宮本浩次さん独占インタビュー 『ガイアの夜明け』の曲を手がけ「新しい自分を発見できた」

公開: 更新: テレ東プラス

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2020年1月7日にリニューアルした経済報道ドキュメンタリー『ガイアの夜明け』(毎週火曜夜10時)。エンディングテーマ曲も17年ぶりに歌詞のある曲が起用された。歌うのは日本を代表するロックバンド「エレファントカシマシ」の宮本浩次。番組のために『夜明けのうた』を書き下ろした。

宮本は、3月4日に初のソロアルバム『宮本、独歩。』を発表し、全国ツアーをはじめソロ活動を本格化させる。53歳にして新たなチャレンジに挑むシンガーは、『夜明けのうた』にどんな思いを込めたのか。『ガイアの夜明け』チーフプロデューサー・野田雄輔が聞いた。

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「何度もガイアを観た。夢見る人、Dreamer。その言葉がふさわしいと思った」


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ーー『夜明けのうた』にはどういった思いが込められているのでしょうか。

宮本:番組のコンセプトが書かれた紙には「勇気」「前向きな思い」とあって。勇気とか、前向きに生きていくとかは大切なことだし、目指しているんだけど、なかなか難しいこと。でも歌の中で説得力を持って表していく。まず言葉のイメージから曲を作ったんですね。

歌詞にある「夢見る人」とか「Dreamer」「明日の旅人」という言葉は自分ではあまり使わないんですよ。でも『ガイアの夜明け』にはふさわしい言葉。なので、まず歌詞に入れました。

その後に自分の歌詞が不安になって、これでよかったのだろうかと番組のVTRを見ました。3本、4本見たんですが、本当に感動しまして...。

番組の一つひとつに、どうやって作ったのだろうと思うくらい市井の人々の日常生活が描かれていた。とりもなおさず自分たちが生きている現実。当たり前であって、当たり前でない「日常」が描かれている。VTRを見て、勇気を得ました。

ーー宮本さんがガイアのVTRを見た中で、印象の残っているシーンや場面はどんなところですか。

宮本:シーン自体というよりか、追っているガイアの視点が印象的ですね。言い方が難しいのですが、非常にほっとする視点というか。

番組が追いかけているのは、いわゆる努力をする人たち。大スターでもなく、自分たちの日常を思わせる人たちで、夢を追いかけている。その夢というのも、別に空を飛びたいとかそういう夢じゃなくて、お皿を売りたいとか、この石鹸はどうやったら売れるだろうというもの。

僕も歌を出すとなれば「どうやったらみんなに届けやすいかな」「どうやったら聞いてくれるかな」「自分の歌はどうやったらみんなに説得力を持つかな」とか、日常的に考えるわけですよ。

業種は違えど、同じ思いを持った、努力している人たちがガイアの中では注目されている。私は53歳なんだけど、番組を見て豊かな気持ちになれた。その感動をそのまま歌詞に入れました。

「会いに行こう、私の好きな人に」という歌詞も、毎日を夢を持って前向きに行こう、という気持ちにさせる何かが、ガイアに登場した人の生活にあったんです。

ーー宮本さんは今回の「夜明けのうた」について、ストレートに歌うことができたとお話されていますが、なぜできたのでしょう。

宮本:オファーしてくれた野田さんの温度っていうのかな。番組に対する思い、熱量とガイアに出てくる街の人たち、生活している人たちが、人生をどうやったら前向きに、夢を持って一歩歩んでいけるかっていうことがつながったというかね。

その思いは、自分が音楽を形にして、みんなに届ける際の思いと同じ。そのまま『ガイアの夜明け』に描かれていたので、自分を肯定してもらった気分になりました。

自分が毎日歩んで、ご飯を食べて、働いて...。楽しい気持ちで、少しでも前向きに働いて生きていきたいという思いがガイアに描かれていたから、ストレートに、その思いを歌うことができたんです。

「ガイアと一緒に、新しいチャレンジができた」

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ーー宮本さんは50代からソロ活動を加速させていますが、どんな心境でチャレンジを始めたのでしょうか。

宮本:私は子供のころから歌っていて。2DKで父親は会社員、母は専業主婦、団地で4人家族、兄がいて。合唱団やバンド活動で歌をずっと歌っていて、その世界からでしか、歌の中からでしか物を考えてこなかった。会社に入ってこともないですし。歌を通じて、社会と通じているところがあったんです。

そんな中で53歳を迎えた。限りのある生命ですから、これまでも自分のやりたいこと、やりたい歌を精一杯やってきたんですけど、これからも失敗を恐れずにやりたい。

ガイアの歌もそうです。初めてなんです。きれいな声でと言っちゃ変だけど、ロックで叫ぶ歌が多かったんだけど、初めてこんな素直な気持ちで、優しい気持ちで、等身大の思いっていうのかな。恥ずかしくない自分の思いをそのまま歌ったのは。

歌詞にある「夢見る人、私はDreamer」って、普段は思っていても、なかなか言える言葉ではないと思うんだけど、『ガイアの夜明け』の中では、みんな思っていることだし、それをストレートに言うことが正直。私も「Dreamerだから」という意味では、『夜明けのうた』で、優しい歌で「こんな声で歌うことができるんだ」と自分でも発見できたんですね。

年老いていく中でのそういった自分の新しい面の発見。前向きな発見なのか、後ろ向きなのか含めて。50、60、70歳の世代ですから。青春の上昇気流とはまた違う「発見の旅」なのかとは感じています。

その時の身の丈にあった、夢のある歌を歌えたらいいなと思ってます。非常に貪欲な夢なんですけど。

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ーー「夜明けのうた」が流れた「ガイアの夜明け」を観た感想は?

宮本:(しばらく目をつぶって)素敵な場面で使ってもらっているし、安心して、ガイアと馴染んでみなさんに聞いてもらっているんじゃないか、という感じがしますね。『ガイアの夜明け』という番組ありきで、テーマソングになれば一番素敵だと思って『夜明けのうた』は作っていますので。

『夜明けのうた』はこんな歌が自分にも歌えたんだという、個人にとってもチャレンジでしたし、リニューアルした『ガイアの夜明け』と一緒にスタートができたというのは、本当に幸せなことです。

番組自体も素敵なものですし、その中で私の歌も視聴者の方の耳に届いたら嬉しい。毎週いろんなシーンで流れると思いますし、私自身も楽しみにしたいと思います。

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