高嶋政伸「僕の子どもを見た両親が元気になったことが嬉しかった」

公開: 更新: テレ東プラス

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"働く人々"を通して現代社会を描く「ドラマBiz」第8弾として放送中の「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」(毎週月曜夜10時。BSテレ東は、毎週金曜夜9時)。初回視聴率は、「ドラマBiz」始まって以来の8.1%を記録。今もなお快進撃が続いています。

多額の借金を抱えた病院が倒産の危機から復活を遂げた実話をベースにし、医師・有原修平(小泉孝太郎)が病院を治療していくストーリーは、実にリアル。既存の医療ドラマとは切り口を変え、日本の地域医療に一石を投じる作品に仕上がっています。

そこで「テレ東プラス」では、主人公・修平と共に、経営のプロという立場で病院を立て直していく信甲斐銀行融資部次長・倉嶋を演じる高嶋政伸さんを直撃。作品のことから、今夢中になっている子育てまで...いろんなお話を伺いました。

寝ても覚めても、小泉孝太郎さんのことを考えていました(笑)

──ドラマが評判を呼び、視聴率も快進撃が続いています。作品の魅力はどこにあると思われますか?

「最初に台本を読ませて頂いたとき、"攻めている台本だなー"と思いました。実にリアルなんです。倉嶋は信甲斐銀行の融資部で働く人物ですが、銀行って、みなさん専門用語で話すんですよね。簡単なセリフじゃないんです。経営のリアルな専門用語の連続で、最初に数ページ読んだとき、正直"できるかなぁ"と思いましたが、読んでいくうちに"いい話だな...これ、メチャメチャいい話だな!"と思って、一気に台本を読んでしまいました。感動して、"ぜひやらせてください!"と連絡させていただいて...。

実は妻がドクターでして、今回は妻にも台本を読んでもらったんですけど、まさに今、医療界が対峙している問題を扱っていると驚いていました。『すごくリアルな話じゃない!これはいい話よ!』と。だから大変だけど、これはもうチャレンジするしかないなと思ってやらせていただきました。真実の物語が持つ重み...そして凄みが余すところなく描かれているので、見てくださる皆さんも、そこら辺はお感じになるのではないかと思います。

ただ、経営に関する専門用語は、全部自分のものにしないと見てくださる方に伝わらない。倉嶋が普段から何百回も使っているように見せなくてはならないので、自分の中に専門用語を落としこむ作業は苦労しました。とにかく稽古です。セリフを何度も何度も言って練習あるのみでした」

──「暴走特急」と呼ばれる修平とのタッグにも注目が集まっています。

「倉嶋は、出向という形で『有原総合病院』行きますが、修平先生のお人柄...男が男に惚れるといいますか、"生涯をかけて病院経営に尽力したい"と思うぐらい修平に惚れているんですよね。ですから現場では、どうやったら孝太郎さんがリラックスできるかな、僕がどんな感じで返したらより良い形になるかなということばかり考えていました。修平先生、孝太郎さんがどうやったらイキイキできるんだろうと...。寝ても覚めても、小泉孝太郎さんのことを考えていました(笑)」

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──ドラマを通じて、私たちも日本の医療制度の問題点を知ることができます。高嶋さんは「もっとこうなったらいいな」など、病院に改善して欲しいことはありますか?

「待たされるのがちょっと...という方は多いと思いますが、僕は待つのはあまり苦にならないので、"病院とはそういうものだ"という認識でいます。ただ、子どもが生まれてからは、ベビーカーで移動するのが大変なので段差がない方がいいな、エレベーターで移動できたらいいな、開業時間前から並んでいる方も多いので、暖かいところで待ちたいなとかいろいろ考えるようにはなりました」

──有原総合病院は奇跡の復活を遂げることになります。高嶋さんのこれまでの人生において、「これは奇跡の復活だった!」というエピソードはありますか?

「いろいろありますが、やっぱり、僕の子どもを見た両親が元気になったことが嬉しかったですね。そして子どもが生まれて初めて、僕の中にも人間の心があったんだなと分かりました(笑)。守るべきものができた...この子のためなら命を差し出してもいいと思える。復活とは異なりますが、子どもの存在に奇跡を感じています」

──「暴走特急」の異名にふさわしい修平先生の前のめりな改革とゆるぎない信念。倉嶋をはじめとした周囲の人たちは、修平のゆるぎない信念に心を動かされていきます。高嶋さんの中にも、修平のような「ゆるぎない信念」はあるのでしょうか?

「"ものごとに近道はない"というのが僕の信条です。ただプロ野球中継を見ていても、プロ野球選手にはなれないですよね。やっぱりキャッチボールから始めるしかない。役者もしかりで、まずは発声練習から始めます。そういうところから地道に一つ一つやっていく。稽古でかいた汗は絶対に裏切らない...そういう信念はずっと自分の中にあります。役者としての奇跡の瞬間は、稽古の積み重ねの中から生まれるものだと...。でも、そんな奇跡のような瞬間はほとんどなくて、10年に15秒くらいあるかないかなんですけどね。しっかりと稽古をしておけば、80点以上は絶対に取れるので、そういう部分は肝に命じてやっています。

子育てにおいても同じことを思っていて、いくら時間がかかろうが近道するなと。間違えてもいい、間違えたことでいろんなものが見えてくる。5秒で行けるところに遠回りして1年かけて行ったとしても、その分、得るものがあるはずだと。わが子にも、合理的なことばかり考えず、近道せずに進んで欲しいと思います。そして親は、分かるまで待つ。今は情報があふれていて、何が正解なのか分からなくなりますよね。自分の視点を大事にして欲しいと思います。そのために僕ができるのは、旅に連れ出していろんな世界を見せてあげることなのかなと」

──最後に、ドラマの今後の見どころを教えてください。

「修平先生の改革のスピードが速いので、倉嶋はけっこう対立します。第5話(今夜放送)で、修平先生が地域医療ネットワークの構築を提案しますが、普段控えめな倉嶋が声を荒げて反対します。そして第6話では、修平先生と倉嶋の関係性が壊れてしまうある出来事が起こります。その局面を2人がどのように乗り越えていくのかを、ぜひ確認してください!」

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【高嶋政伸 プロフィール】

1966年10月27日東京都生まれ。身長:180cm、血液型:B型。1988年、連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』(NHK)にてデビュー。1990年に放送されたテレビドラマ『HOTEL』(TBS)は、その後2002年まで放送されるほどの人気シリーズとなった他、2002年放送の『こちら本池上署』(TBS)も、パート5まで続くシリーズに。また、テレビドラマ『DOCTORS最強の名医』では主人公と敵対する外科医:森山卓を演じ、大河ドラマ『真田丸』で演じた北条氏政役も話題を呼んだ。朗読会「Reading Session」も主宰している。

(撮影/uufoy 取材・文/船桂子)

そして今夜10時放送! ドラマBiz「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~」第5話のストーリーは...。

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赤字にも関わらず、心臓カテーテル室を作ろうとする有原修平(小泉孝太郎)は、実現に向けて外来を予約制にして患者数を減らし、入院患者を町の開業医に紹介してもらうシステムを提案する。危機的な状況をわかっていないと声を荒げる倉嶋亮介(高嶋政伸)は、病院同士がまとまるとは思えず大反対。2人の意見は対立するが、修平は地域医療ネットワークの構築を強引にスタートさせ、早速、江口智也(稲葉友)を連れて開業医回りを始める。

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