牛や豚では物足りない! 東京で最も高い「天空集落」で暮らす一族の食生活とは? 150年続く驚きべき伝統儀式を目撃:ナゼそこ

公開: 更新: テレ東プラス

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日本の「ナゼそこ?」と思える場所に急行し、ナゼこんな秘境に住んでいるのか? と思う人物の意外な人生ドラマから、都会の身近な謎まで調査する「ナゼそこ?」(毎週木曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

子熊を拾って育てた天空集落の凄腕猟師

世界には、過酷な環境で独自の生活を送る一族が数多く存在するが、実は日本にもそんな一族がいる。今回は、東京・奥多摩の山奥で驚きの生活を続けてきた一族に迫る。

東京駅から電車で2時間の奥多摩駅から、バスで1時間かけて終点の峰谷に到着。地元の方に聞いたところ、一族は標高約1000mの峰集落に住み、山で猟をして自給自足に近い生活をしているという。その一族の長は、大野国太郎さんという方だとか。

峰集落を目指し、山道を歩くこと50分、布団叩きをしている男性に遭遇。この男性こそ大野一族の一人、大野浩幸さん(49歳)。国太郎さんの息子で、浩幸さんの従兄弟である久男さん(56歳)の家に連れて行ってくれた。

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久男さん宅では、一族が集まって食事中。塩蔵したワラビやワサビの茎、炭火で焼いた味噌漬け鹿肉など、山の幸が並ぶ。一族が好んで食べるのは鹿や熊、イノシシなどの獣肉で、牛や豚は獣臭がしないから物足りないのだそう。

聞けば、国太郎さんはすでに他界。生前は「森の名手100人」に選ばれるほど腕利きの猟師で、40年近く獰猛な獣を狩り続けた。今でも一族が集まるたびに盛り上がるのは、国太郎さんの武勇伝だ。

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国太郎さんには、こんなエピソードも。ある日猟に出かけた国太郎さんが連れ帰ってきたのは、なんと子熊。峰子と名付けられ、可愛がられたそう。国太郎さんの孫・和彦さん(30歳)は3歳の頃に、峰子にお尻を噛まれたことも。その後大きく成長した峰子は、動物園に引き渡されたという。

標高1000mの土地ならではの生活

ここで、東京で一番高い場所での暮らしぶりを見せてもらうことに。浩幸さんに同行し、山肌に沿って道なき道を進むと急斜面にフキノトウが自生している。その角度は、富士山の登山道と同じ25度! これだけの急斜面では農業機械が使えず野菜の栽培が難しい。辛味のある冬菜やこんにゃく芋なども育ててはいるが、自生する山菜は大事な食料なのだ。

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大変なのは食料の確保だけでなく、生活に必要な薪も自分たちで入手しなければならない。険しい山道を上り、チェーンソーやナタを振るって木を切り倒し、約25kgの薪を背負って運ぶ。かつては町から背負子でプロパンガスも運んだそう。一仕事終えたら火鉢を囲んで一服し、夕食の準備。昔ながらのかまどに火をくべてご飯を炊く。風呂を焚くのも薪だ。

150年前から続く伝統の儀式

この日一族が集まったのは、ある儀式のため。昨年末に90歳で亡くなった、久男さんの母であり国太郎さんの妻・京さんの納骨を行うのだ。しかし向かった先は墓地ではなく家の目の前。大きな穴が掘ってあり、そこに遺骨を納める。

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昔は車が通れる道もなく、火葬場に行けなかったことから、遺体が納められた棺桶をそのまま埋める土葬が行われていた。土葬の習慣は150年前から続き、京さんの遺骨を埋めた周りにも棺桶が複数埋められ、墓石の代わりとなる大きな石が目印。この地域では昔から土葬を行う文化があり、今でもお寺や役場で手続きをすれば、許可を得た土地で土葬ができるという。

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国太郎さん、京さんが亡くなった今、一族は周辺の奥多摩町や青梅市に移住したが、週に一度は代わる代わるこの地を訪れ、家の補修や畑作業を行っている。「少しでも、昔の形を維持できれば」と浩幸さん。集落を離れても、皆で一族の伝統を守り続けている。

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そして5月28日(木)夜9時放送の「ナゼそこ?」では、【スゴイ秘境に住んでる人知りませんかSP】を送る。今回は茨城県出身のお笑いコンビ・カミナリが秘境人を探して数珠つなぎ! まずは東京・銀座で出会った女子大生から、手付かずの山々に囲まれた秋田県・鯉川集落の情報を入手。築200年の大きな家に長男夫婦と孫2人と暮らす78歳のおばあちゃんを訪ねる。

さらに秋田のほぼ中央に位置し、7世帯11人が暮らす秘境集落でたった一人、ひっそりと暮らす超元気な95歳のおじいちゃんのもとへ。趣味はテレビショッピングというおじいちゃんが集落を離れたくない理由とは?

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