“レンタルさん”こと森本祥司が語る今後「この先続けていくのかもわからない。終わってしまうかもしれない......」

公開: 更新: テレ東プラス

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「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。」
「ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます。」

"レンタルなんもしない人"という不思議なサービスを始めた森山将太(増田貴久)の目を通して、現代社会の様々な人間模様を浮き彫りにする、ドラマホリック!「レンタルなんもしない人」(毎週水曜深夜0時12分 ※5月6日は深夜0時42分放送)。「会社に出社するのが怖いから付いてきてほしい」「誕生日を一緒に祝って欲しい」など、その依頼は多種多様。"なんもしない人"の"なんもしないサービス"を通して、不思議なヒューマンドラマが描かれます。

今回、本物の"レンタルなんもしない人"こと、森本祥司さんが「テレ東プラス」に登場。後編では、さらにツッこんだ質問で、森本さんにグイグイ迫ります。※前編はコチラ

つまらないままダラダラと続けるより、きっぱりと終わったほうがいいのかもしれない

──今まで経験した依頼の中で、印象に残っているものはありますか?

「うーん、僕自身は依頼に優劣をつけることはしませんし、"これはすごかった"とピックアップすることもしません。受けた依頼は全部面白い!と思っています」

──興味があることしか依頼は受けないのでしょうか。レンタルさんが依頼を選ぶ基準はどういった点にありますか。

「中には断るものもありますが、基本的には何でも引き受けています。依頼内容に特に基準があるわけではなく、興味の有無もないです。知名度と比例してどんどんすごい依頼を引き受けるようになるわけではありません。何かの行列に並ぶだけなど、下積み感がある依頼はもちろんありますし、でも逆に、今の僕は、それを受けることが新鮮味があって面白いというか......。僕自身が"なんかしてる"と思わない限り、わりとどんな依頼でも受けています」

──レンタルさんのお仕事は、長時間誰かと一緒にいることを苦痛と感じる人には務まりませんよね。最初から、そういったことに抵抗はなかったのでしょうか。

「コミュニケーションが苦手なので、人と一緒にいることに抵抗がないとは言えないかも。よほど気が合う相手は別として、何人かで遊びに行くととにかく疲れるタイプでした。なので"人が好き"とは言いづらいです。でもそれは関わり方の問題であって、一緒に何かすることは向いていなくても、レンタルなんもしない人の活動のように一緒にいるだけで僕は何もしなくていいことが許されている状況限定で、ただ一緒にいるのは楽しいです」

──同じ行動でも、関わり方によっては変化するということですね。

「会社員時代も、皆で一緒に何かをしないといけない"という立場にいた時は、人が嫌いでした。社内にパワハラめいたことをする怖い上司がいたんですけど、離れてみると、そういう文化や上司ですら可愛く思えてくる。動物園の動物みたいな。例えるなら、檻の中で一緒にいた時はライオンが嫌いだったけど、檻の外から見たら好きになった、という感じに似ているかも。人との関わり方や距離感によって、気持ちに変化が出てくるんだろうなと思います」

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──最近はコミュニケーションをとるのが苦手な人が増えているような気がします。そういう人たちに向けて、何かアドバイスはありますか?

「僕からは何も言えないですね。アドバイスはなるべくしたくない。過去の僕に"(レンタルさんの)活動をしたほうがいいよ"というアドバイスもしたくない。サラリーマンが向いていなかったことも、実際にサラリーマンを経験してみないとわからない......。自分でやってみてから"これはダメだな"という実感を持たないと。なのでどういう場面でも、"こっちがいい、こうするべき"と決めつけないほうがいいのかなと思っています。経験の中で成功や失敗という区別をしなくても、"これをやったらダメだった"という結果を残すことが大事で、それを繰り返すうちに何かをつかんでいったらいいんじゃないかな。僕の場合は、消去法の末にこの活動へ至りました」

──テレビ出演、書籍化、ドラマ化と様々なオファーが広がっていますが、森本さんが密かに抱いている野望はあるのでしょうか。

「うーん、何もないですね。何も決めたくないというのが本音かも。この先続けていくのかもわかりませんし、終わってしまうかもしれないし......」

──流れに身を任せるというか、その時に来た波に乗っていく感じでしょうか。

「いつ流れが終わるかわからないですからね。たまに"あの時終わっておけばよかったな"っていう作品があるじゃないですか。つまらないままダラダラと続けていくより、きっぱりと終わったほうがいいのかもしれない。その決断も、僕自身が決めるより、周辺の声や様々な外的要因によって決めたほうが面白いと思っています、おっしゃる通り、身を任せたい気持ちですね」

──森本さん、ありがとうございました! 「本物のレンタルなんもしない人って、どんな人なんだろう」ということで、思わず根掘り葉掘り聞いてしまいましたが、とても誠実に答えていただきました。そして、想像よりもずっとキラキラした人物であることが判明(写真撮影時の笑顔、最高でした!)。今後もレンタルさんの動向に注目したいと思います。

(取材・文/水野春奈)

今週も"なんもしない""なんも起きない"けど、思わず心があったまる......そんな依頼が舞い込むはず。そしていよいよ明日深夜0時42分放送! ドラマホリック!「レンタルなんもしない人」(毎週水曜深夜0時12分)気になる第5話は...。

「レンタルなんもしない人」というサービスを始めた森山将太(増田貴久)。依頼が早めに終わり自宅に戻ると、家に妻・沙紀(比嘉愛未)の両親が来ていた。沙紀は将太が会社を辞めたこともレンタル業を始めたことも話していなかった。心配させたくないから黙っていようという沙紀。何とか必死に話を合わせる将太だったが、複雑な思いは消えず...。ついに仕事を辞め"なんもしない"ことにしたと告げる。それを聞いた義父は激怒して...。

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