投資家集団Zeppyが語る「コロナショック」を受けた投資家たちのいま

公開: 更新: テレ東プラス

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の期限が、5月31日(日)まで延長されることが決定。コロナショックが世界の金融市場を襲い、先が見えない外出自粛が続く中、投資家たちはどうしているのか...。

investor_20200508_01.jpg※写真左から、井村俊哉氏、KEN氏

そこで「テレ東プラス」では、投資や経済に特化した日本初のYouTuberプロダクション「Zeppy」代表取締役社長CEO・井村俊哉氏(※前回の記事はコチラから)と、「Zeppy投資ちゃんねる」メンバーのKEN氏にリモート取材。コロナ禍に翻弄されるマーケットの状況を分かりやすく解説してもらった。

誰もが予想しなかった事態にマーケットは大混乱

――コロナ禍の影響で現在の経済はどのようになっていますか?

井村「誰も経験したことがない未曾有の事態で、マーケット自体もどう動いたらいいか分からず、混乱が出ているというのが現状です。そのひとつが、史上初となる原油価格のマイナス。"原油を買うとお金がもらえる"というありえない事態は、YouTubeでも大きな話題になりました。そのような、これまで想像もしなかった未だかつてない現象が各所で起きています」

KEN「人々は外出を自粛していますが、市場は常に動いています。日々状況が変わる中、投資家もどう動いたらいいか不安になっている人も多くいます」

――誰もが予想できない状況という感じでしょうか?

KEN「通常のリスクオフ(安全資産に資金を移すこと)のときに買われるものが逆に売られたりと、異常事態になっています。金は少し前に大暴落しましたが、今は逆に高値を取ってきています。政府や中央銀行がこの事態に対応しようと金融緩和を行い、リーマンショックのときよりも激しくお金を投入している。では"そのあふれかえったお金がどこに行くのだろう?"と考えたとき、矛先のひとつとして金が選ばれているという状況があります」

井村「リート(不動産投資信託)が数日で半額なんてこともありましたね。不動産って基本価格変動は小さいので、本来はあり得ない話です。そんなことがたくさんありますね」

日本株にそこまで悪いイメージはない

――激動の1カ月という感じですね。今後日本の市場はどうなると思われますか?

井村「もうぐちゃぐちゃですよ(笑)。今までの金融危機はどこか人ごとだった方も多いと思いますが、今回は街から人が消え、一般の人たちの生活も大きく変えてしまいました。経済にダイレクトにショックを与えているので、マーケットも驚いていますね。日本を含め世界がどうなっていくか分からない状況です。ちなみに個人的な感触で言うと、日本株はちょっと強めな印象です。欧米各国の方が被害が甚大。日銀が大量の株を買っているというのも大きな要因です。買い手がいない中でも日銀が買い支えて"鉄壁の守り"を作っている。そのあたりを加味して日本株は少し有利なイメージがあります」

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KEN「為替の変動がそこまでないというのも大きいですよね。リーマンショックのときはドル円が80円までいってしまい、輸出が多い企業は大打撃でしたが、今回はまったく円高の方向に振れていないんですよ。そのあたりを見ても日本のマーケットはそこまで悲惨ではないのかもと思います」

――井村さんは株主優待を上手に利用して生活していましたが、その生活は変わりましたか?

井村「激変ですね(笑)。株主優待とは、一定数以上の自社株を持っている株主に配るいわば"投資先からの贈り物"なんですが、飲食店や小売店の場合、期限つきのお食事券やお買い物券を配っているところが多いんですよ。ただ、今のような事態に陥ると、自由に買い物すら行けない。使う機会が本当にない状況です。

そのため優待券を失効してしまう......なんてことが予想されましたが、多くの企業が優待券の期限の延長を行っています。『マクドナルド』は当初は3月末に切れるはずでしたが、9月末まで延長。『すかいらーく』も3月が5月になるなど、株主としては本当にありがたいです。株主優待を持っている方は、ホームページなどで確認すると、嬉しい情報が載っているかも知れません」

――改めて、企業の姿勢などをチェックできるいい機会なのかもしれませんね。

井村「そうですね。でも、企業側もどうしたらいいか分からないというのが本音だと思うので、ここは少し温かい目で見守っていく必要があるかと思います。例年だと決算発表が本格化してくる時期ですが、大抵の会社は決算を延期し、見通しを非開示にする企業も多い状態です。どういう方法で投資家とコミュニケーションを取っていくのか...対応の仕方を模索しているところだと思いますね」

