占いや霊能力はインチキ!? 詐欺の手口「コールドリーディング」とは?:サイレント・ヴォイス

公開: 更新: テレ東プラス

あなたは占いや霊能力を信じますか?

そんなのバカらしい!
...という、そこのあなた。年始には初詣に行き、結婚式は大安に挙げませんでしたか? 普段信心深くない人も、時にすがれるものにすがり、縁起をかついでしまう。それが人間の心理なのかもしない。

これは霊能力? それともインチキ?

ウソをつく瞬間に0.2秒間だけ現れる "マイクロジェスチャー"を読み取り被疑者のウソを見破る刑事・楯岡絵麻(栗山千明)の活躍を描く金曜8時のドラマ「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」(毎週金曜夜8時放送)。占いや霊能力のように、人の悩みなど全てを見通したり、未来を予言したり...という不思議な力は、本当にあるのだろうか? 第3話「私は何でも知っている」を振り返りながら、検証してみよう。

《今回の事件》
「3日後、あなたは死にます」 霊能者・手嶋奈緒美(堀内敬子)に"死の予言"をされた男が謎の転落死を遂げる。捜査本部は奈緒美が殺害したのではないかとにらむが、奈緒美は自分の「負の波動」が殺したと供述。物的証拠はない中、絵麻が取調べを行うことに...。

《今回の被疑者》
手嶋奈緒美(44歳)
霊能館「とまり木」の霊能者。
前世や病気などを見抜く能力を持ち、その不思議な力で相談に訪れる人々を癒すと言われる。熱狂的に奈緒美を崇拝する、信者のような相談者もいる。

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「霊能館『とまり木』、一度行ってみたかったんですぅ~」 絵麻は、奈緒美の霊能力に興味津々。「先生、わたし...」と相談ごとを口にしようとした絵麻を、奈緒美は制し、「男性との関係で悩んでいらっしゃる」と言い当てる。

「わかるんですか!?」と身を乗り出した絵麻は、婚活アプリで出会った男性とデートしたものの、「詐欺か!ってくらい、プロフと顔が違うんですよぉ~」とペラペラとと話し始める。その男は、顔だけでなく身長も職歴も詐称...それでも浮気だけはしなそうという1点に賭け我慢してつき合っていた...というところまで絵麻が話したところで、奈緒美に「フラれてしまった」と、またしても言い当てられる。

奈緒美は、霊能力で絵麻が結婚できるかを見るため、絵麻に名前と生年月日を書かせる。そこに手をかざした奈緒美は、絵麻が犬を飼っていたこと、名前はシロで、はねられて死んだということまで言い当てる。

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驚く絵麻の手を取り、奈緒美はこう続ける。シロが絵麻は整理整頓が苦手だと言っている、と。「つい忙しくて...」と照れる絵麻に、奈緒美は「あなたは強く振る舞っていますが、不安な夜を過ごすこともある」と告げ、さらに前世の因縁と結びつけながら、必ず幸せになれると説く。全てを言い当てられた絵麻は、その通りだとうなずく。

相手を錯覚させるコールドリーディング

飼っていた犬や、絵麻の悩みなどを次々と言い当てる奈緒美は、やはり霊能力で全てを見通しているのか!?

実は、奈緒美の能力は、行動心理学を応用した【コールドリーディング】という会話術を応用したタネも仕掛けもあるインチキ。ここから霊能者を語る詐欺師の巧妙な手口を暴いていく!
※今回の奈緒美はインチキですが、本当に能力のある方もいるかもしれない。

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《手口その1》
行動心理学において、その人の身に着けている衣服やアクセサリーは重要なメッセージになる。儲かっているはずの奈緒美が地味な服を選んで着ているワケは、他人を操る意図はないという安心感を印象付けるため。

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《手口その2》
次に、奈緒美は、絵麻が普段使っているペンで生年月日と名前を書かせた。
これは、内容は関係なく、字の大きさや筆圧から、相手の性格を推し量るため。さらに使っているペンや、それを取り出す際にカバンなどのブランドを観察し、嗜好や経済状況も推測していたのだ。

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《手口その3》
タイミングを見て相手の手を握り、相手の【パーソナルスペース】に侵入し親密さを演出。同時に相手の体温や握り返す強さなどから、相手の性格や自分をどう思っているかを感じ取る。

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《手口その4》
そして、ここで【コールドリーディング】の登場。

