祝「アド街」25周年! 取材は2カ月以上「ひとつの街で靴1足を履き潰します...」番組スタッフに聞く取材の極意

公開: 更新: テレ東プラス

1995年の春にスタート! 街を徹底的に紹介する都市型エンターテインメント「出没!アド街ック天国」が、4月4日(土)よる9時の放送で25周年を迎え、番組がこれまでに撮影してきた25年分の秘蔵映像を一挙大公開する。

そこで「テレ東プラス」は、番組の演出を務める堀江昭子氏にインタビュー。長寿番組の秘訣や、番組作りの秘話、25周年記念スペシャルの見どころまで語ってもらった!

adomachi_20200404_01.jpg
──「出没!アド街ック天国」が25周年を迎えるということで、おめでとうございます! 長寿番組となりましたが、番組が視聴者の皆さんに愛され続ける秘訣は何だと思われますか?

「細々とやってきた...と言いますか(笑)。あまり"今のテレビはこうだから"とか、流行りに乗らず、派手な作りをせず、地道に自分たちの身の丈に合った作り方をしてきました。作りを派手にすると、どうしても飽きられてしまったり、摩耗してしまったりするのかなと。

そして何より番組をここまで続けてこられたのは、"街の人たちが支え"があってこそ。出演者の皆さんを始め、今まで関わった数百人のスタッフの力はもちろんですが、何より街の人たちが『アド街』を温かく迎え入れてくださり、皆さん優しく接してくださる。取材先であってもなくても、本当にいろんなことを教えてくださるんですね。青果店のご主人が地元野菜の魅力を、フレンチのシェフがこだわりのソースについて語ってくれたり、お蕎麦屋さんに行けば『二八蕎麦っていうのはね...』と様々な情報や知識、街の歴史を教えてくださる。ですからここまで続けてこられたのは、街の人が協力してくださったからこそ! という想いが強くあります」

──街の方々と一緒に番組を作っていくという感じなんですね。

「そうですね。例えば、ある日は街のリサーチで、スタッフが地元の飲み屋さんに伺います。そこで、お店の常連さんに『この街はどうですか?』『いいお店はありますか?』『最近、街で面白かったことはありますか?』と聞いたりして情報を集めます。私たちが『アド街』のスタッフだとわかると、皆さんいろんなことを教えてくださるので、本当にありがたいですね」

──スタッフが、足と時間を使って地道にリサーチされているんですね。

「ひとつの街を数人が担当しますが、だいたい2ヵ月くらいかけて下調べから撮影をしています。同時進行でいろんな班が各街に散らばってリサーチを行いますが、ディレクターは、ひとつの街で靴1足を履きつぶすくらい、まるで刑事のように歩き回ります(笑)。居酒屋だけじゃなく、いろんな場所を隈なく歩き回るので。今はネット社会なので情報では勝てなかったり、苦労することはありますが、だからこそ負けないように歩き回らなければいけない時代になったのかなと。ネットでは、その場所の本当の雰囲気やそこにどんな人がいるのかまではわかりませんから。スタッフたちも楽しみながらリサーチしているので、その楽しさが街の魅力として伝われば嬉しいですね」

──長年番組作りをしている中で、ご苦労もありましたか?

「やはり中には"取材拒否"というスポットもあります。でも、"この街を紹介するのに、ここが入ってないとおかしいだろう..."という場所ってありますよね。そういう場合、口説き落とすためにスタッフが何度も何度も通いますが、力及ばず絶対に落ちないところはやっぱりある。視聴者の方や街の皆さんは、"なんであそこが入ってないんだろう?"と感じるでしょうし、そういう残念な思いをする時はありますね。でも逆に、『他の番組なら絶対に出ないけど、アド街だけは出る』と言ってくださるお店もあって、それはとても嬉しいことですね」

──テーマになる街も幅広いですが、チョイスはどのようにされているのでしょう。

「一概には言えませんが、"明日行ってみたい!"という思いで観る方が多いようなので、その時期のニーズに合わせて選ぶことが多いですね。時代感や季節感、トピックスがある街など。例えば、ゴールデンウィークだからここ、夏だから海方面、暑いから山の奥、逆にデパートで涼むっていうのもありだよねと、あえて新宿をチョイスしたり...。世の中の流れは刻々と変化するのでそれを把握しておかなければならないですし、とても難しいです」

──堀江さんの中で、印象に残っているエピソードはありますか?

