バストアップは筋トレしても効果なし! 胸の左右差をなくす方法:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、症状や病態に応じた専門的な治療法から生活の中での身近な健康法まで、皆さんが感じているさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちがやさしく答える、知的エンターテイメントバラエティです。

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたお悩みは、多くの女性に共感してもらえそうなバストの左右差について。同番組のレギュラー・南雲吉則医師にさっそく相談してみましょう!

自助努力で胸の大きさは変えられない

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Q:20代女性です。左右の胸の大きさが、ブラジャーでいうとワンサイズ近く違うので困っています。利き腕の左はDカップなのですが、それに合わせると右はCカップくらいなので浮いてしまいます。左右対称に近づける方法があれば知りたいです。

── 先生、胸の大きさは自助努力でなんとかできるものなのですか。

「自助努力では大きさを変えることはできないですね。加えて、胸の大きさはたいていの場合、左の胸のほうが大きいのです。これは左側に心臓があるから。

"漏斗胸(ろうときょう、あるいはロート胸)" といって胸の骨がへこみ、仰向けになると漏斗(じょうご)のように水がたまるような胸郭の変形を伴う病気があるのですが、やはり同じ理由で右胸のほうが陥凹(かんおう)することが多くなります。

また、胸が左右非対称になる病気として、生まれつき片側の乳腺の発達が悪い "ポーランド症候群" があります。この病気では胸の筋肉の発達も悪く、乳房の発育は左右で著しく異なります。

こうした病気を除いて、ほとんどの左右差は正常範囲内です。たまに右のほうが大きいという人がいますが、勘違いであることが多いですね。患者さんに『左のほうが大きいですね』というと『なんでわかるのですか?』とよく驚かれるのですが、女性のほぼ9割以上は左が大きいと思ってください」

豊胸術が有効だが、病院選びは慎重に

doctor_2020311_02.jpg画像素材:PIXTA

── 胸の大きさの左右差をなくすには何か方法はあるのでしょうか。

「治そうとするならば、豊胸術しかありません。両方の胸にシリコンバッグ(インプラント)を入れるのがいちばん希望どおりの大きさを実現しやすいのですが、シリコンを入れたくないという人や、片側だけ差をなくしたいという人には、ヒアルロン酸注射で左右のバランスを合わせます。

自身の脂肪を吸引してバストに入れる方法もありますが、あまり推奨はできません。脂肪のほとんどは体に吸収されてしまい、逆に吸収されないと石灰化してしこりとなって残り、乳がん検診が難しくなったりするケースがあるためです。

体のことを考えるなら、やはり手術による侵襲(体を傷つけることによる身体的な負担やダメージ)がないヒアルロン酸注射がお勧めですね。昔はすぐに吸収されて何回も注入しなければならないこともありましたが、今は体に吸収されにくいヒアルロン酸が出てきており、1回注入すればだいたい10〜15年は効果が持続します。

ただし、こうした豊胸術には医療機関によってうまい下手があります。当院では注入時は超音波モニターを見ながら行うのですが、そういう専門の技術があるところを探して行くことが大切です。さらに、術後の乳がん検診がしっかり受けられるという点も重要。異物を体に入れて乳がんになりやすいのではと心配される人や、豊胸術を受けたことで検診をためらう人もいると思います。十分なバックアップ体制と適切な判断のできる医療機関をぜひ受診してください」

──最初に自助努力ではどうにもできないというお話がありましたが、筋トレやエクササイズも効果は期待できないのですか?

「例えば、筋肉をつけて胸の小さい人が大きくなるかというと、それはないですね。筋トレは関係ないのです。カバンを持つ手を変えたりすることにもほとんど効果はなく、筋肉だけで片側の胸を大きくしようと思ったら相当偏った運動をしないといけない。筋トレで垂れたバストが上がることもありません。ただ、背中が丸くなるとそれだけバストトップ(乳首)の位置は下がりますから、姿勢を良くするだけで見た目も変わると思いますよ。

実際に胸の大きさに悩む女性はとても多いですが、外観の悩みは誰もが持つものです。下腹が出てくればダイエットしようと思うように、それがある意味ストッパーにもなるのです。全く気にしないという人は歯止めがきかなくなって、体型が激変したりすることもあるでしょう。あるいは表面的には気にしないといいながら、密かに美容整形したりする人もいます。外観を気にすることは社会生活を送って入れば当然のこと。それが原因で引きこもったり、自傷行為に至ったりするのであれば問題ですが、ある程度のコンプレックスは生きているうえで自然なことなのです。

先ほども言いましたが、女性の9割は左の胸のほうが大きいのですから、相談者は左右差のあることをそんなに気にする必要はないと思いますよ」

──―南雲先生、ありがとうございました!

【南雲吉則医師 プロフィール】
医学博士 昭和56年3月、東京慈恵会医科大学卒業
東京女子医科大学形成外科研修、癌研究会附属病院外科勤務、東京慈恵会医科大学第一外科乳腺外来医長を歴任。平成2年 医療法人の認可を受け、「医療法人社団ナグモ会ナグモクリニック」を開設。医療法人社団ナグモ会理事長、ナグモクリニック総院長 平成28年4月 ナグモクリニック福岡院長。
著書に「命の食事 最強レシピ」(ワニブックス)、「その健康常識は大間違い! 男のカラダ」(双葉社)など多数。

※この記事は南雲吉則医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った南雲先生も出演する「主治医が見つかる診療所スペシャル【ビタミンDでがん予防&免疫力UP&花粉症改善】」(3月12日木曜夜7時58分)。

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