地方創生ビジネス最前線! 人材育成が日本を活性化させる! 「憧れの連鎖」とは?

公開: 更新: テレ東プラス

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企業のトップなど、今、会いたい人をフィーチャー。MCの田村淳が鋭く斬りこみ、トークセッションから新たなビジネスの創造を目指す「田村淳のBUSINESS BASIC」(BSテレ東 毎週日曜よる11時)。東京オリンピック・パラリンピックの開催により盛り上がりを見せる一方で、少子高齢化や人口減少などの目的に直面している地方。都会と地方の格差は広がるばかりだ。しかし、「ピンチはチャンス」と変革を起こそうとする人たちもいる。今回の登壇企業は、「あすびと福島」「オイシックス・ラ・大地」「トラスコ中山」「SAP」の4社。

1月26日(日)の放送では、「あすびと福島」の活動を深掘り。問題を抱える地方にどんな強みを持ちながら取り組みを行っているのか探る。

【一般社団法人あすびと福島:沖沢真理子さん】

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東日本大震災で疲弊した福島県南相馬市で、町を復興・創世する活動をスタート。地元の発展へと取り組む若い人材の育成に力を注ぎ、新たな活力を生み出す。

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福島県出身で、震災前「東京電力」の役員を務めていたのが、現在「あすびと福島」で代表理事を務める半谷栄寿さん。地元の創生に尽力すると決め、南相馬市を拠点に活動を始めた。「あすびと福島」は小学生以上を対象にした様々な体験学習や実践授業を展開。2019年4月からは、小学校の授業の一環として取り入れたプログラミングの体験学習も行なっている。

このプログラミングの体験学習をサポートしているのが「SAP」。小学生が自分でボール型ロボットのプログラミングをし、障害物があるコースを走らせてゴールを目指す。「ひとつずつ順番に課題を解決することを学び、やがては地方の課題に取り組む大人になって欲しい」それが、「あすびと福島」の想いだ。

沖沢「地域に活力を生み出すことが最も大切。高校生が自分たちの地域を調べて発信し、その活動を見た小学生が"自分もああなりたい"と努力する。その連鎖がうまく回っていくことが、地方の若い力を育てる人材育成」

「今いい連鎖で引き継がれているというのは、どういうところで感じますか?」

沖沢「高校生たちがプログラミングした"福島イノベーション・コースト構想"を、ペッパーを使って小学生たちに聞かせたんです。"高校生になったらこんなことが出来るの? 自分もあの高校に行ったらこんなに地域のことを知れるの?"と、小学生が勉強に興味を持つようになったと最近聞きました」

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「福島イノベーション・コースト構想」とは、沿岸地区に産業を集め、福島を活性化させようというもの。手がけるのは、ロボット開発・農林水産業の復活・エネルギー対策・廃炉作業で、被災後、山積みだった問題を解決に導く。

高校生たちは、この構想を小学生にもわかりやすく伝える広報活動を担っている。解説担当はペッパーくん。関心を掻き立て、小学生を惹きつけるストーリーをプログラミング、高校生たちは小学生にとって「憧れのお兄ちゃん」という存在になっている。

沖沢「まだ始まったばかりの"憧れの連鎖"ですが、色々な動きが出来たらいいなと思います。中には、"大好きな福島が誤解されて悔しい。福島の農家さんの思いを届けたい"と、冊子を作る高校生もいます」

それでは、高校生が冊子で伝えたい"福島の想い"とは...。

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高校生が手がける「ふくしま食べる通信」は、彼らが福島県内の農家や生産者に取材をし、記事を書いてまとめた情報誌だ。風評被害の誤解を解くべく、安全な環境で作られていること、生産者の真摯な取り組みや地元産物の誇りを伝えている。

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取材した農家の生産物を付録にし、冊子と一緒に約650人の会員購読者に送付。レシピも掲載し、美味しく食べられる方法を発信することで福島の魅力回復に繋げている。発行している高校生たちは職業体験をしていることになり、地元の若者を牽引する憧れのランナーとなっている。

沖沢「高校生は卒業したら終わりではなく、後輩にも指導してくれる。そうすると、またその中で憧れの連鎖が回っていきます」

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沖沢「こういった体験は全て無料です。"あすびと福島"は社会人研修も行っており、そこで出た売り上げを子どもたちの人材育成の費用に充てています」

被災地の負の遺産を価値あるものとして発信。賛同した企業の研修を「あすびと福島」が担当し、そこで得た収入が人材育成の大きな柱となっている。「SAP」の宮田さんも、過去「あすびと福島」の研修に参加したひとり。

【SAP :宮田伸一さん】

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企業向けソフトウェアを開発・販売。また、様々な業界の企業と手を組み、地方が抱える課題の解決を支援。

宮田「SAPの人間として何でも出来る気がしていたけど、現地のリーダーの方との対話を通じてたくさん教えて頂いた。それから"デザインシンキングの普及"を一緒に出来ないかと考えて、この間、高校生・大学生に集まってもらい、体験版をやったんです」

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「デザインシンキング」とは、ビジネスで言えば、消費者が求めるものを消費者の立場で考えること。例えば、ある人物が欲しがっている物に"こだわり"があるとする。そのこだわりとは何か...何度も聞き取りをし、その人自身も気付いていなかった"こだわり"を導き出していく。

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体験版のテーマは「パートナーが欲しくなる靴を考える」。ペアを組み、それぞれが欲しい靴を描き、話し合う中で互いに望むものは何かを理解する。どんなこだわりがあるのかお互いに聞き出し、パートナーが気付いていないニーズまでをも探り出す。一連のプロセスで重要なことは、パートナーから多くのことを引き出し、相手の気持ちを推し量り、本当の必要性に迫っていくこと。それは、被災地で暮らす人が望むこと、必要とすることを探り出す力へと応用できるのだ。

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「宮田さんは現地に行って、どういうところで"憧れの連鎖"が起きているなと感じましたか?」

宮田「福島県の県知事を含めた大人が4000人くらいいるイベントで、『あすびと福島』の子どもたち5人くらいが、福島県の魅力をプレゼンテーションしてくれたんですよ。高校生が大人の前でプレゼンする姿を見ると、小中学生は憧れますよね。僕も憧れるくらい」

「たしかに小中学生だけじゃなくて、大人も憧れる。高校生の頑張りでいい連鎖が生まれそうだなと感じました」

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地域を盛り立てる「憧れの連鎖」。次々誕生するリーダーたちがマイナスをプラスに変え、魅力ある地域作りを牽引していく。人材育成は、地方を活性化させるカギとなるに違いない。

次回2月2日(日)よる11時放送の「田村淳のBUSINESS BASIC」では、「『食』で地方に価値づくり」をテーマに、埋もれている地方の特産品の魅力を引き出す方法に迫る。どうぞお楽しみに!

この放送は、現在「BSテレ東YouTube公式チャンネル」で配信中です!

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