家族のような温かさにほっこり。短冊メニューがズラリと並ぶ、コの字酒場「だるま」:今夜はコの字で

公開: 更新: テレ東プラス

カウンターが"コの字"の店は、左右、斜め、人の顔が並び、お客もお店の人も、みんなフラットに話せて、いろんな出会いがある。そんな"コの字酒場"を舞台にしたドラマ「今夜はコの字で」(毎週月曜深夜0時放送)が、BSテレ東にて放送中。

今回は、第1話で、憧れの先輩・田中恵子(中村ゆり)の勧めにより、"チェーン店が行きつけの店"の吉岡としのり(浅香航大)が一人で"コの字"デビューした店、清澄白河「だるま」を訪問しました。

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東京の下町、深川の一角にある清澄白河。東京都現代美術館をはじめアートギャラリーも多く点在するこの土地は、下町情緒と最新スタイルが共存した街。そんな地下鉄・清澄白河駅から徒歩5分ほどのところにあるのが、こちらの「だるま」。昭和な雰囲気漂う人気店です。

居酒屋としてオープンしたのは平成5年(1993年)。元々はご夫婦でスーパーを営んでいましたが、近隣に大型スーパーができたことにより、人気だったお惣菜やお弁当を活かして仕出し屋に、そして今の居酒屋へと転換したそう。スーパー時代からご主人と二人三脚で店を支えてきた女将さんは、「居酒屋にすると決めたとき、主人と二人でいろんな居酒屋さんに飲み歩きに行きました。そこで"コの字"酒場がいいなという話になったんです」と。仲のいいご夫婦です。

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店内には、細長いコの字のカウンターと小上がりのテーブル席などがあり、定員は約30名。今は棚として活用されている冷蔵用ショーケースなど、スーパー時代の面影も残っています。

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壁にはところ狭しと手書きの短冊メニューがズラリ。ご主人の手書きで、オープンのころから値段も変わっていないそう。定番メニューに加えて、"本日のオススメ"はホワイトボードに。そんな豊富なメニューに応えるように、ドリンクも生ビール、瓶ビールはサッポロ・アサヒ・キリンの3社、ハイボール、サワー類、ホッピー、日本酒、焼酎、ワイン......と、よりどりみどり。

女将さんにオススメをうかがうと、「やっぱりよく出るのは刺身ですね。特に火曜日と金曜日は市場にいいものが揃っているので、みなさんホワイトボードを見て注文されています。これからの季節はお鍋も人気ですね」。

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鍋は、湯豆腐、たらちり、モツ鍋など、こちらも種類が豊富。どれもリーズナブルで1人前から頼めるのも魅力的。向かいの鍋を注文したお客さんが、「鍋おいしいから、写真撮ってよ」と気さくに声をかけてくれたので、お言葉に甘えてパチリ。

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また、ドラマ「孤独のグルメ」にこの店が登場した際に主人公が食べた「ポパイベーコン」も人気とのこと。から揚げ、フライ、天ぷらなど、若い人にピッタリの揚げ物系もボリューム満点! そういえば第1話では、吉岡が、常連さんに「オススメだから」と「キスの天ぷら」を勝手に注文されていましたね(笑)

17時の開店前から常連客が訪れはじめ、店内はすぐに賑やかに。年齢層は様々で、休日には若いカップルも多いそう。「最近は若い人も増えてきました。ここ5年で大きなマンションが建ったりして、街の住人が様変わりしましたから。街が少しずつ変わってきているのを感じますね」と、女将さん。

早速、私たちもコの字のカウンターに座り、「瓶ビール」(450円)を注文すると、女将さん特製のお通しとともに登場。「毎日来てくださる方もいるので、お通しは前日と同じにならないように、少しずつ違ったものを用意しています」と、心遣いもうれしい。

まずは、吉岡も食べた「マグロ納豆」を注文。

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よくかき混ぜてから、しょう油をチロンとかけてから食べるのがポイント!