【コールドリーディング】
いかにも相手のことをよく知っているかのように錯覚させる会話術。

2人の会話を振り返ってみると...
絵麻「私、結婚できますか」
奈緒美「犬...犬が見えます」
絵麻「飼ってました、実家で、中学生の頃まで」

奈緒美「シロ」
絵麻「そう!シロ!シロっていう名前で...」

奈緒美「かわいそうでしたね」
絵麻「わかるんですか。散歩の途中でリードを放してしまって...」
奈緒美「はねられたんですね」
絵麻「ええ」

まず、絵麻の「私、結婚できますか」という問いに対し、奈緒美は直接的なことは言わず「犬が見える」と口にした。それを"絵麻自身"が、かつて飼っていた犬の記憶と結びつけたのだ。奈緒美は全てを知っているかのような雰囲気を出しているが、実際はただ「犬が見える」と言っただけ。現在、犬を飼っている人は言い当てられたと驚き、そうでない人も、かつて飼っていた、いずれ飼いたい、など何かしら犬に対する思い出を持っているため、それを引き出したにすぎないのだ。

犬の名前も同様。奈緒美は「シロ」と言っただけ。「シロ」が名前だと言ったのは絵麻自身。「かわいそうでしたね」との言葉も、「中学生の頃まで飼っていた」という絵麻の発言から犬はすでに何らかの形でなくなっていることは明らか。また、「はねられた」と死因を言い当てたように見えるが、絵麻の「散歩の途中でリードを放してしまって」という発言から、容易に想像できる。要するに、奈緒美が発した言葉を、言われた側が都合良く解釈・連想して勝手に話しているだけなのだ。

「整理整頓が苦手」と言い当てたのも、ペンをカバンからなかなか探せない=カバンの中身が整理できていない、ということから想像できる。「強く振る舞っているが不安な夜を過ごすこともある」も、誰にでも当てはまる言葉。断定的な言葉で二面性を指摘された人間は、自分の内面を見透かされたと錯覚してしまう典型的な誘導尋問の手法だ。

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「あなたには特別な力なんてない。あなたには見えていない...なんにもね。その証拠がこれ」
絵麻は、カバンとペンを指す。どちらも絵麻のものではなく、実は総務課の林田シオリ(椎名香奈江)の私物。さらに生年月日もデタラメ。犬を飼っていた話は記録係の刑事・西野(白洲迅)から聞いたものだった。

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《手口その5》
奈緒美は、自分の霊能力により相談者の娘の腫瘍が小さくなったという事例を持ち出す。しかし、これは心理学用語でいうところの【認知的整合性理論】

【認知的整合性理論】
人間の脳は偶然に起こった一連の出来事を合理化して必然に変えてしまう。

例えば、知り合いの異性と、街でばったり出会う偶然が続くと運命の相手だと思う。偶然、腫瘍が小さくなった時、たまたま奈緒美に相談していたから、奈緒美の能力のおかげだと思ってしまったのだ。

奈緒美の霊能力のインチキを暴いた絵麻。しかし、奈緒美の「霊能力が備わっている」という言葉にはウソはない。アリバイが立証され、奈緒美は自らが予言した釈放される。改めて関係者の洗い直しもされたが容疑者は出なかった。果たして奈緒美は本当に霊能力者なのか? そしてその力で山本を殺したのか? 解決のヒントは、西野がゲン担ぎで食べていたカツ丼!?

事件の真相は、期間限定で配信中のネットもテレ東で!

今週の西野の心の声

はちゃめちゃな取り調べをする絵麻に振り回される西野の顔芸&心の声も見どころのひとつ。今週イチオシのツッコミはこちら!

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婚活アプリで出会った男を見下す絵麻に、「上から~!」

ウソのプロ・弁護士と対決!

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次回5月22日(金)放送の第4話「トロイの落馬」は、冤罪をめぐり絵麻と弁護士が対決。ネットの掲示板やSNSに次々と大量殺人予告が。被疑者・高山(少路勇介)を絵麻が取り調べるも、殺人予告を行ったのか確信が得られない。人権派弁護士・松尾(西村和彦)が高山の冤罪を主張したことで、取調室で裁判を開き自白が強要されたかどうかを証明することに。"ウソを見抜く"絵麻と、言葉を用いて黒を白にもする、いわば"ウソのプロ"の弁護士・松尾が対決!

※2018年10月23日に公開した記事の再掲です。

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