プレゼンテーションで勝てるかも? プロが明かすプレゼンのコツ

公開: 更新: テレ東プラス

社会人になって、社内外で何かにつけプレゼンによる提案を求められ、なんとなくプレゼンに苦手意識を持ってしまった人は少なくないでしょう。そこで 大手企業のビジネスプレゼンのスピーチを手がけてきたスピーチライター・蔭山洋介さんに"勝てるプレゼンのコツ"を、お聞きしました。プレゼン術の基本を身に付けて、さっそく明日から、いえ、今日から役立てちゃいましょう!

期待させ続けられるかどうか、それがすべて

speech_20191214_01.jpg▲蔭山洋介さん

──勝てるプレゼンとはどのようなものですか?

「勝てるプレゼンとは、"期待を持たせ続けられる"もの。例えば、プレゼンの天才と呼ばれたスティーブ・ジョブズは、プレゼン中にずっと聴衆を焦らすプレイに長けていたんです。みんな今日iPhoneが出るって知っているのに、最後の最後までiPhoneの発表には触れずに焦らされ続け、聴衆が我慢しきれなくなる直前のタイミングで発表する。結果、聴衆は爆発的に歓喜する。そのうえで、プレゼン最後に次の展開についてもほんの少しだけ匂わすことで、プレゼン後にもスティーブ・ジョブズへの聴衆の期待感が続くようにしていました」

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──期待させ続けるプレゼンをするコツとは?

「ポイントは正しい未来ではなく"面白い未来"が見えるテーマを設定してプレゼンすること。例えば『‎NHKから国民を守る党』の立花孝志さんの戦法がまさにこれです。彼の主張が正しいかどうかは分からなくても、既得権をぶっ壊すという主張は聞いていて痛快に感じます。不特定多数が面白いと感じるテーマを最初に固めているから彼は強いんです。プレゼンの大小に関係なく、プレゼンの事前準備では、どのようなテーマでプレゼンをするのかを考えることに一番時間と頭を使ってください」

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──テーマを決まったら次にすべきことは?

「テーマが決まったら、プレゼン内容をざっくりとした流れにして書いてみましょう。これをアウトラインと言います。実際に流れを書いてみると『このプレゼンに説得力があるかどうか?』が見えてきますよ」

──説得力があるプレゼンとは一体どのようなものですか?

「説得力のあるプレゼンとは、聞き手がプレゼン内容に感情移入できるもの。完璧なロジックはプレゼンをするのに最低限必要ですが、ロジックだけでは人の心は動かないんですよね。では聞き手に感情移入してもらえるプレゼンとはどのようなものか? それはプレゼン内で、"プレゼンターが真剣に困っているプレゼン "です」

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──プレゼン中にプレゼンターが困るんですか?

「プレゼンとは、クライアントが抱える課題に解決策を説得的に示すこと、です。言い換えれば、プレゼンでは必ずクライアントは "困っている"ことがあります。そこで、クライアントの代わりにプレゼンターが『こんなことありますよね?』と、その課題で困ることで共感を作り出すのです。クライアントの代わりにプレゼンターが困れば困るほど、『この人ならわかってくれるかも』と期待されるようになります。そして、十分に困ったあとで、その課題を解消する方法を提案すれば、プレゼンの説得力は高まります。結果、プレゼンで勝てるんですよ」

プレゼン中の話し方、いまはフラットな話し方が主流

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──テーマとアウトラインが固まったら、実際にプレゼン資料を作ってプレゼン本番に備えますよね。その際に意識すべきことはありますか?

「プレゼン資料はすべて、相手が見て1秒で理解できるものにしてください。自分にとってではなく、相手にとって。例えば、学会等の専門家の集まりであれば難解な折れ線グラフの推移でも、みんなが前提知識を共有しているので1秒で伝わります。しかし相手との前提知識の共有が少ない場合には、単純な棒グラフ等でないと1秒では理解できません」

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──資料は詳細であればあるほど、良いものというわけではないんですね。

「何故ならば、口で話すプレゼンテーションは、詳細を伝えることに向かないからです。なので、毎年の数値の変異などの詳細な説明は捨てて、ざっくりした方向性や指針を伝えることがビジネスプレゼンの基本。これを情報の『粒度を荒くする』と表現します(言い切っても差し支えないと思います)。資料もメッセージも粒度を荒くして、ざっくり分かりやすく伝えることを意識しましょう。細かな数値やデータはプレゼン後にメールで添付して補足するでもいいんですから」

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──面白いテーマが決められて、アウトラインを書いて、プレゼン中にちゃんと困っているかどうかを確認できたら、先方が1秒で分かる資料を作る。これでプレゼンは完璧でしょうか?

「もうひとつ大切なのが、プレゼン本番の話し方です。最近は人柄が伝わるようなフラットな話し方が好まれているようで、ジョブズもフラットな話し方が印象的だった一人。以前、好まれた個性を殺した紋切り型の『本日は足元のお悪い中・・・』のような話し方をすると、今は相手に響きづらいと思います」

プレゼンに有効なフレーズと戦法を明かす!

──最後に、プレゼンに有効なフレーズや戦法を教えてください!

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ポイント1:マジックワードの「3」
「3ってマジックワードなんですよね。『現状の課題は3つです』『新商品の魅力は3つあります』など。2つだと物足りないし、4を超えると多い。3つだとストレスなく聞けるんですね。特にプレゼン内なら、『3つ困ったことがある』と話すのが理想的です。3つも真剣に困ればクライアントからの共感を得られやすいですし、3つの困りごとを解決できる策をプレゼンできれば説得力もでます。ということで、できるならプレゼン前に、クライアントの抱える現状に3つ困れ!とお勧めしておきます(笑)」

ポイント2:「ある日」を入れる
「どんなスピーチやプレゼンにも、僕は『ある日』をいれますね。これは時間を指定して感情移入させるという技。この技を使うとぐっと感情移入が進むので、クライアントと一緒に困りたいシーンで使うと有効ですよ」

ポイント3:ゲストを出す
「自分は本当に困ってます!と言葉だけで伝えても、先方と初対面だと信じてもらうには少し弱いですよね。そこで、実際に困った人の話を聞いて、プレゼン資料に登場させるなどの工夫をすると効果があります。お手本はテレビショッピングに登場する困ってる人たちです。プレゼンの場で全力で困っていることを伝える演出を考えましょう」

──なるほど! インタビューは以上になります。

「難しい話をたくさんしましたが、これらはすべて基本なので、プレゼンの大小関係なく、毎回確認するようにしてみてください。きっとプレゼンの勝率に大きく差がつくはずです」

【取材協力】
株式会社コムニス(Communis Co.Ltd.)
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