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そして豊富なメニューの中から目移りしながら気になるものをチョイス。今が旬の「ブリの刺身」(550円)は脂が乗っていてしっかりとした味わい。「生だこの刺身」(450円)もぷりぷりとした食感がクセに。

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「煮込み」(380円)は優しく、お酒が進みます。気取らず食べられる「新しょうが」(280円)も箸休めにぴったり。

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開店から1時間、1人で酒を楽しんでいる人や、仲間同士で会話している人など、ますます賑やかになり、18時には満席に。「いっぱいになると、ちょっとずつ詰めて座っていただいたりしています。1人のお客さんもいらっしゃいますが、お酒が入ると自然とみんなで話が弾んでいるようで。そこはやっぱり"コの字"だから、お客さん同士、店員とお客さんの距離感が近いのかもしれないですね」。

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初めて会ったとは思えないほど会話が弾んでいるグループも。かつては常連客が集う"だるま会"で、旅行に行くことも多かったそう。「春は花見、冬は一泊旅行に行っていました。もう家族のようでしたね。次第に私たちも常連の方もみんな年を取って、お店で集まるだけになってしまいましたが」と、思い出を楽しそうに話す女将さん。店内には、旅行の写真が多数飾られていて、みんな笑顔いっぱい。

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私たちも、コの字の隣や向かいのお客さんと話が弾みます。お隣は、初めてお店に入ったという新社会人と大学生のカップル。近くに住んでいて店の前を通るたびに気になっていたとのこと。初体験の"コの字酒場"の感想を聞いてみると......

「メニューの多さとリーズナブルさに驚きました。初めは常連客がいっぱいいて入りづらいかも......と心配していたのですが、入ってみると明るくて楽しく、そして何よりも美味しくって。隣に座ったおじさんとも話が弾んで、オススメ料理を教えてもらいました。お鍋も見ていたら食べたくなるし、おつまみも気になる! メニューが豊富すぎて毎日来ても食べきれないです。また来たいです!」と、大満足の様子でした。

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店は、女将さん含め、調理とホールを5人で切り盛り。現在、ご主人は足を悪くされ、病院でリハビリ中なのだそう。

「主人は『早く店に帰りたい!』と常に口にしています。『体力が続く限りやりたい』と言っているので、これを機に悪いところを全部治して健康になって戻ってきてもらおうと思っています。本人曰く、"生涯現役"なので」と、頼もしい。

常にともに店に立ってきたお2人は、夫婦別々に過ごすのは結婚後初めてとのこと。「ケンカをしても、次の日になるとお店があるので仲直りしなければいけなかったんですよ。もう結婚して57年。長続きの秘訣はお客さんですね。料理の感想を聞くときが、一番うれしいです」と、女将さんは笑顔で話してくれました。

現在、ご主人は83歳、女将さんは78歳。清澄白河の街が変わる中、いつでも家族のように迎えてくれるアットホームな場所がここにあります。ちょっと寂しくなったとき、誰かに話を聞いてほしいとき、楽しいことを共有したいとき、清澄白河「だるま」で、温かい時間を過ごしませんか。

【取材協力】
清澄白河「だるま」
住所: 東京都江東区三好2-17-9
営業時間: 17:00~23:30
定休日: 土曜日
※店舗情報は2020年1月のものです。

(取材・文/玉置晴子)

ちょっとハードルが高い!? 神楽坂「焼鳥しょうちゃん」

1月13日 (月)深夜0時から放送の「今夜はコの字で」第2話は!?

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コの二
神楽坂「焼鳥しょうちゃん」
すっかりコの字酒場の魅力にハマった吉岡としのり(浅香航大)は、早速、後輩、山田(小園凌央)を飲みに誘ってみるが、山田は具合が悪いと言って帰ってしまう。翌朝、インフルエンザの山田は欠席し、吉岡はピンチヒッターとして住宅展示場の仕事に回される。それは、着ぐるみを着て風船を配るという過酷なものだった。すっかり疲弊した吉岡は、恵子先輩(中村ゆり)に新しいコの字を紹介してもらおうと連絡する。

教えてもらってやって来た神楽坂の「しょうちゃん」は恵子の言う通り、少し、ハードルの高い店だった...。頑固そうな店主に常連だらけの店内。店に入ったものの、注文するタイミングをつかめず、戸惑う吉岡。そのうち、客と「しょうちゃん」と呼ばれる店主が喧嘩腰になって......。

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