寺島進が語る北野武監督との知られざるエピソード...”てっぺん取る男”の定義

公開: 更新: テレ東プラス

chuzaikeiji2_20200124_01.jpg
奥多摩の自然あふれる町を舞台に、寺島進演じる人情派の駐在刑事・江波敦史が事件を解決していく金曜8時のドラマ「駐在刑事 Season2」が、いよいよ今夜8時からスタート! 「駐在刑事」は2014年から2時間ドラマが5本放送され、2018年には連続ドラマとなった人気シリーズ。今シーズンは市毛良枝笛木優子北村有起哉らレギュラー陣に加え、新たなメンバーとして田中美里が参加。田中演じる夏子と江波のラブライン、さらに登場人物たちの過去や因縁も明らかとなるので、1話たりとも目が離せません!

「テレ東プラス」は、主演の寺島進さんを直撃取材。ドラマにかける思いや見どころ、1月に発売された自叙伝「てっぺんとるまで! 役者・寺島進自伝」(ポプラ社)にちなみ、北野武さんや大杉漣さんとの貴重なエピソード、"てっぺんを取る男の条件"などを伺いました。

「駐在刑事」は、昭和のDNAを引き継いでやってきたのが良かった

chuzaikeiji2_20200124_02.jpg
──「駐在刑事」は人気シリーズですが、視聴者にはどんな部分が受け入れられていると思いますか?

「見やすくて分かりやすい部分じゃないかな。昭和の時代、夜8時のドラマといえば、子どもから年配の方までみんなで見られる起承転結がはっきりしたドラマでしたよね。そんな昭和のDNAを引き継いでやってきたのが良かったのかなと」

──「駐在刑事」シリーズは、寺島さんのアクションシーンも見どころのひとつですが、今回もアクションシーンはありますか?

「今回も第1話からありますので、ご期待ください! 実は元々アクション俳優なので、アクションシーンの撮影では妙なテンションになるんですよ」

──寺島さんが殺陣師の集団「剣友会」の出身で、バリバリのアクション俳優さんだったことを知らない若い世代も多いと思います。アクションシーンで気をつけていることがあったら教えてください。

「撮影の時は、ケガをしないように気をつけていますね。後は呼吸。カッコよく見せようだとかはあまり考えていません」

──撮影に入る前は、体を鍛えたりされるのでしょうか。

「してないですね。でも今回の撮影で、"体力が落ちているな~"と感じたので、これから体作りをしようかなと思いました。特別鍛えたりはしませんが、朝は生卵を食べるようにしています。シルヴェスター・スタローンが映画『ロッキー』で卵をポコン、ポコンと割って食べるのを見て、子ども心に『生卵は元気が出るんだな』と思って真似するようになったんですよ(笑)。でも殺陣をしていた頃は金がなくて卵を買うことができなかったので、これは、家族を持ってからするようになった習慣です」

──「駐在刑事」でも、朝、江波が卵かけご飯を食べるシーンが出てきますが、これは寺島さんのアイデアですか?

「残念ながら違います(笑)。監督の提案ですが、実は江波は、庭で鶏を飼っている設定になっているんですよ」

chuzaikeiji2_20200124_03.jpg
──寺島さんと江波がシンクロですね! 朝、生卵を食べるだけじゃなく、江波の人情に厚い人柄もどこか寺島さんと被ります。最近は、人間関係も希薄になりつつありますが、寺島さんはこうした現状をどのように感じていますか?

「まず、飲み会にいかない子たちの感覚が分からないよね。さらに最近は、パワハラやなんやらあるから言葉を失っちゃいますよ。"俺、今怒鳴りたいだけど、ちょっと堪えなきゃいけないかな"とか思っちゃたりして(笑)。世知辛い世の中になりましたなぁと。怒鳴るのを抑えるようにしていたんだけど、最近はね、もうそういうの止めようかなって。それでなんか言われたらそれでいいや!と思うようになって...。自分らしさがなくなっちゃうのは嫌だしね。愛を持って、ちょっとくらい引っ叩いちゃおうかな~と思う瞬間もあるけど、まぁ暴力はよくないので...。結局は家にサンドバッグ置こうかなってことに落ち着きますよね(笑)」

おふくろに50万円を借りて、ロスで勝手にたけしさんを待ちました

──「てっぺんとるまで! 役者・寺島進自伝」についてもお話を聞かせてください。俳優を目指したきっかけや下積み時代など興味深いお話がたくさん描かれていますが、そんな中でも北野武さんとのエピソードは、寺島さんのあふれんばかりの愛が伝わってきました。今でも、たけしさんに会うと緊張されますか?

「育ての親ですからね。いつ会っても緊張します。たけしさんにお会いする時は、出会った頃の寺島進に戻っちゃいますけど、みんなそんなもんなんじゃないですかね」

──たけしさんとの様々なエピソードが明かされていますが、中でも一番印象に残っていることは?

