ゴッドタンも? テレ東のブロマンス番組を解説してもらった

公開: 更新: テレ東プラス

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洋ドラ・洋画好きにはお馴染みだという『ブロマンス』。
「男同士のアツい友情」を意味するこの言葉が今話題なんだとか。
ブロマンス愛好家で、ブロマンスをテーマに雑誌に寄稿することもあるというライターの小西麗さんにテレ東のブロマンス番組について語ってもらった!

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──2020年1月期のテレ東ドラマでブロマンスな番組はありましたか?

小西麗(以下、小西):今季もテレ東はブロマンス作品が豊作でした......‬。
高校の同級生の二人が替え玉受験を目論む『僕はどこから』は、真面目で控えめな薫(中島裕翔)と面倒見のいいエリートヤクザ智美(間宮祥太朗)という組み合わせで、まさに王道バディ。アツく、二人の絆が試されるようなヒリヒリする展開が多かったです。

正反対の二人が支え合う姿はやっぱりブロマンス度が高いですね。『アンナチュラル』の野木明子さんオリジナル脚本で話題になった『コタキ兄弟の四苦八苦』も、まったく違う性質の二人が主人公でした。生真面目でしっかり者だけど間の悪い兄(古舘寛治)が、だらしなくて奔放な弟(滝藤賢一)に振り回される姿は微笑ましく、穏やかな日常系ブロマンス作品になっていました。

よく「仲良しの男性たちを眺めるのが好き」と言うと、「腐女子なの?」とか、「BLってこと?」って言われたりするんですが、それとこれとは違うんです。男性が、女性アイドルグループで女の子たちがじゃれあっている姿を愛でるのと似た感情で、私たちブロマンス好きは男性たちを眺めている、というと分かってもらえるでしょうか......‬。‬‬‬‬

──なるほど。そういう視点で楽しんでいるんですね。

bromance_20200327_02.jpg小西さんが作成したブロマンス作品の分布図。『セトウツミ』のイラストが。『Maybe! Vol,6』学生時代特集より

小西:放送終了作品だと、『セトウツミ』は個人的に殿堂入りブロマンス作品です。アホの瀬戸(葉山奨之)と秀才の内海(高杉真宙)という男子高校生二人がだらだらと河川敷でだべるだけ......‬という毎日が描かれていて。放課後そこに集まる以外で接点のない二人が延々とくだらない話をするというシチュエーションも青春濃度が高すぎます。仲がいいとは認めたがらず、「たまたま利害関係が一致しただけや」と強がると内海にキュンとしました。瀬戸と内海、それぞれに片思いする女の子も登場するのですが、二人の絆には勝てず。平熱だけど固い結束が最高にブロい作品です。

ブロマンスを感じさせてくれるのは、若いイケメンたちだけじゃないことを証明してくれたのが、『バイプレイヤーズ』でしたね。主演は遠藤憲一さん、大杉漣さん、田口トモロヲさん、寺島進さん、松重豊さん、光石研さん。6人の名脇役のおじさん俳優たちがシェアハウスする、ドキュメンタリー調のコメディドラマですが、ブロマンス好きの自覚がなくても胸の高鳴りを感じた方がたくさんいたんじゃないでしょうか? そのドキドキの源はブロマンスですからね。ひとりひとりは渋くてかっこいいのに、集まるとなぜかとても可愛く見えてきてしまうのがブロマンスの恐ろしいところなんです。

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光石研さんといえば、主演の『渋井直人の休日』。渋井直人(光石研)とアシスタント(岡山天音)の関係がすごくよかったです。うとましく思う日もあるけど、なんだかんだ互いを思いあってリスペクトがある子弟関係は微笑ましい!

ブロマンスは、ホモソーシャル特有の排他的な空気が醸す内輪感が重要なエッセンスだと思うのですが、サウナ好きの3人が主人公の『サ道』女人禁制のサウナが舞台のドラマ。独特の男世界が覗けて貴重でした。

あと、『テレビ演劇 サクセス荘』は、2.5次元俳優と呼ばれる舞台俳優が一発取りに挑戦するドラマということで、ライブ感や俳優さんそれぞれのリアルなキャラクターが滲むところが面白かったです。お互いフォローしあう姿はファンにはたまらないし、テレビで初めてみた人にとっても応援したくなってしまう良いブロマンスコンテンツでした。

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──テレ東だけでもそんなにブロマンスなドラマがあるんですね。

小西:海外ドラマ枠でも、韓国ドラマの『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』、米ドラマの『SUITS/スーツ』など、名作ブロマンス作品を放映してくれるので、ブロマンス好きとしてはテレ東様様という気持ちです(笑)。

ブロマンスは物語のジャンル分けに便利なのですが、日常にもたくさん転がっています。例えば、芸人さんたち。バラエティー番組『ゴッドタン』こそ、まさにブロマンスの宝庫なんです。

──どういうことですか‪......‬?

小西:『ゴッドタン』はザ・深夜バラエティーの男子校ノリが健在じゃないですか。観覧にお客さんも入っていないので、悪ふざけが加速していくわちゃわちゃした絡みはブロいです。定例企画の「コンビ愛確かめ選手権」は、酸いも甘いも共にした相方同士ならではのエピソードがたくさん飛び出してきてブロマンス好きにはたまりません。

これまでは、音楽アーティストやお笑い芸人について楽曲やネタ以外のところに言及すると、「純粋にコンテンツを楽しんでいない」というような批判をされることが特に女性は多かったと思うんです。でも、何かを好きでいる時にそれに携わる人たちを関係性含め、丸ごと好きになれたら、もっと応援したくなって購買意欲も湧くし、楽しみ方の幅が広がる。経済も回ってコンテンツの満足度も上がる、なんて良いこと尽くめじゃないですか?

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ブロマンスについてアツく語ってくれた小西さん。
これを機会にブロマンス的視点を持つと、ドラマや映画、バラエティー番組をもっと楽しめるかもしれません。

Profile

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小西麗(こにし・うらら)
1993年生まれ。日本女子大学英文学科卒業。ライター/編集者。ライフスタイル、エンタメ、カルチャーを中心に取材、インタビューの企画・執筆を行う。趣味が高じて、「Bromance」愛好家としてコラムの寄稿や作品紹介がライフワークに。推しのテレ東ブロマンス番組は『ゴッドタン』、『バイプレイヤーズ』。
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