけで毛細血管が切れやすく皮下出血してしまうのです」

── うっ血はなぜ起こるのですか。治すことはできるのですか。

「心臓から送り出される血液は押されて勢いがありますが、心臓に戻ってくる血液にはその勢いがありません。そうなるとうまく戻れないから血液が停滞したり、足の静脈瘤(下肢静脈瘤)に見られるように静脈が蛇行したりするんですね。

うっ血は血液の循環が悪いというだけのことなので、循環を良くすれば治ります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動、ポンプの役目をする下半身の筋肉を鍛えるスクワットが血流の改善に効果的です。あとはお風呂に入ってゆっくり浸かること。腹巻きをする、温かいものを食べるなども、全身の血流がよくなるのでおすすめです。」

shujii_20200618_02.jpg画像素材:PIXTA

── すぐに効果のある対処法というのはありますか。この相談者の場合は温めたり冷やしたり、美容液を使ったりしているようなのですが。

「局所でクマをなんとかしようとするよりも、やはり全身で改善したほうがいいですね。そのほうが早く効果が出ると思います。

漢方医学は、目の症状なら眼科、皮膚の症状なら皮膚科......というのではなく全身を通してさまざまな症状をみていきます。そしてその改善には根本の生活習慣を見直すことが、じつは重要だったりします。

たとえば、普段食べすぎる傾向がある人はそれが血行を悪くしているのかもしれません。食べたものを消化するために血液が胃腸に集まり、他に行く血が少なくなるからです。何かしら1日中食べているような人は、1日中胃腸に血液が集まっているわけです。その場合は腹八分にしておくだけで違いが出てくるんですね。

この相談者のケースも、部分的な対処法や高価な美容液などに頼るよりも、まずは全身の血流を改善することが大事です。臓器が元気に働いてくれる状態を健康とするなら、臓器に必要な酸素や栄養、水を届けるのは血液。いらなくなったものを回収するのも血液です。血行が悪くなると女性は生理痛や生理不順、便秘にもなりやすくなるので、運動や食生活などの見直しから始めてみてはどうでしょうか」

── 血行を良くするには、食生活でどんなものをとるようにするといいですか。また、とりすぎに注意したほうがよいものなどはありますか。

「血行を良くする食べものとしては、陽性食品(体を温める食べもの)、とくに生姜、ネギ、タマネギなどがおすすめです。また、桂枝茯苓丸の『桂枝』はシナモンのことですから、シナモンをとるのもいいでしょう。

逆に注意したいのが水分のとりすぎです。よく患者さんに "私は水を2リットルも飲んでいるのにどうして乾燥肌なのですか" "なぜドライアイなんでしょう" などと質問されることがありますが、飲んだ水が胃や腸で吸収されて血液に入り、血行がいいから体の隅々まで届くんですね。

また、水分を過剰にとっても汗や尿で余分な水分が出ていく人はいいのですが、腎臓の働きが悪くてうまく排出できない人などはそれがむくみの原因になります。むくめばそこに水が滞留するのですから当然体は冷えます。

漢方には『水毒』といって水も毒になるという考え方があります。植物も水をあげすぎると根腐れを起こしますよね。ないと生きていけませんがとりすぎてもダメなのは人間も一緒です。過剰な水分のとりすぎには注意しましょう。」

── 石原先生、ありがとうございました!

【石原新菜(いしはらにいな)医師プロフィール】

イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師、本内科学会会員、本東洋医学会会員、本温泉気候物理医学会会員。1980年長崎県生まれ。2006年3月帝京大学医学部卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實医師のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。著書に『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『冷えをとれば9割治る』"など。2児の母でもある。

※この記事は石原新菜医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った石原先生も出演する主治医が見つかる診療所は【芸能人 自撮りドック&コロナ太り解消SP】(6月18日木曜夜7時58分)。

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