感染防護具がまだまだ足りない...医療崩壊を防ぐ町工場の挑戦:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。6月2日(火)の放送では、防護具の大量生産に挑む技術者たちを特集。医療崩壊を防ぐために立ち上がった企業の姿を追う。

社員8人の会社が10万枚の医療ガウンを生産する!?

全国で緊急事態宣言は解除されたが、顔を覆うフルフェイスシールドや医療用ガウンなど、現場ではいまだ感染防護具の不足が続いている。

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実は、感染防護具のほとんどが輸入品。サージカルマスクは約80%が中国製で、医療用ガウンや全身防護服の大部分は中国やベトナム、インドネシアなどからの輸入に頼っている。海外での生産や輸入が追いついていないため、ゴミ袋を着用して患者と向き合わなければならない過酷な医療現場も存在する。

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不足する医療用ガウンを国内で大量生産しようと立ち上がったのが「ヴァレイ」(奈良県上牧町)の谷英希社長(30歳)。2016年創業、社員8人の会社だが、フリーランスの縫製職人約200人をネットワーク化。アパレル企業からデザイン性が高く小ロットの製品を請け負い、全国各地の職人に仕事を依頼。仕上げはヴァレイが行って製品を会社に納入する独自の仕組みをつくり出した。

6月末までに10万枚の医療用ガウンの生産を目指す谷さん。不足するガウンをヴァレイのネットワークで作れば、医療従事者を助けることができ、さらには新型コロナで仕事が激減している国内の縫製業者のためにもなる....谷さんはそう考えていた。

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谷さんから依頼を受けて、いち早くガウン作りを始めた福田ヒロ子さん・勝夫さん夫妻。「昔から貢献したいというのが夢だった」と語るヒロ子さん。一枚でも多く縫うため
夫婦二人三脚でガウンの生産を急ぐ。

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さらに、大量生産を目指す谷さんに強力な援軍が現れた。ANAグループがボランティアでガウン作りを手伝ってくれることになったのだ。ANAグループで800人がボランティアに志願し、選ばれた120人が作業にあたる。客室乗務員の部署で管理職をしている社員は、「ミシンの経験があり、学生時代は手芸部。真っ先に手を挙げた」と微笑む。

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しかし、谷さんにはある不安が...世界的な争奪戦によって、ガウンの原材料がなかなか手に入らず、目標の10万枚を作れない恐れがでてきたのだ。オールジャパンの量産体制で10万枚のガウンを作り、医療従事者を救うことはできるのか?

不足するフェイスシールド 町工場の力で量産せよ!

医療現場でもう一つ不足しているのが、せきやくしゃみなどによる飛沫感染を防ぐフェイスシールドだ。最近では介護や飲食店でも使われるようになり、さらに需要が高まる。

「トヨタ自動車」や「日立製作所」など、さまざまなメーカーがフェイスシールドの生産に乗り出している一方で、町工場の力を結集してフェイスシールドを大量生産しようという取り組みが始まった。

大阪大学大学院・医学系研究科の中島清一特任教授は、消化器科の外科医で、新興国向けに安くて信頼性の高い医療機器の開発も手掛けている。医療の現場でフェイスシールドが不足する状況を目の当たりにして、フェイスシールドの開発に乗り出した。

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中島教授が開発したのは、どこでも手に入る文房具のクリアファイルを利用したフェイスシールド。フレームの設計図をネットに無料公開し、中島さんが3Dプリンターでの生産を呼びかけると、全国各地でフレームを作って医療機関に届ける草の根運動が広まった。

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しかし、中島さんの仲間の医師たちから話を聞くと、まだまだ現場でフェイスシールドなどの医療用防護具が足りないという実態が明らかに。さらに、「今後、第2波、第3波に備えて、医療機関でフェイスシールドを備蓄すべき」との声も。そこで、中島さんはフレームを一気に大量生産するため、町工場の力を借りることに...。5月、6月の2カ月で20万個のフレームの量産し、全国各地の医療機関に無償で届ける緊急プロジェクトが動きだした。中島さんと町工場の職人たちの挑戦、その結末は...。

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緊急事態宣言の解除で緊張感が薄れる中、医療現場はいまだ新型コロナの渦中にある。
医療従事者を守るため立ち上がった名もなき人々の姿を、今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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