チャップリンは「五・一五事件」で暗殺されるはずだった!? 喜劇王を救い、総資産272億円の遺産相続人になった日本人の正体は...:ナゼそこ

公開: 更新: テレ東プラス

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

チャップリンの遺産相続人になった日本人

今回取り上げるのは、喜劇王チャールズ・チャップリンの遺産相続人となった日本人。生涯で80本の映画に出演し、アメリカの大スターとなったチャップリンの総資産は、現在の日本円に換算すると約272億円! この莫大な遺産を、なぜ日本人が相続することになったのか? その裏には、知られざる絆の物語があった。

チャップリンは遺産を6人に分けるという遺言を残しており、その一人が日本人。なんと自分の映画に出演させるほどのお気に入りだったという。

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その人物は、高野虎市。映画撮影において完璧主義者だったチャップリンについていけず、辞めてしまうスタッフが続出する中、高野だけは無理難題をこなしていた。

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チャップリンは、高野について「私の全てだ」という言葉を残している。大スターにそこまで言わしめる高野とは、いったいどんな人物だったのか?

運転手から身の回りの世話までこなす

二人の出会いは大正5年、アメリカ・ロサンゼルス。運転手を探していたチャップリンのもとにやって来たのが、当時31歳の高野虎市だ。その頃の日本は貧しく、高野は15歳で渡米し大企業の重役の運転手として働いていたが、雇用主が亡くなり求職中だった。そんな高野をチャップリンは即採用。人を見る目があったというチャップリンは、少ない会話の中で人柄を見抜いたのだ。

運転手ではあるが、チャップリンの身の回りのことはなんでもこなしたという高野。映画の撮影中、真冬なのにカタツムリを使いたいと言えば、ひと晩中かけてでも冬眠中のカタツムリを探し出す。また別の映画で、急死した犬と同じ柄と背格好の犬を探せと命じられれば、似た背格好の犬を見つけてきてドーランで同じ柄を再現するという機転を利かせた。

臨機応変に対応する高野はチャップリンに気に入られ、誰よりも信頼される存在に。そんな高野が莫大な遺産の相続人になった裏には、ある事件の存在があった。

チャップリンを暗殺から守れ!

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ある日、高野の故郷が見たいというチャップリンは日本へ行くことに。ひと足先に帰国した高野は、親交のあった軍関係者から、一部勢力が企てるチャップリン暗殺計画の情報を得る。

しかし、一度決めたことは絶対に曲げないチャップリンは、おそらく来日を中止することはない。そこで高野は暗殺計画のことは知らせず、チャップリンの命を絶対に守ると決意する。

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昭和7年5月14日、チャップリンは神戸港に到着。東京へ移動し帝国ホテルに向かう道中、怪しい車がついて来る。すると高野は急きょ行き先を変更。車から降りて一礼するよう頼むと、何かを感じたチャップリンは高野に従った。このとき一礼した先は皇居。親日アピールをすることで、軍部の気持ちをほぐそうとしたのだ。高野の機転でピンチを切り抜けたものの、このあと最大の危機が訪れる。

同年5月15日、この日は首相官邸で歓迎会が予定されていた。青年将校たちは暗殺を実行すべく官邸を襲撃するが、チャップリンの姿はなく、犬養毅首相だけが殺害された。世に言う「五・一五事件」である。

しかし、なぜチャップリンはこの場にいなかったのか? 実はホテルを出発する直前、心配のあまり落ち着きのない高野の様子を見たチャップリンは、自分に何かを隠していると感じて歓迎会をキャンセル。結果的にチャップリンの命が救われたのだ。

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こうして無事に帰国したチャップリンは数々の名作を生み出し、昭和53年に88歳で死去。チャップリンに信頼されていた高野は大豪邸をプレゼントされ、さらに深い絆の証として遺産相続人となったのである。

世界の喜劇王チャップリンを支え続け、親友のように心から信頼された、一人の日本人がいた。

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明日3月16日(月)夜8時放送「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」では、【ナゼそこ秘境食堂】と題し、船でしか行けない秘境にある日本食の名店や、新企画【秘境数珠つなぎ】他を放送。

船でしか行けない秘境なのに世界中から客が集まる、元漁師が営む佐賀の名店を発見! 店内は2階の小さなひと部屋のみ。実はこの店、完全予約制のうえ1日2組限定で、現在、来年の2月まで予約が入っているそう。しかしオープン当初、客は親戚ばかり。経済的に苦しいなか3年目に状況を大逆転させる出会いがあったという。そこには歴史上の人物にまつわる驚きの理由が...。

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