「『四万温泉』がテーマの時、戦時中、四万温泉に疎開していらしたということで、俳優の児玉清さんがゲストで出演してくださったんです。その時、VTRをご覧になって、疎開中に優しくされたこと、辛かったり寂しかったりしたことが思い出された様子で、涙ぐんでいらっしゃって...。そんな大変な時代を生き抜いた街をも愛した児玉さんの姿が今も忘れられません。

そして番組をやっていて一番嬉しくなるのは、やっぱり街の人から"面白かったよ!"と言われたり、喜んでくださるのを目の当たりにした瞬間。『放送の翌日、お客さんがたくさん来てくれて大変だったよ~』と電話やお手紙をくださったり...。番組作りの醍醐味を感じます」

adomachi_20200404_02.jpg
──初代MCの愛川欽也さんから井ノ原快彦さんがバトンを受け継ぎ、早いもので5年になります。井ノ原さんのMCはいかがですか?

「井ノ原さんはとにかく人柄が温かいんですよね。イメージ通りそのままの方で、人に対して優しいし、裏表なく気取りもない。庶民的で人が大好きな方なので、VTRに出てくる人々に対して優しいですし、必ずいい言葉でフォローしてくださる。誰も傷つかない、みんなのことを愛している感じがすごいなと思います。愛川さんもそうでしたが、番組の若いスタッフに対しても優しさであふれている。そのあたりは、井ノ原さんも愛川さんと同じ気持ちでいてくださるのかなと感じます」

──そんな素晴らしいチームワーク、空気感で長年愛されてきた「アド街」の25周年スぺシャル。どんな内容になりそうですか?

「『番組の思い出いろいろ見せます!』という感じです。25年前と街の風景がまったく違うところがいっぱいあって、"あんなに大人気だったスポットが今は..."など、『アド街』でしか出せない秘蔵映像がたくさん登場します。

"VTRにたまたま映っていた少年が大スターになっていた!"、"思いがけない所で出会った
絶品めし"というコーナーもあります。スタッフが、25年分の放送分をすべて見直して作り上げた"25年の凝縮版"なので、皆さんぜひ、楽しみにしていてください!」

(取材・文/横田裕美子)

そして、いよいよ明日よる9時放送! 「出没!アド街ック天国~アド街の25年SPECIAL~」は...。

1995年の春、愛川欽也さんが「おまっとさんでした!」といってスタートした当番組。4月4日(土)の放送で1250回を迎え、おかげ様で25周年!

振り返れば、日本全国、様々な街に出没してきました。今となっては撮影できない貴重で懐かしいシーンも数多! そこで今回は、これまでに撮影してきた25年分の秘蔵映像を一挙大公開! 拡大版でお届けします。

街の大きな魅力のひとつ、美しい風景。下町の路地裏から大自然の絶景まで、心を揺さぶる美しい風景の数々を紹介します。各地の温泉では麗しい入浴シーンにも挑戦。奇跡的に撮影できたマル秘入浴シーンをご堪能ください。
多くの人との出会いも番組の宝です。とある街で出会った少年少女の中には、後の大スターも! 若かりし頃のスター達の素顔に迫ります!

そして、街に人を呼ぶ最大の引力といえば、やはり美味しいもの。これまで紹介してきた飲食店は1万軒以上。その中から思いがけない所で出会った絶品飯の数々を紹介します。

【出演者】
司会:井ノ原快彦、須黒清華(テレビ東京アナウンサー)
レギュラー:峰竜太薬丸裕英山田五郎
ゲスト:夏木マリテリー伊藤ケンドーコバヤシ生駒里奈

どうぞお楽しみに!

PICK UP