<コロナに思う>「インバウンドが戻るのは最後」星野リゾート・星野代表は”マイクロツーリズム”を提案

公開: 更新: テレ東プラス

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新型コロナウイルスの感染拡大、外出自粛による経済へのダメージ...。未曾有の事態に日本国内だけでなく世界中が不安に包まれる中、『ワールドビジネスサテライト』では、現在「コロナに思う」と題し、各界の著名人によるリレーメッセージをお伝えしています。

今回は苦境の観光業界から星野リゾート代表の星野佳路さんのメッセージです。コロナ収束後も需要が戻るまでには1年以上かかると考える星野さんは、これまでのように大都市圏、インバウンドをターゲットにするのではなく、宿泊施設周辺に住む人たちに向けた「マイクロツーリズム」に着目することが日本の観光業にとって重要になると話します。


今、観光にはいろいろな面で逆風が吹いていて、私たちはその真っただ中にいます。日本の観光がこれからどうやって生き延びていけばいいのか。私たちの企業も含めて、必死の努力を続けています。

1年〜1年半をかけて需要が戻ってくるかもしれませんが、その需要のあり方は大きく変わっているかもしれません。(ウイルスの拡大が)収束に近づくにつれて、ある日突然に需要が戻るわけではなくて、だんだんと戻ってくると私は想定しています。ここ10年話題となり成長してきたインバウンドの戻りは、おそらく最後の最後になるというのが私の感触です。

そこで提案なんですけども、私は「マイクロツーリズム」を実践したいと思っています。地元や地域を観光していこうというものです。自分の家から10分、15分、30分、1時間の範囲を観光してみる。観光事業者も収束後の需要が戻ってくるときに、まずそこを狙ってみてはどうかという提案です。

メリットはいくつかありまして、1つ目は今までも「マイクロツーリズム」のお客様はそこそこいらっしゃったので需要がしっかりある。2つ目は県をまたいで長距離の旅行をするわけではないので、(ウイルスの)拡散につながらない。3つ目は私たちの観光人材の雇用を維持できる。最後に4つ目は、今まで私たちは首都圏や大阪圏、そしてインバウンド...中国、ヨーロッパ、アメリカと遠いところをターゲットにしてきたのですけれど、この機会に地元の方々にもう一度地域の魅力を再発見していただくことがすごく大事だと思います。

地域の魅力を知ってもらわなければ、実は観光は強くならない。新型コロナウイルスで大変なダメージを受けているが、転んでもただでは起きない。日本の観光が復活するときには、地域の人たちがその地域の魅力を知っていることは、世界に日本の観光の強さをアピールできる大きな力になると思っています。

新型コロナウイルスの前よりもパワフルな観光にしていきたい。そういう風に努力していきたいと思っています。


「コロナを思う」は、テレビ東京ビジネスオンデマンドで現在配信中です。

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