体が近いと心も近い!? 好きな相手と接近したいならパーソナルスペースを学べ:サイレント・ヴォイス

公開: 更新: テレ東プラス

「接近性と好意は、コインの裏表のようなものである」
アメリカの心理学者 アルバート・メラビアン

好意は接近性を引き起こし、接近性は好意を引き起こす――要するに、好きだから近づきたいということもあるが、近づいているから好きになるということもある、という意味だが、果たして真実か?

キャバクラトークで心も大接近

ウソをつく瞬間に0.2秒間だけ現れる "マイクロジェスチャー"を読み取り被疑者のウソを見破る刑事・楯岡絵麻(栗山千明)の活躍を描く金曜8時のドラマ「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」(毎週金曜夜8時放送)。第2話「近くて遠いディスタンス」を振り返りながら、これを検証してみよう。

《今回の事件》
ある火災現場で見つかった焼死体を検視した結果、放火殺人事件と判明。性別もわからないほど焼け焦げていた遺体は歯の治療痕から武井明彦(龍坐)だと分かった。保険金の受取人である妻・道代(片岡明日香)を犯人とにらんだ捜査本部だが、決め手に欠け行き詰まる。関係者の洗い直しをする中、被害者の友人で歯科医の福永善樹(津田寛治)も警察に呼ばれ、絵麻が取調べを行うことに...。

《今回の被疑者》
福永善樹(48歳)
ふくなが歯科医院の院長。
子供からお年寄りにまで人気がある。放火殺人事件の被害者のカルテを提出した医師であり、被害者とは親友だった。

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「すいませ~ん、遅くなっちゃって~」
メイクバッチリ&刑事らしからぬセクシーな服装で取調室に現れた絵麻。「写真で見るよりずっとステキ」と福永のそばに寄っておだてまくり、またしてもキャバクラトーク開始。

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「先生、私の口、どう?」
虫歯の話題の流れから、福永に「あ~ん」と口を開けて見せる絵麻。福永は顔を近づけ口を覗き、「うん、お口の中もおきれいですね」と思わず顔がにやける。

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そして絵麻のおさわり開始。福永の腕にさわりながら「さすが、高級ブランド」ともちあげる絵麻。「お高いんでしょう?」とスーツの値段を聞きながら「こっそりでいいから私だけに教えて」と身を乗り出し、福永に耳打ちさせる。

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さらに、いつの間にか対面ではなく隣へ。お互いに顔を寄せ合い、かなり親密な様子。記録係の刑事・西野(白洲迅)も、思わず「近い!近い!」。

絶賛婚活中の絵麻。年収も高く、将来性のある歯科医・福永をターゲットとしてロックオンしたのか!?

パーソナルスペースで関係性がわかる

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この言動にはもちろん意味がある。絵麻が福永の【パーソナルスペース】に自然に踏み込み、距離を縮めて本心を引き出すための作戦なのだ。

【パーソナルスペース】
人がそれぞれ有する心理的な縄張り。
パーソナルスペースには、「公衆距離」「社会距離」「個体距離」「密接距離」の4段階がある。「公衆距離」ほど相手との物理的な距離が遠く、心理的な親密度も最も低い。逆に「密接距離」に行くにしたがって物理的な距離も近く、相手に心を許している状態と言える。

例えば、生活安全部の女性警官仲良し三人組の場合、それぞれの距離はこの通り。

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職場の同僚など仕事の話をする相手との「社会距離」(周囲120cm~360cm)範囲内であり、友人間の距離として妥当な「固体距離」までは届いていない。仲がよさそうに見えるが、実はお互い本音ではしゃべってないということがわかる。

ちなみに、最も親密度の高い「密接距離」(周囲45cm以内)に立ち入ることができるのは、基本的に家族や恋人など、ごく親しい存在に限られる。

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これは「密接距離」。単なる同僚だと思っていたが、この2人の関係はもしや...!?

赤の他人が強引に踏み込めば拒絶されるが、自然な動作の中で近づくことができれば、そういう間柄なのだと脳が勝手に錯覚する。心理が行動に反映されるのではなく、行動が心理に反映されるのだ。

絵麻は、【パーソナルスペース】に自然に入るこむことで、福永に親しい間柄だと錯覚させることに成功。様々な言動を引き出しながら、【マイクロジェスチャー】により福永が犯人だと確信した絵麻は、こう切り出す。

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「先生、確か車はボルボのSRVでしたよね」
すっかり心を許した福永は「今度よかったらドライブでも」と上機嫌。
しかし、福永のウソを見抜いた絵麻が、事件現場で目撃された車と同車種の車も所持していることを指摘すると福永に変化が。福永は少しイスを引いて絵麻と距離を取り、「固体距離」から「社会距離」へ。明らかに絵麻を警戒し始めたことがわかる。

絵麻は、福永の【マイクロジェスチャー】を読み取り、凶器の場所を導き出す。しかし、凶器からは容疑のかかっていた妻・道代の指紋が検出される。また、福永の【マイクロジェスチャー】には殺害を認める反応が出ているにも関わらず、「武井を殺していない」という言葉には、ウソをついている時に現れる【なだめ行動】がない。殺害への関与を否定する言葉にもウソはなかった。やはり福永は犯人ではないのか!?

福永は武井を殺していない。武井殺しの計画にも関わっていない。
しかし、凶器を捨てた場所を知っていた。
そして、殺害に対する明確な動機はないが、なぜか被害者の保険料を肩代わりしていた。

この不可解な謎を解く鍵は、【パーソナルスペース】。職業柄、歯科医が「密接距離」に侵入を許す相手にヒントがあった!?

複雑な思いが絡み合う事件の真相は、期間限定で配信中の「ネットもテレ東」で!

今週の西野の心の声

はちゃめちゃな取り調べをする絵麻に振り回される西野の顔芸&心の声も見どころのひとつ。今週イチオシのツッコミはこちら!

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取調べ室で福永とイチャつく絵麻に、「キャバクラ~~~~!」(「どんだけ~!」みたいに)

霊能者VS行動心理学!

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次回5月15日(金)放送の第3話「私は何でも知っている」は、予言殺人の真相に迫る。被疑者は霊能者・手嶋奈緒美(堀内敬子)。手嶋をインチキと主張し対立する被害者の会の代表が、謎の死を遂げる。その直前に手嶋は「死の予言」をしていたのだ。物的証拠はなく、手嶋にはアリバイもある。お互い心を読み取る技を駆使する、霊能者VS行動心理捜査官、女同士の火花散る心理戦をお楽しみに。

※2018年10月16日に公開した記事の再掲です。

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