東京生まれの80歳のおばあちゃんがたった一人で半自給自足! 長野の断崖絶壁に建つ家を捨てられない理由とは?:ナゼそこ

公開: 更新: テレ東プラス

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

断崖絶壁で暮らすおばあちゃん

日本には、ナゼそこに? と思わずにはいられない、究極の秘境で暮らす人々がいる。今回注目したのは、長野県・天竜川の危険な断崖絶壁で、たった一人で暮らす80歳のおばあちゃん。自然の中で半自給自足の生活を続ける裏には、想像を絶する人生ドラマがあった。

東京から新幹線で約1時間半、愛知県豊橋駅へ。さらにローカル線に揺られること3時間、天竜川が流れる長野県天龍村に到着。さっそく聞き込みをすると、目指す断崖絶壁があるのは「田本」と判明。しかし秘境というだけあって、もらった地図には載っていなかった。

再びローカル線に乗って約20分、田本駅に到着すると改札がない。ホームから直接つながっている険しい山道を歩くことおよそ30分、ようやく一軒の家が見えてきた。声を掛けると、女性の声が!

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こちらが、天竜川のすぐそばにある断崖絶壁で、たった一人で暮らす菊地陸子さん(80歳)。山奥でいったいどんな暮らしをしているのか? 断崖絶壁生活に密着した。

山奥で暮らす秘訣は楽しむこと

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かごを背負った陸子さんは崖のそばをスイスイ歩き、風呂を焚く薪を集める。枝を膝で折る姿は、とても80歳とは思えない。しかし取材中にスタッフが崖で足を負傷。家に戻って陸子さんが貼ってくれたのは、なんと乾燥させたマムシの皮! 酒に浸して湿布にすると、捻挫・打ち身によく効くそう。

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そんな陸子さんの一日は、畑の手入れから始まる。キウイやナスなど10種類の作物を作っている。畑仕事の後は昼食。この日はワサビの葉のお浸しと、玉ねぎにポテトチップスを加え炒めた「たまポテト」なる珍しい一品だ。夜になれば薪風呂を沸かすために火をおこす。ひと苦労だが、沸かしている間に考えごとをするなど、不便を楽しむのが元気の秘訣なのだ。

別の日、陸子さんはいちばん近くのスーパーへ買い出しに。近くといっても、電車に乗って着いた駅からさらに徒歩で1時間。この日は1カ月ぶりの買い物だが、持てる量に限りがあるため、商品選びは真剣だ。重い荷物を持っても足取りはしっかりしているが、さすがに近頃は高齢のせいか息が切れるようになってきたという。

こんな生活を50年以上も続けている陸子さんだが、実は東京生まれ。いったいなぜ、断崖絶壁で一人暮らしをするようになったのか?

母が建ててくれた家

昭和14年、東京都杉並区に生まれた陸子さん。生まれて2年後に太平洋戦争が勃発し、父は戦死。4歳のときに母と信州へ疎開し、叔父の持つ空き家で暮らすことに。しかしその空き家はトイレも風呂もなく、壁は隙間だらけで氷点下になる冬は過酷さを極めた。

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終戦を迎えても、東京の家は空襲で焼かれて帰れない。そこで母は、陸子さんのために家を建てようと内職に励んだ。そして必死に働くこと3年、ついに念願の家を建てたのだ。母との暮らしで今も思い出に残っているのは、挫いた足にマムシの皮を貼ってくれたことと、畑仕事の後に二人で沸かした薪風呂。貧しくも、母と過ごす時間は幸せだったという。

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その後、陸子さんは24歳で結婚し、親族らに盛大に見送られて東京へ。しかし、東京での生活に馴染めず胃を痛め、実家に戻ることに。親族の一部は「わがままだ」「東京へ帰れ」と言ってきたが、母だけは何も言わずに迎えてくれた。それ以来、母が93歳で亡くなるまで、母と娘で手を取り合い生きてきたのだ。

陸子さんは現在も、母が建ててくれた家に暮らしている。断崖絶壁に住み続けるのは、親子の思い出が詰まった場所だから。齢を重ね、以前はできていた作業もできなくなってきている。それでも陸子さんは、「(この生活を)ずっと続けていきたい」と語った。

長野県の山奥には、母との思い出を胸に、一人で断崖絶壁に暮らす日本人がいた。

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次回2月3日(月)夜7時放送の「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」は「世界ナゼそこに日本人 ニッポンの秘境&激闘マグロ漁船!密着768時間3HSP」!

新企画は「酷道シリーズ」と銘打ち、とんでもなく荒れた"国道"の先にある岐阜県の限界集落で暮らす"仙人"の珍生活をご紹介! 医師からは余命は3年と告げられたにもかかわらず、なぜ、そんな状態をおしてまで限界集落で一人不便すぎる生活をしているのか...。

続いて舞台は洋上へ。一攫千金、過酷、借金返済のため...世間ではこんなイメージも持たれている遠洋マグロ漁船。今回、番組スタッフが遠洋漁船に乗り込み、漁師歴50年の凄腕日本人漁師に密着! 巨大マグロとの死闘の一部始終を激撮し、遠洋漁業の知られざる驚きの実態に迫る。

さらに海外では、スウェーデンの田舎町にある日本旅館をヨーロッパNo.1にまで押し上げた肝っ玉日本人女将を発見。約22年前、スウェーデンに来るまでは旅館で働いたことのない、まったくの素人だったという彼女が、なぜヨーロッパNo.1日本旅館の女将となったのか?

ほか、山口県で17年もの間、なぜかたった一人で無人島を開墾している"謎の老人"の暮らしぶりを追うなど、波乱含みの3時間スペシャルをどうぞお楽しみに!!

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