やってはいけない! バーでのNGマナー5選

公開: 更新: テレ東プラス

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大人の酒飲みたるもの、酒場のマナーはしっかり押さえておきたい。とりわけオーセンティックバーをそつなく使いこなせる人は、いかにもデキる匂いがしてかっこいい。

しかし、酔いがまわっているのも手伝って、自覚なくやってしまいがちな不作法というのは意外と多い。そこでオーセンティックバーのバーテンダーに、酒場でついやってしまいがちなNG事項をレクチャーいただいた。

禁じ手①:空席があるからといって勝手に座らない。

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「バーではあくまでお酒を美味しく味わっていただくことが第一。肩肘張った状態では、せっかくのひとときを楽しめませんから、基本的にはあまり作法を気にしすぎないほうがいいと思います。ただ、それでも誰もがその場を快適に過ごすために、最低限のマナーがあるのは事実です」

そう語るのは、世田谷区・三軒茶屋でバー「TOGO.T」を営む東郷龍宏さんだ。とりわけオーセンティックバーは、しっとりと落ち着いたムードの中で美酒を楽しむ大人の空間。大声でしゃべったり、手を叩いて笑ったりするのはもちろん論外だ。

そうした前提を踏まえた上で、最初の関門は、店に入ったその瞬間にあると東郷さんは語る。

「店に入ったら、まずはスタッフに人数を伝え、席に促されるのを待つのが無難でしょう。空席があっても予約が入っているかもしれませんし、後から複数名のお客様が入店した際に備えて、2~3席並びで空けておきたい店主もいます」

そのため、勝手に空いている席に座るのは避けるべき。1人なら1人であることを伝え、とくに指示がなさそうなら好みのポジションに陣取ろう。

ちなみにこの際、手にしていたカバンや紙袋をカウンター上に置く人をよく見かけるが、これはバーに限らず避けるべき。カバンの底は汚れが付着しやすく、たとえ地べたに置く習慣がなかったとしても、周囲の客には不快に映る。

まして、毎日カウンターをきれいに掃除しているバーテンダーにとっては、尚更なのだ。

禁じ手②:目の前のボトルを勝手に触るのはNG!

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バックバー(棚)だけでなく、カウンターの上にもボトルが並べられている店は少なくない。そこで珍しい銘柄や気になるデザインのラベルを見つけると、つい手にとってみたくなるが......これも実はご法度だ。

「空き瓶であればともかく、店にとって商品は大切な資産です。中には1本で何万円もするものや、もう手に入らないものもありますから、万一、手を滑らせて割ってしまったら大変なこと。気になるボトルがあったら、バーテンダーに一声かけて見せてもらうようにしましょう」

バーでは自分がオーダーしたウイスキーのボトルを目の前に置いてくれることが少なくないが、もちろんこれも同様だ。

最近はSNS用に写真を撮る人も多いが、これについては「フラッシュさえ焚かれなければ私はむしろ歓迎ですが、店の雰囲気や店主の方針にもよるので、初めてのお店では一声かけたほうがいいでしょう」と東郷さん。

禁じ手③:追加オーダーのない長居は禁物

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バーに限った話ではないが、少ない注文で長居をする客というのは店から嫌われる。相手にとってはあくまで商売であることを忘れてはならない。

「もちろん、焦ってたくさん飲んでいただく必要はありません。つい会話に夢中になってしまうこともあるでしょう。何より悪酔いしないよう、自分のペースを守りながら飲むのが大前提です。ただ、店の本音としては、せめて30分に1オーダーくらいはいただけると、売り上げ的にありがたいですが(笑)」

言うまでもないが、ノートパソコンを広げて作業に没頭......というのも禁物だ。急ぎの作業があるなら会計をして退散するか、付近のカフェに場を移そう。

なお余談だが、バーの世界では「ショートカクテルは3口で飲め」という教訓がある。これは、ショートカクテルはできるだけぬるくならないうちに味わうべき、という意味だ。

「3口はさすがに大袈裟で、実際にはそこまで極端に急ぐ必要はないと思います。ただ、ショートカクテルは味が変化しやすい飲み物だということは意識していただきたいですね」

禁じ手④:とくに男性。トイレの使い方にご注意!

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お酒を飲むと、どうしてもトイレが近くなる。しかし、よほど大きな店舗でなければ、バーにはたいてい男女共用のトイレが1つあるのみ。そこで問題になるのが、男の「座ってするか、立ってするか」問題だ。

「酔いも手伝ってか、夜更けになるとトイレが汚れていることが多いのは悩みの種の1つです。男性の方は、"小"のほうでも座ってしていただくのがベスト、そうでなくてもこぼしたらペーパーでさっと拭くくらいの配慮はほしいものです。これは多くの飲食店を悩ませている問題だと思います」

トイレを汚すのはたいてい男と相場が決まっている。客は酔いに任せて適当に放出しても、店側は最後にどの客が使ったのか、ちゃんと把握しているものだ。

あの客はトイレの使い方が汚い、などと思われないために、今一度しっかり胸に叩き込んでおこう。

禁じ手⑤:「バーテンさん」は実は蔑称!?

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最低限のマナーさえ守っていれば、客はバーテンダーといい関係を築くことができ、常連として快く認知してもらうことができるだろう。そうなると、バーテンダーとのコミュニケーションがいっそう楽しくなるはずで、その店は自分にとってスペシャルな居場所になるに違いない。

ここで注意しなければならないことがある。関係が深まるほどつい、バーテンダーに対し親しみを込めて「バーテンさん」と呼びたくなるが、実はこれは良くない言葉なのだ。

「バーテンという言葉はバーテンダーの略称ではありません。実はこれは、バーテンダーとフーテンをかけ合わせた日本特有の造語なんです。つまり、水商売を蔑む表現に近く、バーテンダーの側としてはあまり気持ちのいいものではないのです」

悪意なく使っている人も多い言葉だけに、注意しなければならない。バーテンダーに語りかける時は、「東郷さん」と個人名で呼ぶのがいいのかもしれない。

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バーにおけるご法度マナーはまだまだ枚挙に暇がないが、いずれもささやかな知識と小さな気遣いがあれば回避できるものばかり。「自分は客だから」と偉そうにふんぞり返る人は、きっと店側だけでなく他の客からも笑われている。

お店と素敵な関係を築くために、あらためて自分のバーでの所作を振り返ってみてほしい。

【取材協力】
BAR TOGO.T
住所:東京都世田谷区太子堂1丁目15番15号
電話番号:03-6450-8870

※この情報は、2019年12月4日時点のものです。最新情報をご確認の上、お出かけください。

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