台風被害に火災保険が適用されるって知ってた?ファイナンシャルプランナーが教える、風水害への備え方

公開: 更新: テレ東プラス

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まだまだ記憶に新しい、台風19号の猛威。関東各地で家屋の損壊や浸水など多くの被害が生じ、とりわけ二子玉川や武蔵小杉の住宅地が水没する光景は、世間に大きな衝撃を与えた。

今や日本は震災だけでなく風水害に備えなければならない状況にあるのは明らか。来年の台風シーズンに備えて、私たちは今、どのような準備をしておくべきなのか――?

台風による被害は火災保険が適用される」

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ここ数年、大型台風の襲来が相次ぎ、家屋の倒壊、浸水、土砂崩れ、それに伴う停電などなど、各地に思いも寄らない被害が生じている。今なお避難所暮らしを強いられる被災者も多く、その傷痕はあまりにも深い。

ただ幸い、台風は地震と違って発生の時期がある程度絞られるため、秋から春にかけての時期はまず安泰と言っていいはず。だからこそ、夏に備えて今から風水害への対策を打っておく必要がある。

では、今のうちに手を付けるべきことは何か。屋根や窓の補修? 防災グッズの整備? 『どんな災害でもお金とくらしを守る』(小学館)などの著書を持つ、ファイナンシャルプランナーの清水香さんにアドバイスをいただいた。

「今のうちに見直しておくべきは保険でしょう。意外と知られていないことですが、台風などの風水害による補償は、火災保険の範疇になります。火災保険は火災による損害だけでなく、種々の自然災害で受けた損害もカバーできるもので、各地で災害が頻発する昨今では、リスクヘッジとして欠かせません」(清水さん)

ところが生命保険や地震保険などと違い、多くの人は火災保険には無頓着なのが実情だ。実際、加入している火災保険の契約期間や補償内容について、ちゃんと把握している人は少数派なのではないか。

「ここ数年、台風によって家屋が半壊しながら、知らないうちに保険の契約期間が終了していて、補償が受けられなかったケースも散見されるので注意が必要ですよ」

賃貸物件に住んでいる場合は、定期的に契約更新の機会があるのでまず心配は不要だろう。しかしマイホーム所有者の場合、被災した住宅の修繕には多額の費用がかかるのに、一切の補償を受けられないとなれば、これほど悲惨なことはない。

国に生活再建のサポートを期待しないこと!

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清水さんによれば、2019年に「災害救助法」が適用された市町村数は、東日本大震災が発生した2011年をはるかに超えているという。

「災害救助法とは、被災した住民の救助に関する法律のこと。東日本大震災では、東北エリアを中心に多くの市町村がこの法律の適用によって保護されましたが、2019年は台風15号や台風19号といった深刻な災害が複数発生した年です。とくに風水害に関しては、地球温暖化の影響からか、これまで想定されなかった地域での被害が多数生じています。災害はもう誰にとっても、決して他人事ではないのです」

だからこそ、火災保険の備えが必要なわけだが、もちろんその契約内容も重要だ。

「火災保険の内容を見直す際には、まず住んでいる地域のハザードマップをチェックすることが重要です。各市町村が公開しているハザードマップでは、そのエリアにどのような災害のリスクがあるのかが詳しく明示されています。ひとくちに火災保険と言っても、保険会社や商品によって補償内容は様々ですから、被災する可能性のある災害を踏まえた契約内容でなければ意味がありません」

たとえばマンション住まいだから浸水とは無縁だろう、などとたかをくくるのは危険だと清水さんは警鐘を鳴らす。

「また、現在の契約内容をチェックしてみて、水災の補償が付いていて、火災保険金額の100%が補償される内容であれば、ひとまず保険の備えは万全と言っていいでしょう。この場合、仮に2000万円の住宅が台風で全壊してしまった場合でも、2000万円をフルに受け取れるので、生活の再建がしやすいはずです」

中には水災に関しては火災保険の70%となるようなものもあるので注意が必要だ。

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「いざとなれば国が助けてくれると思っている人も多いですが、それは大きな誤解です。災害で住居や仕事を失った場合、公的機関は生活保護や仮設住宅の提供はしてくれても、生活再建の支援は限られています。災害から命を守ることと、被災前の生活を取り戻すことは、まったく別物なんですよ」

まずは、加入している火災保険の保険証書を探し出して、契約期間やその内容をあらためて確認してみてほしい。それが来たる風水害への対策の第一歩なのだ。

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