こんな症状が現れたら何科にかかればいい? 無理なくできる健康法ってあるの?――「主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、皆さんが感じているさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちがやさしく答える、知的エンターテイメントバラエティです。

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたのは、冬場には特に気になる入浴時のヒートショックについてのお悩みです。さっそく同番組のレギュラー・秋津壽男医師に相談してみましょう!

脱水症状や熱中症がヒートショックを引き起こす

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Q:30代女性です。先日80歳になる義父が入浴中に倒れていて入院しました。原因はヒートショックによる失神で家族が気づくのが遅れたら危ないところだったそうです。ヒートショック=高齢者がなりやすいという印象がありますが、他にも入浴時に注意したほうがよいことはありますか? また予防する方法があれば教えてください。

──先生、ヒートショックとはどんな状態なのですか。

「ヒートショックというと熱による健康被害というイメージですが、温度の急激な変化よって血圧が上下に大きく変動することで心臓や血管の疾患を引き起こすことをいいます。しかし入浴時の健康被害はそれだけではありません。多くは本質に熱中症と脱水症があり、暑くて熱中症状態になって循環動態が悪くなるか、汗をかいて脱水状態になって調子が悪くなるか、どちらか一方あるいは両方が原因のことがあります。

この相談者の場合は、家のお風呂場で倒れているのを発見されています。サウナなら熱中症の可能性もありますが、家庭の風呂では環境的になかなかそうはなりにくいですよね。倒れた原因には水分が足りなくなって脱水になり、血液の循環量が減ったという可能性も考えられるでしょう」

── どうして入浴中に体調を悪くなるケースでは高齢者が多いのですか。

「2つの理由が考えられます。ひとつは体重が少ないこと。健康な成人の血液量は体重の約7〜8%です。かりに100ccの汗をかくとすると、体重50kgの人(血液量350〜400ml)は80kgの人(血液量560〜640ml)に比べ、脱水率がとても高くなります。そのため同じ量の汗をかいても、体重が少ない(痩せている)人はダメージが大きくなるというわけです。この方も痩せ型の人なのかもしれませんね。

もうひとつは、高齢の男性には熱いお湯を好む人が多いということです。若い人はぬるめのお湯に半身浴でゆっくり30分、1時間と入浴しますが、高齢男性は熱いお湯にグッとこらえて入ったりします。それによって血圧は入った瞬間に急激に上昇し、立ち上がった瞬間に血管が広がり下降します。つまり入浴中にヒートショックで倒れるのは熱いお風呂の中ではなく、熱いお風呂から立ち上がったときなんですね。お風呂場で失神するのはほとんどがこうした急激な血圧低下です。熱いお湯を我慢したときに急に姿勢を変えるのは危険なんですね。」

入浴中の水分補給で予防を

shujii_kobeya_20200122_02.jpg画像素材:PIXTA

── 体の小さい子どももやはり同じように考えたほうがいいのでしょうか。

「子どももやはり血液の循環量が少なく、おまけに体温調節機能も未熟です。若い人はサウナの中でも汗をかいて自分で調節できますが、それがうまくできない小さい子や、体温調節機能が低下した高齢者は気をつけたほうがいいでしょう。車の中に置き去りにされた赤ん坊が亡くなる事件が後を絶ちませんが、それも体温調節力が弱く体に熱がこもりやすいためです。」

── 予防策として簡単にできることはありますか。

「ぬるめのお湯にゆっくり浸かることと、急に立ち上がらないこと、それとお風呂場に水やお茶を持ち込むことですね。ガラスのコップなどは割れたときに怪我をしやすいので、プラスチックのコップやペットボトルで持ち込むといいでしょう。冷水である必要はまったくありません。よく温泉や銭湯などでは浴場の外に飲み物が用意されていますが、理想は入浴中に補給すること。お風呂に入っている間、少しずつ飲むことができると安心ですよ。」

── 秋津先生、ありがとうございました。

【秋津壽男医師 プロフィール】
1954年和歌山県生まれ
1977年大阪大学工学部発酵工学科卒業 1986年和歌山県立医科大学卒業
1998年秋津医院を開業
日本内科学会認定総合内科専門医 日本循環器学会認定循環器専門医
日本医師会公認スポーツドクター 日本体育協会公認スポーツドクター
日本禁煙学会認定禁煙専門医
著書に「本当に怖いのは、第三の脂肪」(幻冬舎)、「薬を使わずに『生活習慣病』とサヨナラする法: 医師が教える『自己治癒力を高める』コツ」(三笠書房)など。

※この記事は秋津壽男医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った秋津先生も出演する「主治医が見つかる診療所SP【超最新!一生認知症にならないための脳育SP】」(1月23日木曜夜7時58分)。

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