結婚3年で愛妻ががんに...「何のために生まれてきたんだろう」「俺のために生まれてきたんだ！」68歳男性が住む”北国のアパートに隠された秘密”：家、ついて行ってイイですか？（明け方）

2月24日（月）に放送した「家、ついて行ってイイですか？(明け方)」（毎週月曜深夜）では、北海道の小樽駅で出会った浜林啓二郎さん（68歳）、通称・小樽のハマちゃんのお家について行きました。

取材日は12月25日、クリスマス当日。マイナス3.2度という極寒の街で、ほろ酔いでスナックから出てきたハマちゃんに番組の趣旨を伝えると「うちみたいな汚いところでよかったら...」と言って快諾してくれました。「ママがいい人なんだよ。人情のわかるいいママだよ」とスナックをベタ褒めするハマちゃんですが、その理由が後程明らかに......。

約10年前、奥さんに先立たれて、長屋型のアパートに一人暮らししているハマちゃん。玄関にはゴミ袋が溜まっていますが、部屋の中は意外とキレイに整理されています。

「1つだけ自慢できるものがある」と言って見せてくれたのがシンセサイザー。ハマちゃんの趣味は作詞作曲をすることで、20年前から始め、なんと1759曲もあるといいます。

自分の楽曲が入ったパソコンを見せてもらうと、「治美ちゃん関係（803）」というフォルダを発見。「治美」は奥さんの名前で、奥さんに寄せて作った曲は、803曲もありました。「他人が聴いたら『バカ、その曲はなんだ』って言われるかも...。作詞作曲は生きる希望というか、術。妻に死なれて一人になっても生きていく意味」としみじみ語るハマちゃん。

居間には奥さんとの写真が飾られています。

奥さんと結婚したことが「俺の人生でたった一つの手柄」と話すハマちゃん。寝室を案内してもらうと、そこにも結婚式の時の奥さんの写真が飾られていました。スタッフの「キレイな方ですね」という一言に「そう言ってもらえると嬉しい」と笑顔。枕元には奥さんの形見の品々が置かれていますが、ホコリが気になります。

32歳の頃、奥さんと結婚。しかし、結婚から3年後に奥さんのがんが発覚してしまいます。「余命数年と言われたけど、頑張って10年生きた」とハマちゃん。奥さんの病気を機に、夫婦で日本全国を旅して回りますが、悲しい別れの日がやってきます。

奥さんと過ごす最期の年となってしまったお正月、病院から一時退院した奥さんが「私、何のために生まれてきたんだろう」とポツリ。答えに困ったハマちゃんは、「俺のために生まれてきたんだって答えちゃダメか？」と伝えたそう。すると奥さんは、なんとも言えない顔で笑ったと語ります。当時を思い出し、笑顔を繕いながら語るハマちゃん......。

それから数日後の1月25日、ハマちゃんは病院から危篤の知らせを受けます。「（妻の）切なそうな息しか聞こえなかったんだよな。一方的に話していたんだけど俺も切なくなったもんだからよ。『もう逝っていいよ』と言ったら、すーっと吸って、はーっと吐いて、それで終わりだった」。今まで堪えていた涙がハマちゃんの目からあふれ出します。

「人間、なかなか覚悟はできないもの」と語るハマちゃんは「その点、うちの奥さん見事だった。体のあちこちが痛かったはずなのに切なかったと思う。弱音を聞いた覚えがないもん」と涙ながらに話してくれました。

「俺、飲みに行くのは女房の月命日。25日しか飲みにいかない」と教えてくれました。行きつけのスナックのママはそんなハマちゃんの想いを知っています。「何も言わなくても、献杯用の小さな盃を出してくれるの。そんなママさんどこにいる？ちゃんと覚えていてくれるの」とハマちゃん。クリスマスに一人でスナックに飲みに行き、スナックをべた褒めする理由はここにありました。