地方創生ビジネス最前線! ドライバー1本でも無料配送。約40万アイテムが揃う「トラスコ中山」が、地方で正規雇用を続けるワケ

公開: 更新: テレ東プラス

企業のトップなど、今、会いたい人をフィーチャー。MCの田村淳が鋭く斬りこみ、トークセッションから新たなビジネスの創造を目指す「田村淳のBUSINESS BASIC」(BSテレ東 毎週日曜よる11時)。東京オリンピック・パラリンピックの開催により盛り上がりを見せる一方で、少子高齢化や人口減少などの目的に直面している地方。都会と地方の格差は広がるばかりだ。しかし、「ピンチはチャンス!」と変革を起こそうとする人たちもいる。今回の登壇企業は、「あすびと福島」「オイシックス・ラ・大地」「トラスコ中山」「SAP」の4社。2月9日(日)の放送では、「トラスコ中山」の活動を深掘りした。

【トラスコ中山:数見篤さん】

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日本全国にある、100万ヵ所以上の工場や建設現場。地方の中小企業が支える現場も多くあり、運営をいかに潤滑に行うかは、工具や資材など在庫の管理に大きく影響されるという。たった1本のネジが足りないだけで、一瞬にして工場が止まってしまう可能性も。様々な工具を揃える「トラスコ中山」は、ドライバー1本でも無料配送。独自の物流システムで日本全国の工場と繋がり、地方のモノづくりを支えている。

数見「工場の中で使われている工具はすごく沢山あります。工場を応援したいですし、工具のニーズを満たすということが我々の最大の使命」

「どのくらいの大きさの倉庫があるんですか?」

数見「最大の物流センターが埼玉の幸手市にあり、1万2000坪の倉庫です。そこには工具や間接材だけがあり、アイテム数で言うと約40万アイテム」

「40万アイテム! 全部売れたらいくらになるんだろう(笑)」

数見「在庫の金額は全国で430億円になります。例えば手袋だけでも約7500アイテム。どこで使うかあまり想像できないと思いますが、ドラム缶の在庫もあります。工事現場などに置くコーンも、背丈が2mくらいの巨大なものまで揃えています」

「トラスコ中山」は、様々な現場の特性を調べ尽くし、いつでも最適な工具を提供できるよう在庫を揃えている。

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例えば、電子部品などの組み立ての際に使用する静電気対策用の手袋や特殊な繊維で強度を上げた手袋など...。現場の細やかな要望に応えられるよう在庫を取り揃えた結果、作業手袋だけで7500もの種類になったという。

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2mの巨大カラーコーンは、大型トラックからでも見える目印となる。このようなニーズが少ないものも取り揃え、工具を揃えるのが困難な地方の現場を支援している。

しかし、一般的に「在庫は少ない方がいい」という考えが経営の鉄則。そんな定説を、「他所が在庫したくないものを揃え、逆に武器にしよう」というポリシーで覆した。

数見「"在庫ヒット率"というのが当社の最大のKPI(評価指標)。例えば100人の方からご注文頂き、90個を我々の物流センターがお届けできれば、在庫ヒット率は90%ということになる」

商品を探す際、取り扱いがあるかどうかの確率を示すのが「在庫ヒット率」。他社では無駄な在庫は減らすが、「トラスコ中山」は在庫の種類を増やすことで差別化を図っている。

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例えば「ドラム缶」を検索すると369種類もの商品がヒット。関連商品として、ドラム缶専用の台車、運搬車、ドラム缶起こしなど、約1300の商品がラインナップされている。利用者の「こんな商品あるかな?」というニーズを叶え続けることで、自然と「トラスコ中山ならあるだろう。欲しいものはトラスコ中山で注文!」が定着することを目指している。

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数見「直近だと90.5%までヒット率が上がっていて、そこを1ポイントでも上げようと努力しているところです。"トラスコに聞けばあるんじゃないか"というところが一番の強み」

商品力を充実させた「トラスコ中山」は、配送にも様々な工夫が。

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68ヵ所の営業拠点26ヵ所の物流拠点を有し、全国に自社の配達トラックを300台持つ「トラスコ中山」。例えば午前中に注文された商品であれば、その日の午後に届くという。様々な地方の工場や建設現場と繋がり、一刻を争うモノづくりの現場を支えている。そして同社は、さらなる商品の供給システムを作ろうとしていた。

数見「今、"究極の即納"というのをやろうとしていまして...。"富山の置き薬"ってご存じですか? 家に常備薬を置き、使った分だけを支払うというシステムなのですが、それの工具版で"MROストッカー"と呼んでいます」

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「MRO」とは、"メンテナンス・リペアアンドオペレーション"の略で、消耗品を発注から納品まで効率化する手法を指す。常備薬の様に最初から工具を常設しておくという、従来の即日納品を超えたシステム。使った物や量もコンピュータで管理され、最適な在庫の運営を行う。納品に対する地域差をなくし、文字通り「日本最大の工具箱」としての役割を果たすのだ。

「すごい裏切り方! 確かに置き工具があった方が工場としては安心ですよね。在庫はトラスコが管理してくれて、使った分だけ払えばいい。それだと注文しなくていいもん

数見「MROストッカーのITシステムは、SAPさんにお願いしています」

「出た、SAP! 全部に絡んでくる!(笑)」

MROストッカーのシステムを構築した「SAP」は、さらに進化したシステムを考案し、日本の第二次産業を支えようとしていた。

【SAP :宮田伸一さん】

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宮田「コマツ、NTTドコモ、SAPで会社を作り、日本中にある建築現場の効率化を図っています。"この工程から次はこういう人材が必要"など、いろいろなものを跨いだ情報のプラットフォームが必要だと。そこにMROストッカーがあれば、"ここでこれくらいの資材が必要"という風に繋がることができる」

第二次産業が抱える人手不足の問題を解決しようと生み出されたのが、現場の作業効率アップを図るプラットフォーム「IoT」(Internet of Things:モノがインターネット経由で通信すること)。

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例えば、資材を積んだ運搬のトラックが何時何分に来るという情報があれば、「IoT」が次の作業工程を想定し、必要な人員や資材など最適な現場の運営を指示してくれる。これまで現場監督の経験や勘によって行われていた作業を最新のテクノロジーが判断し、人手不足で悩む地方のモノづくり現場の大きな手助けとなる。

さらに「トラスコ中山」は、地方の雇用を増やすことでも地域活性化に取り組んでいた。

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数見「食堂の栄養士さん、物流センターの中に設けた保育園の保育士さんも、正規社員として雇用しています。それが地域の活性に繋がっていくのではないかと...」

「雇用を生み出していますよね」

日本全国の様々な地域に雇用を生み出し、地方創生に貢献する「トラスコ中山」。様々な工具を取り揃え素早く届けるだけでなく、新たなテクノロジーで現場の環境を改善させ、第二次産業全体をグレードアップさせるように働きかけている。

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次回2月16日(日)よる11時放送の「田村淳のBUSINESS BASIC」では、「トラスコ中山」の巨大倉庫に潜入。どうぞお楽しみに!

この放送は、現在「BSテレ東YouTube公式チャンネル」で配信中です!

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