新型コロナで五輪延期...日本での長期合宿や支援はどうなる? 南スーダン陸上代表の運命が緊急会見で明らかに!:YOUは何しに日本へ?

公開: 更新: テレ東プラス

日本を訪れる外国人たちを空港で勝手に出迎えてアポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(毎週月曜夜6時25分~)。今回は「決意を胸に飛びます!飛びます!未来へ向かってホップ!ステップ!ジャンプSP」ということで、日本で決意を固めたYOUを求め空港で突撃取材を敢行。放送時間は95分、果たしてどんな面白YOUに出会えるのか?

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突然だが、「あのYOUは今!?激変したその後に密着」のコーナー。

初めての出会いは、2019年11月14日。成田国際空港で面白YOUを探していたところ、囲み取材を受ける集団に遭遇した。正体が気になって声をかけると、なんと南スーダンから来日した「東京2020オリンピック・パラリンピック」(以下、「東京五輪」)の陸上代表団だという。南スーダンには整備された競技場がないと知った群馬県前橋市のご厚意で、本番までの長期合宿を支援していただけることになっての来日だ。

構成メンバーは、前列の右からアクーン(400mハードル・17)、アブラハム(1500m・20)、ルシア(女子100m・18)、マイケル(パラリンピック100m・29)の選手4名と、コーチのジョセフさん(58)の全5名。

今回は、新型コロナによる東京五輪延期という緊急事態に伴い、近況を確かめるべく彼らに会いに行くことになった。

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向かったのは、東京五輪延期が決定直後の3月26日。この日、練習用グラウンドで緊急記者会見を開くということで、報道陣も多く集まっていた。いったいどんな発表があるのだろうか...。

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その前に少し経緯をおさらいしておこう。

YOUたちの住む南スーダン共和国とは、長い内戦を経て2011年に独立したばかりの世界でいちばん新しい国。とはいえ独立後も紛争が続き、生活物資も足りず「世界で最も貧しい国」ともいわれている。こうした苦しい情勢のなか、国としてどうにか「東京五輪」へ出場すべく支援を申し込んだところ、前橋市がふるさと納税などの寄付金を使い、南スーダン初の五輪選手のYOUたちを支援してくれることになったのだ。

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選手団のリーダー的存在であるアブラハムの父は、実家を建てていた8年前に他界し、家にはまだ屋根すらない状態だ。そんなアブラハムのいちばんの夢は、金メダルを獲ってお金を稼ぎ、家を完成させること。

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一方、唯一の女子選手・ルシアはとてもシャイな性格で、コーチからはしょっちゅう「しっかりしゃべりなさい!」と叱られてしまうJKだ。

家族と離れて暮らすのは不安だけれど、金メダルで南スーダンに笑顔をもたらしたいと意気込みはホット。ルシアの自己ベストは自国ではNo.1だが、リオ五輪の記録には届かないので、さらなる猛練習に励んでいる。

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そんな厳しい練習をこなすYOUたちだが、合間には温泉や親睦会への参加など、地元の方々とも親睦を深めていた。この日は地元の小学校を訪問し、体育の授業に参加。ルシアは「本気なんて出さないわよ。50%くらいね」と、小学生へのハンデを宣言していたものの、いざ競争すれば軽~く圧勝(笑)。

こんなふうに、長期合宿の毎日は充実そのものだった...、はずだった。

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ところが3月25日、新型コロナウィルスのパンデミックにより、東京五輪の延期が正式発表されることとなった。来日したYOUたちや、前橋市のみなさんも延期とは想定外。これからの長期合宿や支援はいったいどうなってしまうのか。

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この厳しい決定を受け、 "重大発表"のため、前橋市も緊急記者会見を行うことになったというわけだ。

さっそく報道陣の前に現れた市長の山本さんが、YOUたちへの対応を発表することに。その内容に緊張感が走ったものの、山本さんが発表したのは「来年に延期された本大会まで、継続的なトレーニングをこの地で一緒にしていきたい」という、支援継続の決定だった!

続いて、YOUたちの意志を聞くためマイクを向けられると、「目標のメダルを獲るために、前橋市で合宿を続けたい」と前向きな思いを語ったアブラハムを筆頭に、マイケルもアクーンもルシアも同じ思いを口にした。

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報道陣からの質問タイムでは、ルシアに「密着取材をこのまま継続しても大丈夫ですか?」と取材延長を交渉したところ、快諾してもらえたので、来年の五輪本番まで密着の継続も無事決定! ジョセフコーチも、シャイなルシアにお口添えありがとうございます!

こうして五輪本番までの合宿継続も決まったところで、今回の記者会見は終了。本当によかった!

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翌日から練習が再開されると、ルシアの横に新しい友達の姿があった。少女は100m走の総見さんで、最初はルシアの人見知りで話せなかったけれど、今ではジョークを飛ばし合うほど仲良しなんだって。家族に会えず寂しいけれど、共に夢に向かって練習を重ねる親友がいるなら安心だ。

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一方、1500mの自己ベストがリオ五輪金メダルのタイムより7秒近く速いアブラハムは、この日は長距離の最後の混戦を抜け出すための練習で、何度も300mを全力疾走するハードな実践練習を積んでいた。

短距離のYOUも、実際のレースを想定した練習を開始。共に練習する小渕瑞樹選手も、「1月頃と比べると全然速くなっている」と絶賛してくれている。

来年の金メダルの夢に向かって、五輪延期をチャンスに変えて、がんばれYOU!

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