儲けを考えるのではなく企業の魅力を評価する

――投資家として、今だからこそできることはあるのでしょうか。

KEN「実は今、空前の口座開設ブームになっていて証券界隈が色めき立っています。株が下がったと聞いて"今こそ!"と考える人、在宅の時間を利用した"なんちゃってトレーダー"も増えていますよね(笑)。マーケットが死んだという感じではないんですよ」

――初心者にとっては入りやすい状況なのでしょうか。

KEN「いえ、かなり難易度は高いと思います。投資をそこそこ勉強してきたという方にとっては銘柄分析のし甲斐がある相場だと思いますが、何も知らない人が闇雲に入るにはかなり波がある状況です」

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井村「未来が予見不能な状態になっているので、これまでの経験則が通用しなくなっています。そこを楽しむことができる人にとっては面白い相場だと思います。」

――投資家として、この状況をどう乗り切るのが最適だと思いますか?

井村「投資家の胆力を企業に見せてあげる時期かなと思っています。ここ最近、長期投資という言葉がもてはやされていましたが、ここにきてこの騒ぎ。長期投資していた人々が報われないかもしれないという事実を突きつけられています。日経平均株価は年初に2万4000円をつけていたのが、一気に1万7000円を割ってきてアベノミクス初期の頃まで落ちてしまった......。ここで手放す人は多いですが、ぜひ一度、企業の立場に立っていただきたいです。

損をしてしまった投資家も多いと思いますが、企業も事業戦略を大きく見直し、テレワークの導入などでこの未曾有の事態に必死に対応しようしています。こんな時だからこそ、投資家としては胆力を持って企業を応援したい。応援したくなる企業を見つけることが大事だと思います」

KEN「そういう企業を見つけるチャンスでもありますよね。どのような動きをしていて、これまでの実績はどうなのか、今ある数字だけに左右されず、その企業の思いも読み解いていけば応援したくなる企業は見つかると思います」

井村「心の底から応援したいと思える会社を探してみましょう。自分の"推し企業"が世の中にどんどん認められていけば、結果として利益はついてくると思います。今はそういう目を養ういいチャンスです。お金をガツンと増やそうと欲をかくのではなく、スポンサーになる感覚で投資を始めてみてください」

コロナ禍で翻弄されているマーケット。企業の将来に目を向けて楽しみながら投資すれば、やがては利益につながるかもしれない。5月11日(月)朝6時に公開される後編では、初心者ならではの銘柄の選び方や今注目を集めている銘柄を具体的にレクチャーしてもらう。どうぞお楽しみに!

(取材・文/玉置晴子)

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【井村俊哉 プロフィール】

1984年生まれ。中小企業診断士。プロダクション人力舎でお笑い芸人として活動し「キングオブコント 2011」で準決勝進出を果たす。貧乏生活をしながら株式投資を本格始動させ、「本業の1000倍稼ぐ株芸人」として注目を浴びる。2017年に運用資産1億円、2020年に3億円突破。日経CNBCコメンテーター、著書『年収3万円のお笑い芸人でも1億円つくれた(日経BP社)』を上梓しAmazonベストセラー1位獲得(「一般・投資」「節約」カテゴリー)。

2019年6月、『すべての人に投資の喜びを』をミッションに、国内初の投資に特化したYouTuberプロダクション『Zeppy』を設立。投資の一般化・大衆化を目指し活動する。自社公式チャンネル『Zeppy投資ちゃんねる』は、株式投資では国内トップクラスの規模に成長。2019年10月にテレビ東京COMと資本業務提携を締結し、上場企業のトップをゲストに迎えたIR(投資家向け)動画の制作事業を推進する。2020年5月、プロダクションZeppyの総チャンネル登録者数は50万人を突破し、大手企業とのタイアップ動画の制作本数は40本を超えるなど着実に実績を積む。

株式会社Zeppy:https://zeppy.jp/


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YouTube:Zeppy投資ちゃんねる

Twitter:@imuvill

Facebook:imura.investor

【KEN プロフィール】

今年3月に大学を卒業。学生時代は現役大学生トレーダーとして活躍し、投資コンテストで優勝。国際フォーラムのIRイベントで登壇、新聞で連載など若くして活躍する成長株。「夕刊フジ」「日経ヴェリタス」「日経CNBC」「ラジオNIKKEI」など、多数出演。

YouTube:「Zeppy投資ちゃんねる」

公式Twitter

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