ジメジメした梅雨の季節。嫌~な天気で気分も落ち込みやすいのに、保存していた食材にカビを発見してしまった時のショックといったらありませんよね。さらに6月~9月は、菌による食中毒が増える時期。健康的に過ごすためにも、梅雨の時期に注意すべき食材の保存方法を知っておくことが大切です。
毎回様々な専門家が出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木曜日 午前9時26分~放送)から、料理研究家で食品保存アドバイザーの島本美由紀さんに「梅雨時の食材保存のポイント」を伺いました。
3つの質問で危険度チェック!
まずは3つの質問に◯か×で答えてください!
Q1. 肉や魚は潰れないように買い物袋の一番上に置く
Q2. 冷蔵庫に入れれば、菌は繁殖しないから大丈夫
Q3. 調味料や乾物、お米はオールシーズン常温保存
ひとつでも○と答えた方、食中毒の危険が潜んでいます!
気をつけるために島本先生の解説を伺いましょう。
Q1. 肉や魚は潰れないように買い物袋の一番上に置く...はNG!
肉や魚などナマモノをスーパーで買った時にどのように買い物袋に入れていますか? 潰れないように一番上に置いていませんか? 実はこれはNG!
注意ポイント:温度が高くなると菌が繁殖
「気温が高くなるこの時期、買い物袋の一番上に置くと家に帰るまでの間に太陽にあたって温度が上がり、冷やしてあったものが常温に近づいて汁(ドリップ)がでてしまいます。
袋詰めする時は、肉や魚などのナマモノは一番上に置くのではなく真ん中に。ナマモノの下には保冷剤替わりに冷凍食品やアイス、パックの豆腐などを置き、上には直射日光が当たらないように軽い野菜や乾物、お菓子を詰めるといいですね。家まで運ぶ時から保存は始まっているんですよ」
Q2. 冷蔵庫に入れれば、菌は繁殖しないから大丈夫...はNG!
温度が上がらなきゃいいのなら、冷蔵庫に入れておけば安心? いえ、これもNG!
「冷蔵庫の中で菌は死んでいるのではなく、ただ繁殖のスピードが緩くなっているだけ。菌は10℃以下で活動がゆっくりに、冷凍してマイナス15~18℃になれば動かなくなるだけ。でも冷蔵庫でも菌の繁殖は緩やかに行われています」
菌の繁殖を抑えるためには、冷蔵庫内の温度を知り、"どこに何を"入れるかがポイントです。
【冷蔵庫保存の基本】
冷蔵室(約3~6℃)...すぐ使うもの。
※注意:ドアポケットは開閉により温度変化が強くなるので、ここにピザ用チーズなどを入れるのはNG! カビの原因になります。
チルド室(約0度)...蓋があったり箱型になっていて冷気が逃げないので、肉や魚などのナマモノを。野菜やお菓子を入れるのはNGです。
野菜室(約5~7℃)...ちょっと高めの温度に設定されています。
ちなみに「冷蔵室は7割以下、冷凍室は7割以上食材を入れる」が鉄則。
「冷蔵室はいっぱいに入れてしまうと庫内の冷気がぶつかって充満しなくなるので、詰めすぎず余裕がある方が◎ 一方で、冷凍庫は冷気が逃げちゃうと食材が溶けるので、ある程度パンパンにつまっていたほうが◎ 7割に満たない時は、ペットボトルに水を入れていれて冷凍しておくとか。保冷剤を入れて隙間を埋めてください」
Q3. 調味料や乾物、お米はオールシーズン常温保存...はNG!
ナマモノや野菜は冷蔵庫に保存! でも、お米や小麦粉は常温でも大丈夫でしょ? いえいえ、これもNG!
梅雨の時期は常温保存OKのものも保存場所の移動が必要になります。
【梅雨時期は冷蔵庫で保存した方がよいもの】
お米、小麦粉、ケーキミックス、片栗粉、切り干し大根などの乾物類
また調味料は開封後は冷蔵庫へ。
【開封後は年間を通して冷蔵庫で保存した方がよいもの】
しょう油、お酢、みりん風調味料(アルコール度数の高い本みりん常温保存で大丈夫)、料理酒、ドレッシング、ソース、マヨネーズ、ケチャップ
「気温や湿度の上がる6~9月は調味料も冷蔵庫に置き場所を変えることをオススメします。冷蔵室がいっぱいになった場合は、塩分の強い柚子胡椒や味噌は冷凍室でもOK。塩分濃度が高い食品は凍らないので、使う直前に冷凍庫から出しても普通につかえるんですよ。
お米も、常温で置いておくと虫が発生しがちです。虫はアレルギーの原因にもなるので、袋ごとゴムで縛って野菜室に入れてください。同じ理由で、小麦粉、ケーキミックス、切り干し大根や干しシイタケなどの乾物類も冷蔵室に移動させましょう。湿気の多いこの時期は、冷蔵庫に入れることで"乾燥"の役割にもなります。乾燥しすぎを防ぐため保存袋などに入れるといいですね。保存をキチンとすれば、最後まで美味しく食べられますよ」
また、しょう油やサラダ油、みりん、お酢などの調味料をシンク下に入れている方、こちらもNG! シンク下は頻繁にドアを開閉しないため空気もこもりがちの上、素麺やパスタなどのゆで汁を流すとシンク下の温度は上がってしまいます。温度の変化は調味料の劣化の元です。
カレーの保存とお弁当に要注意!
ここまで食材の保存方法を伺ってきましたが、最後にお料理の保存方法で気を付けるべきことを教えていただきました。
「カレーの保存は要注意です! 一晩置いた方が美味しいですが、6~9月にかけては絶対に止めてください。粗熱を取るために3~4時間置いておくだけで菌が繁殖します。夏場は、残ったカレーは鍋ごと冷水で冷やすなどして粗熱を取り、必ず容器に入れ替えてすぐに冷蔵庫で保存しましょう。容器に入れる時は、温かいまま入れると熱で容器の中に水滴が溜まり傷む原因になるので気を付けください」
同様に、お弁当も容器の中に熱や蒸気を溜めないように注意が必要。
「朝作ってからあんまり冷めていないままお弁当箱に詰めると熱で菌が繁殖しやすくなります。ベストなのは、夜作って冷やしておいたものを朝詰めること。切り干し大根など汁が出るようなものを入れると、その水分が原因で菌が繁殖するので、水分の少ないメニューにするなど工夫してください。
梅干は冷凍庫で保存できるので、凍ったままおにぎりの具にすると、保冷剤代わりになります。また、凍らせた小さいゼリーをお弁当箱の中に入れておくと、保冷剤にもなるし、おやつとして食べることをもできてオススメです」
調味料や乾物は常温保存でOKと思っていませんでしたか? 正しい食品の保存方法を実践すれば、食中毒から身を守るだけでなく食材を使いきるまで美味しく食べることができるんですね。今すぐ実践できることばかりなので、さっそく試したいですね。
取材協力:島本美由紀さん。料理研究家・ラク家事&食品保存アドバイザー。「ためず、忘れず、使い切る!ストック食品管理術」「ひと目でわかる!食品保存辞典」など、食品を美味しく保存する方法などお料理に関する著書だけでなく、「旅するラオス・ルアンパバーン案内+ついでにハノイ&サパ」などの旅のガイド本やエッセイなども手掛けている。
オフィシャルHP:http://www.shimamotomiyuki.com/
島本美由紀さんも出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜日 夜9時26分からのOAも要チェックです!
※2018年7月1日に公開した記事の再掲です。
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