恋愛関係なしで結婚した能町みね子さんが明かす「結婚」の形

公開: 更新: テレ東プラス

kekkon_20200202_00.jpg
最近話題の本がある。コラムニストの能町みね子さんが上梓した、『結婚の奴』(平凡社)。
ゲイライターのサムソン高橋さんと「結婚」。その生活を綴ったWEB連載が1冊の本になり、2019年12月に発売。瞬く間に話題となり、重版が決定。話題になった理由のひとつは、恋愛関係のない結婚という形......。結婚という固定概念を揺すぶる、能町さんの結婚スタイルのはじまりを聞きました。

試しても試しても、恋愛が楽しめなかった。

「未婚いじりが面倒だから、結婚指輪が欲しい」
と、能町みね子さんがレギュラー出演する番組で言っていたのが2016年の夏のこと。その発言に同調する共演者と同じく、モテや恋愛、結婚というキーワードにうんざりしていた当時アラサーだった筆者も深く頷いたことをよく覚えている。

そして今、能町さんはゲイライターのサムソン高橋さんと東京都・北区で結婚生活を送っている。

kekkon_20200202_01.jpg
「私には(「結婚」をしたいという)強い意志があったので、相手はサムソン高橋さんがいいんじゃないかと思い浮かんでから即、行動に移しました。私のような結婚をしたいという人は、相手はどんな人がいいか、どんな暮らしをしたいのかなどを具体的に想像して行動しないと何もはじまらないですね」

著書の中でも触れられているが、過去には恋愛的なもの、例えば異性とのお付き合いや性愛的なものに何度もチャレンジしている。

「恋愛というものを試すだけ試しましたが、向いていなかったですね。恋愛にのめり込むことも純粋に楽しむこともできなかった。恋愛に浸れる人の気持ちが今でも全然分からないんです。自分でも努力しなきゃダメだと言われることもありますが、恋愛のために努力するって、自分の感情を殺すことなのでは、と思って」

結婚制度のオプションと1人で暮らすことに飽きたときに思いついた「結婚」

しかし、自分1人のためにはお茶も入れないし料理もしない、掃除も洗濯も我慢できる限界までしない――そんな独り暮らしを十数年してみて、能町さんは1人で生活することに飽きてしまった。そこで作家・中村うさぎさんがゲイと結婚して暮らしている、ということを思い出し、恋愛が発生しないゲイとの結婚生活が向いているのでは、と思いつく。そして白羽の矢が立った人物が、ライターのサムソン高橋さん。

「イベントで知り合って、お互いに作品のファンで、ツイッターをフォローし合っている。めちゃくちゃ仲がいいとかではなく顔見知りくらいの距離感でした」

能町さんから「結婚」を持ちかけ、合意。サムソンさんが購入した家をリフォームしながら一緒に暮らしている。

「サムソンさんに『結婚』の話を持ち出したときは勢いというか、迂闊さもありました。気軽に行動することが時には必要かもしれません」

kekkon_20200202_02.jpg
能町さんの著書を読み、同じような結婚生活に憧れを抱いている筆者が、疑問に思ったことが。それは、恋愛のない結婚に賛成し、実行してくれる人が身近にいるだろうか? ということ。そして実行してくれたとしても、こんなに気が合う人がいるのか? ということ。著書の第1章では能町さんがひどい下痢で汚した寝具をサムソンさんが洗ってくれている記述がある。そんな結婚相手に巡り合うことは少ない。

「それは完全に運が良かったとしか言えません。声をかけたら、たまたまその誘いに乗ってくれた。私は家事が苦手なので、生活費を出すので家事をやってほしいと頼んだら、快く引き受けてくれて、家事はほとんどサムソンさんに任せてしまっています。2人の生活はうまく回っていて、その中に恋愛感情がないだけ。本当にラッキーでした」

恋愛とは違う感情が生まれているのかもしれない。著書の中で、サムソンさんに喜んでもらうために旅先のおみやげ、誕生日ケーキなどをプレゼントしている、と書かれている。例えば親やきょうだいにもおみやげやプレゼントを買ったりするが、それとは違うものなのか?

「あ〜違いますね。親へは義務感や親孝行の延長線上で何かをしているような気がします。サムソンさんに対しては自然と何かをしてあげようかな、と思ってやっています」

【プロフィール】
能町みね子
1979年、北海道生まれの茨城県育ち。コラムニスト。2006年『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『ときめかない日記』(幻冬舎)、『雑誌の人格』(文化出版局)など。現在「週刊文春」ほか多くの連載を持つ。「久保みねヒャダこじらせナイト」(フジテレビ)に出演するなど、ラジオ、テレビでも活躍中。
Twitter

PICK UP