「ニューヨークからロサンゼルスに向かうバスの中でタバコを吸ったのがバレて、テキサスで降ろされちゃったという話をロスでたけしさんにしたら、めちゃくちゃ笑ってくれたことですね」

──『たけしさんがロスに映画の撮影に行く』という情報だけを頼りに、アポなしで先回りしてアメリカに行かれたんですよね。

「動かないと何も始まらないと思って...。当時は事務所にも所属していませんでしたし、わがままで自由奔放にやってきた結果、ロスにいました」

──ものすごい行動力です。

「おふくろに50万円だったかな? 借りて行ったんですよ。たしかに今思うとそうですよね(笑)」

──今もその頃と同じ熱い気持ちはありますか?

「気持ちは変わらないけど、家族を持つと行動範囲が変わっちゃいますからね。子どもが落ち着いたら、昔みたいに多角的に行動したいなと思っています」

chuzaikeiji2_20200124_04.jpg
──お子さんができて変わった部分はありますか?

「我慢を覚えましたね」

──具体的には?

「もういいよ、そういうことは(笑)。でも男は我慢しなくちゃいけない。今まで自分が、子どもみたいな性格だったからね。『もう少し父親として成長しなくちゃいけませんね』と、常に自分に言い聞かせています」

──松田優作さん、渡瀬恒彦さん、大杉漣さんと、今は亡き名優たちとの思い出も描かれています。寺島さんの「大好きな人が生きている間に色々しようと思った」という一文も、心に響きました。

「優作さんが『人間は2度死ぬ』とおっしゃったんです。1度目は寿命が尽きて死亡するとき、2度目は人々の記憶から忘れられてしまった時だと。松田優作さん、渡瀬恒彦さん、大杉漣さん、大事な方を失いましたけど、今も大勢の人達の心に残っているし、自分の中にもしっかり残っている。まだ死んではいないと強く感じます」

──最後に、著書のタイトルにかけて...「てっぺん」を取るには何が必要だと思いますか?

「何が必要なんでしょうね? それを考えている時間が楽しんじゃないかな。男とか女とか関係なくて、出会いに感謝する気持ちが大事。そして相手に勝つよりも、プレッシャーの中で戦っている己に勝つ精神力が必要。自分が強くなれば、出会った方に優しくなれますから。そういう意味では、俺はまだまだ...。人として役者としてまだまだです。課題が残っているので精進しなくちゃいけないなと思っています」

(取材・文/船桂子)

chuzaikeiji2_20200124_05.jpg
【寺島進 プロフィール】
東京都出身。松田優作氏が監督した『ア・ホーマンス』でデビュー後、北野武監督作品で活躍の場を広げる。映画のフィールドを中心に、テレビドラマの世界でもその名が知られている。「てっぺんとるまで! 役者・寺島進自伝」(ポプラ社)も好評発売中。

そしていよいよ今夜8時放送! 金曜8時のドラマ「駐在刑事 Season2」第1話の内容は...。

chuzaikeiji2_20200124_06.jpg
かつては警視庁一課の敏腕刑事だった江波敦史(寺島進)。今は水根駐在所の駐在さんとして奥多摩の人々から親しまれていた。ある日、江波はガラの悪い男たちに絡まれる綿谷夏子(田中美里)を助け、夏子の美しさに思わず一目惚れしてしまう。夏子は移動パン屋を営むシングルマザーで、1人息子と1週間前に水根に越して来ていた。そこへ奥多摩水根渓谷中流、雲渡橋付近で転落事故が起こったと警察無線が入る。江波が駆けつけるとダウンヒル中にマウンテンバイクとともに転落した森園健太(楽駆)を発見、救助する。その夜、江波が食事をしていると、昼間助けた健太と婚約者の山城加奈(生駒里奈)、2人の職場の同僚・岸本珠美(高島礼子)が来店する。珠美は2人を我が子のように可愛がっており、結婚式の立会人も務めるという。

次の日、雲雀沢の遊歩道の下にずっとテントを張っている不審な男(阿南健治)がいると聞き、様子を見に来た江波。その男は鈴木五郎と名乗るが動揺を隠せない様子。そこへ水根渓谷上流で奥多摩酒造専務・黒田洋一郎(堀部圭亮)の変死体が見つかったと無線が入る。なんと遺体の第一発見者は珠美だった...!珠美は黒田と同じ奥多摩酒造に勤めており、出社してこない黒田を心配し、従業員と共に探していたのだという。そこへ警視庁捜査一課管理官・加倉井国広(北村有起哉)がやって来て、江波はこの捜査に首をつっこまないように釘をさされる。捜査の結果、被害者の黒田は大のギャンブル好き。裏カジノに出入りし、問題のある人物であることがわかる。そして珠美にしつこく交際をせまっていたことも発覚。遺体から珠美の指紋が複数見つかり、自白したことで珠美は逮捕される。しかし、犯行時間に別の場所で珠美を見たという目撃証言を聞いた江波は独自に捜査を始める。

PICK UP