高齢出産とママ友付き合いが原因で抜け毛&円形脱毛症に...どちらにも有効な栄養素があった!:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

医師や病院の選び方のコツ、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に答える、知的エンターテイメントバラエティ「主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)。番組では2006年にレギュラー放送開始以来、テーマに沿った最新情報を第一線で活躍する医師たちがわかりやすく解説しています。

さて、今回のWEBオリジナル企画「主治医の小部屋」には、女性の頭髪トラブルに関する疑問が寄せられました。早速、同番組レギュラー・姫野友美医師にお聞きしましょう!

抜け毛や更年期障害にも影響する「鉄不足」

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Q:40代の女性です。高齢出産した後、抜け毛が気になり始めていたのですが、最近ママ友との付き合いや行事に参加するようになると、ストレスのせいなのか今度は円形脱毛症になりました。抜け毛を防ぎたいのですが、食事やシャンプーなどを変えることで改善はできるのでしょうか。原因がストレスだとすると、日常的にどのようなケアをすればいいのかアドバイスをお願いします。

── 高齢出産と抜け毛には関係性があるのですか。

「現在40代で、高齢出産を経験されている方ですよね。生理が始まって25年くらい経っていると考えると、その間、身体は鉄を失い続けている状態。さらに妊娠中は、子どもの発育に必要な鉄は優先的に胎児に提供されるようになります。当然ながら母体の鉄はますます空っぽになる一方で、それによって引き起こされる症状のひとつが抜け毛なんですね。

また鉄不足は更年期障害にも関係していて、鉄を摂取することで更年期の症状が軽くなったという方もたくさんいます」

── 年齢を重ねるほど鉄は不足してくるのですか。

「女性の場合はどうしても生理によって自然と鉄が失われていくので、年齢がいくほど欠乏しやすくなります。だから若いときに出産したほうが影響は少なく、抜け毛にもなりにくいんですね。閉経すると少しずつ解消されていきますが、それまでは鉄不足が続くわけです。

思い返してみると、10代の頃は食事代わりにお菓子を食べて勉強していても何ら問題はなかったはず。若いときには少々栄養が足りなくても体は踏ん張りがきくのです。でも20代・30代になるとそうはいきません。お菓子だけでは動けないですし、さらに年齢がいくほどしっかり食事をして栄養をとらないと体がついていけなくなります。現

在、高齢者のフレイル(加齢による心身の衰え。要介護状態に向かう前段階にあたる)を防ぐために、バランスの良い食事をとりましょうと国を挙げて高齢者対策を行っているのも、それだけ栄養状態を保つことが大切だからなんですね。

先々のことを考えると、40代のこのタイミングはとても重要です。私はいつも年をとればとるほど肉や魚を食べましょうと話しているのですが、それらの中には鉄やたんぱく質が豊富に含まれているからです。食事を見直すなら、まずはそこから始めてみてはどうでしょうか。」

── この相談者の場合も、鉄をしっかりとったほうがよいのでしょうか。

「そうですね。鉄が不足するとストレスにも弱くなります。というのも脳内ホルモン(脳内伝達物質)のセロトニンやドーパミンといった、精神的な安定を保ったり、あるいはやる気を起こさせたりするようなホルモンをつくるには、原料になるたんぱく質と鉄が必要なんですね。鉄が足りないことでセロトニンがうまく生成されないと、何かちょっと言われたことにも過敏に反応しやすくなったりします。

こんなことを言われてどうしようとか、この相談者の場合、おそらく周りのママたちより年齢が上で、話についていくためにいろいろと考えてしまったりするのでしょう。鉄不足によってドーパミンも足りなくなりますから、気力もだんだん落ちてきて何をやっても楽しくなくない状態になってしまうのです」

円形脱毛症の最大の原因はストレス

shujii_kobeya_20200108_02.jpg画像素材:PIXTA

── 円形脱毛症も栄養不足が関係していたりしますか。

「円形脱毛症は栄養よりもストレスの影響を受けやすいですね。ストレスがかかってすぐに症状が出るというより、徐々に異常が起きてくる感じです。全体的な抜け毛や薄毛には栄養が関係していることが多いですが、円形脱毛症の場合は免疫の異常やホルモンバランスが関係していることが多いといわれています。

円形脱毛症はメンタル的なケアも重要ですが、最近はステロイドの内服薬や外用薬(塗り薬)であったり、液体窒素による冷却療法で刺激したりと、さまざまな治療が行われています。炎症を抑えるステロイド薬が効くということは、毛根に何かしらの炎症が起きているのかもしれませんね。

ただ、治るまでには少し時間がかかります。突然バサっと抜け落ちてしまったり、1か所治ってもまた違うところにできてしまったりするため、本当に治るのか心配される人もいますが、そこで落ち込んでしまうとますます悪循環に陥ります。最終的には改善していきますので、治療は継続することが大切です。」

── ストレスが髪に出るというのがとても不思議です。

「ストレスがどこに出るかは、人それぞれなんですね。臓器選択性というのですが、胃腸に出る方、頭痛に出る方、心臓に出る方、呼吸器に出る方......喘息や過敏性腸症候群などもそうですが、その人のいちばん弱いところに症状が現れます。

何がストレスになっているのかをつきとめるのはなかなか難しいですが、免疫の異常などストレス以外の原因については具体的に解決していくことが大事だと思いますよ。」

── 最後に、日常的にできるケア方法について教えてください。

「シャンプーであれば、ケイ素入りのアミノ酸系のものがオススメです。ケイ素はミネラルの一種で組織を修復する働きがあり、褥瘡の治療などにも使われています。実際にケイ素入りシャンプーを使い、サプリメントでケイ素を摂取したところ、抜け毛に効果が見られました。

季節的には夏が終わった頃は髪が抜けやすくなります。夏は汗と一緒に鉄が失われますし、ビタミンB群も消耗するからです。秋頃からの抜け毛・脱毛には注意したいですね。

子育て中はなかなか自分の自由になる時間は持てなくなりますよね。どんなときもやはり子どもがいちばんになってしまいます。そんな中でもときどきは夫や近しい人に子どもを預けて自分の時間を持つことも大事だと思いますよ。ママ友からちょっと離れてみるのもいいかもしれません。」

── 姫野先生、ありがとうございました!

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。著書に「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)など。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った姫野先生も出演する「主治医が見つかる診療所スペシャル【2020年知らないと損する健康の新常識】」は2部構成でお届け(1月9日木曜夜6時25分~7時50分<1部>夜7時55分~9時48分<2部>)!

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